第二十二話
金曜日にあたる今日は学校が創立記念日という事で、俺は秋葉原に来ていた。
和音を誘うか迷ったけど、なんだか忙しそうだったから今回は誘わなかった。
そういえば、和音は今もアニメとかは嫌いなんだろうか?
今はそういうふうには感じないんだけどな……。
街を少し歩いて、目的の青い看板にサンバイザーがトレードマークの店に入る。
流行りのアニソンや声優さんの宣伝が流れていた。
最近は色々急がしてくって来てなかったしゆっくり見ていこう。
こういう店なら男女関係なく流行っているものが見れるのがいいな。
今まではそんなふうに見てなかったから、新鮮だ。
今やっているアニメの書籍コーナーからラブコメをいくつかと面白そうな漫画をカゴに入れていく。
そのまま漫画コーナーを歩いていると、昔買っていた漫画の新刊があったのでそれもカゴに入れる。
「お、アルルのフィギュアだ。懐かしいな……。買っていくか」
少し高かったけど、和音に壊されたフィギュアの再販版が目に入りついカゴに入れてしまう。
さて、後は帰ってネームを仕上げながら楽しむか……。
俺はレジに向かい、今日の予定を何となく考えて帰宅した。
・・・・・・・・・・
「兄さん、どこに行ってたんですか?」
家に帰ると和音が玄関に姿を現した。
「ああ、漫画の参考になるかなって本を買いにな」
「どんなのを買ったんですか? 見せてもらいますね」
和音はそう言うと俺の荷物を勝手に持ってリビングの方に行ってしまう。
俺はその背中を追いかけていく。
「へ~、兄さんはこういうのが好きなんですね……。またフィギュアまで買ってますし」
「ほとんど俺が見たことない今流行りのアニメのだけどな……。」
何か、怖いな。
「でも、このフィギュアは完全に兄さん好みですよね?」
険しい顔でフィギュアの箱を掴んでみている。
「ああ、昔もってたやつの再販版があったからついな」
「ふーん。へ~。兄さん、キモいです」
「なんで!?」
「これは没収です」
無慈悲な裁定が下った。
「いや、それ昔和音が壊した再販版なんだよ、返してくれ」
俺は抵抗を試みる。
「昔のことを持ち出して、そんなにこの子が好きなんですか?」
「ああ、好きだよ! 魔法少女アルルは俺の人生みたいなものなんだ、だから返してくれ」
ムキになって、大きな声で言っていまう。
「本当に兄さんキモイ! キモイ、死ね」
和音は思いっきり俺の顔にフィギュアを投げつけてきた。
「アベシ!」
俺は痛みでうずくまってしまう。
そのわきを和音は走って行ってしまう。
なんなんだよ、まったく……。
へこんでしまったフィギュアの箱を拾って立ち上がり、ため息をついく。
今でもやっぱり俺のオタク趣味は嫌なのかよ。
じゃぁなんで、あんなかわいいイラストを描いてるんだよ!
行き場のないイラつきや悲しみが押し寄せる。
こんなんじゃダメだ。
頭をかきながら自室に行く。
パソコンの前に座ってネームを書こうかと思ったが、全く頭がまわらない。
いつのまにか窓の外が暗くなっていることに気が付いて、和音の晩御飯を用意しなくちゃと立ち上がるのだった。




