206-210
206薔薇
トゲがなくては生きていけない薔薇
トゲがないと薔薇でいられない薔薇
トゲの痛みを知らない薔薇
薔薇の色は魅力的で
それが萎れるとたちまち切られてしまう
薔薇
薔薇は美しいが
その歩みは厳しく激しい
ひとは美しくないが
その歩むところは
やさしくやわらかい
ものであればいい
薔薇を想うこころのなかで
一輪の薔薇が咲き誇ればいい
207否に否
ふつうに過ごす日常のなか
ふつうに過ごす非日常がある
日に否
月に否
否に否
まっすぐによじれ
よじれてまっすぐ
自分の影を踏む
影踏み遊び
笑うなかに悲しみがあり
悲しみのなかに笑う声がする
諦めのなかに
諦めないこころを持って
放さない
208月の歌
夏の暑い日に
月の寒い冗談
冬の寒い日に
月は寒い冗談
秋の月は日より
明るさを増し
春の月は
歌を歌う
月の歌は下手である
209好きな方を選べばいい
量産型で
改良型で
水陸両用のジム
使い所はあまりない
量産型で
改良型で
水陸両用のザク
そんなザクに搭乗する
カミーユ・ビダン
使い所はありまくり
要はパイロットが超能力者であればよく
ただの人はただのジムでしかない
ジムになりたいか
ザクになりたいか
好きな方を選べばいい
210草原の丘
空のなかに
青さがあり
青さのなかに
空の小道があって
その周りには
黄昏や
暁があり
赤く赤い
そんななか
真昼の月がある
透明な空の
草原の丘の上