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人違い

土曜日、俺は、ブラックオークのダンジョンをさらに攻略していた。

10階層より下は真っ白い神殿のような造りで、恐らく20階層まで、このままだろう。


そんな神殿は、割と女性に人気らしかった。

俺は、この時は知らなかったが…。

だから、アイドル探索者なんてものが、配信しているとは思わなかった。


16階層で出会った彼女の名前は、紫龍咲。

彼女は、会うなり俺に、戦いを挑んできた。


「ごきげんよう。紫龍咲の配信にようこそ。…あなたが、最近私に絡んできていたSN紳士様ですね。」


メカニカルにヒラヒラな不思議なそれでいて、可愛らしいデザインの装備。


俺に向けて、ビシッと指さしながら言った彼女の言葉に全く心当たりがない。


「あの、多分人違いです。」


「問答無用!」


彼女の周りに魔法陣がいくつも形成される。

恐らく、あらかじめ服に魔法陣が縫い込まれていて、魔力を込めてきたのだろう。

ここから、紫龍咲の詰め将棋のような攻撃が始まった。


地面から紫水晶が、トゲとなって生えてくる。

俺は、それを飛んで避ける。

空中に仕掛けられた魔力の爆弾にぶつかり吹き飛ばされる。


俺は、防御力強化の魔法を使う。

床の紫水晶が俺に向かって全て飛んでくる。

俺は、紫水晶の牢獄に捕らえられた。


なんというか、手加減されたらしい。

「では、私に今まで吐いた暴言を謝ってください。」


えー。


「今、配信中ですから。謝ってくれるなら赦してあげてもいいと思ってます。」


俺は、今日は、ついてないと思いながら思い出す。

いわれのない罪で処刑された異世界でのことを…。

王様はムカついたが、それに比べれば、この子の勘違いくらい可愛いものか…。

よく見るとこの子、手が、震えてるし…。


「…すみませんでした。」


「…赦します。でも、仲直りの握手はしませんよ!」


紫水晶が割れて俺は自由になった。

俺と紫龍咲は、お互いに気まずげにわかれた。

紫龍咲は、先に戻ると言っていた。

俺は、犬にでも噛まれた気分で、さらに潜り、20階層のブラックワーウルフに挑戦する。


ブラックワーウルフの推奨レベルは50。

今の俺は、レベル22なので、逆立ちしても勝てる相手じゃない。

だからこそ意味がある。

九条燐。

彼女を失望させてしまった。

最後に聞いた彼女の言葉。

「ちょっと、残念です。」

悪いけど、勝手に俺を見限らないで欲しい。

多分、このブラックワーウルフは彼女より弱い。

だから、鍛えるのにちょうどいい。


ブラックワーウルフの一撃。

俺は、死地に進む。

伸びきった所が1番危ない。

だから間合いよりさらに、中に入り込む。

LV1ファイアボールをブラックワーウルフに素早く当てる。

ブラックワーウルフが、俺を掴みにくる。

しゃがんで避けて、足にファイアボール。

ひるんだ所で重心より下から肩をぶつける。

バランスのもともと崩れていたブラックワーウルフは倒れる。


あれ。

九条さんと比べて、弱くないか…。

これじゃ、練習にならない。

俺は、LV3破壊属性デストラクションアローを無防備なブラックワーウルフの脇腹に打ち込んだ。


日曜日もブラックオークとブラックワーウルフと訓練して、いつの間にか俺はLV32にまで上がった。


そして、月曜日。

俺の銀龍学園、初登校日。

俺は、学校に来るなり、生徒指導室に呼び出された。

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