88 謎の異世界
レイジ(ボタンを押すと攻撃されるのか。)
(それとも俺以外が押したから攻撃されたのか。)
(念のために速射が無難か。)
レイジは威力を抑えた速射でボタンを押した。
すると、軽い振動の後ちょっとした浮遊感を感じた。
レイジ(何かの仕掛けが動いた。)
(これは、落下しているのか?)
コトコ「この感覚は、間違いなく落ちてるね。」
「ウチは糸でかなり衝撃殺せるけど、このままじゃかなりの死者が出る。」
レイジ「やっぱ、そうだよな。」
レイジは両手を広げ、部屋いっぱいに白いスライムを出した。
レイジ【暫くすると強い衝撃があります。】
【地面から足を離して、スライムの中で暫く休んでてください。】
予想通り、「息が出来ない」「見えない怖い」的な苦情が来たがスルー。
レイジは無色透明なスライムを出すことも出来たが、あえて色付きで出した。
凡庸が徒党を組んで半端に主張するような状況を防ぐためだ。
また、霧をコントロールできる人間は息が出来なくても、霧を消費すれば命の危険はない。
初心者でも1時間は余裕、レイジなら2、3日持つ。
レイジ(多分、余程間抜けな選択をしなければ、俺は死なない。)
(相手にとって俺は有益なハズだからな。)
(デスゲームっぽいが俺は安全圏にいる。)
(ま、このゲームの目的が解らない以上、素直にクリアすればOKって訳じゃないが。)
(しかし長いな。この時間ずっと落下してると考えるとちょっと怖いな。)
時間にして1分に満たない時間だったが、レイジたちは冷や汗でびっしょりになっていた。
そして、到着。
激しい衝撃で部屋とスライムは粉々になり、皆吹き飛んだ。
レイジはかなり軽い衝撃を受けた程度。
霧で防御力が上がっていなくても、痛い程度で済む衝撃。
地面に触れていなければ。
周囲は広い草原で近くに林が二つある。
飛ばされた人たちの中にはその林の方にも行ったが、集まりつつある。
短い付き合いだろうが、一応彼らの言動を軌跡読みしてみた。
リリス「痛ったーい。膝すりむいてんだけど!!」
「あれ?もしかして顔も怪我してんじゃないの!!」
「何なの!あのレイジってヤツ。息苦しいの我慢してやったのに怪我させんのかよ!!」
「もー、信じらんない。早く治してよ、アダムー。」
アダム「本当だな、酷いヤツだよ。可哀想なリリス、今治すから待ってろよ。」
高校生カップル。アダムとリリス。
傲慢で自己中なリリスとそれを全肯定するアダム。
アダムは頭から血を流しており、明らかにリリスより重傷。
それなのにリリスの頭と膝のかすり傷を必死に治している。
キラキラネームなのだろうが、よりによってアダムとリリス。
トラブルメーカー筆頭候補。
ユウホ「あの部屋を埋め尽くすスライム。とてつもないね。」
エミホ「やっぱり才能も経験も桁違いなんだろうね。」
カズハ「あれでアタシらの5個下よ。凄いよねー。」
会社勤めの女三人組。
大学の同級生で職場は違うが、就職後もよく集まる仲良しグループのようだ。
エミホが三人を集め、ユウホがクッションを出して防御。
悪くない連携。中々レベルが高い能力者のようだ。
他は恐らく面識がない面々。
会話がないので情報が入ってこない。
周囲には不自然な林が点々としており、遠くに村のようなものがある。
レイジ(とりあえず、この村に向かうのが正解か。)
(霧具の異世界の村。村人は地球人か?)
(それともAIみたいな感じか?)
ミヅキ「ねぇ。色々考えてるトコ悪いんだけどさ、どうするの?これから。」
レイジ「あー悪い悪い。状況把握に集中してた。」
「とりあえず、あっちの方に人?がいるみたいだから行ってみよう。」
サラリーマン風の男「なぁ、俺たちこれからどうなるんだ?」
「帰れるのか?」
アダム「オレたちに何かあったら責任取れんのか?」
「どうにかしろよ。」
レイジ「黙れアダム。これから俺にとって最適だと思う選択を示す。」
「多分この場で一番霧を扱える俺の判断に従うのが一番良いと思う。」
「でも、勿論それは100パーじゃない。責任取らないし、保証もない。それが嫌なら勝手にしろ。」
リリス「はぁ?5人以上で脱出しないと皆死ぬんでしょ?」
「わたしがいなくても良いの?本当に?」
ハスハ「ねぇ、このバカたちとのお話しは時間の無駄だよね?」
「レイジ・ウチ・イツキさん・ミヅキさん・クドー・ユウホ・エミホ・カズハ。」
「この8人で行動するのが無難じゃない?」
レイジ「まぁ何があるか解らないし、俺はトラブルメーカー以外は連れて行きたいけど。」
ハスハが悪役になってくれたお陰で良い感じに纏まって、19人で行動を開始した。
明らかにアダムとリリスは敵意を向けているが、レイジたちに危害を加える知恵も能力もないだろう。
無口なサラリーマン・クドーさんは身体強化の使い手と思われる。
レイジたち以外では一番強そうだ。
道中、弱い魔物が何度か出てきたが、レイジの速射で瞬殺していく。
実力者の女性陣の称賛を受けて、調子に乗っていくレイジ。




