85 それぞれの戦い④
ミズノ「頭くるね。多分、コイツらはどっちも我召喚生物。」
「本体は呑気に見物してたみたい。」
ジュン「む・・・。知らない顔だが、この人は味方なのか?」
ミズノ「多分ね。」
「あの強さの人がわたしたちを騙す演技をするメリットが無い。」
「さーて、コイツ等に加勢させないように足止め頑張ろっか。」
ジュン(なるほど。確かにその通り、オレもまだまだだな。)
ミズノ「そう思えるだけ、成長したんだよ。」
ジュンは照れながら敵に特攻した。
ゴールが近い。
そう感じて二人は気合いを入れた。
実際、小柄な男はレマンより弱いだろう。
ロングソード乱れ撃ちを使えば瞬殺できそうだ。
しかし、レマンは普通に1本のロングソードを持って戦っている。
レマン(コイツが纏っているマントは恐らく霧具。)
(マントみたいな霧具は得体がしれないからね・・・。)
霧具とは、それを作れる術者が長い年月をかけて作成したアイテム。
時間が経つと霧散する霧でつくった物質を不変化したもの。
故に基本的に硬質。
いや、少なくともレマンは硬質なものしか存在しないと思っていた。
レマンのロングソードは相手の爪より強力だ。
マトモに打ち合えば一発で爪が折れるだろう。
しかし相手は不思議な動きの闘法で、レマンと何度も刃を交えている。
レマン【アンタこの星の人間じゃないね。】
【私もなんだけどさ。何がしたいワケ?】
ハーロ【ふーーん。そういうコトなら戦う意味ないか。】
【オレは下っ端だからさ、目的をアンタに言う権限がない。】
【ま、オレはハーロ。マルチファイターのハーロ。】
【主君の忠実な僕さ。】
ハーロはそう言うと煙幕を張って姿を消した。
と同時に二体の我召喚生物は霧散した。
レマンはそれを妨害することも出来たが、逃げる敵を追ってまで処理する理由もない。
疲れ切っているミズノとジュンは、ホッとしてその場に座り込んだ。
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ホイトワ「おお、レイジか。」
レイジ「ホイトワ!目を覚ましたのか。大丈夫か??」
ホイトワ「フフ、大丈夫ではないの。」
「もう魂が崩れ・・そう・・・だ。」
「細かいことは、ワタシの結晶に・・・聞・・・・」
ホイトワは必死に言葉を紡ぎながら、両手を合わせた。
そして自らの魂を結晶化し、レイジに刺した。
そして、徐々に冷たくなっていくホイトワを抱きながら、イツキのことを思い出していた。
そして、自責の念に押しつぶされそうなレイジにホイトワの記憶と想いが流れ込んできた。
/////
ホイトワはレイジの治療を受けて、初めて元気に走り回った。
美味しいものを食べ、色んな人と関わり、本当に楽しかった。
レイジには感謝しかない。
複雑な想いを抱えるレイジを幸せにしたい。
どうせ一度は諦めた命。
他人のために使うのも悪くないと思った。
しかし、すぐに自分の命がそれほど長くないことに気付く。
レイジとイツキの結合は完璧だが、ホイトワとゴウタの結合には綻びがあったのだ。
霧の能力は大きく分けて3タイプある。
殆どの能力者が使える基本能力:「物質生成」「身体強化」など
一部の能力者しか使えない特殊能力:「ゲート」「召喚」など
数億分の一の者しか使えない天賦能力:「霧具生成」「時間干渉」など
完璧な魂結合は、イツキの天賦能力なのだろう。
穏やかに生きても持って1年か。
戦えば、寿命が縮む。
本気で戦えば、その日のうちに死ぬだろう。
だが、いや、だからこそ、必要なときは戦おうと決めた。
レイジがミストバトルで戦っていた頃、何度か酷い頭痛と吐き気に襲われた。
どうやら、魂が微量だが漏れ出しているようだ。
もういつ死んでもおかしくない。
その前に何か残したい。
生きた証を残したい。
そして、今回のホクーセンの襲撃。
明らかに日本を壊滅できる5人の強者。
だが、ホイトワの結晶の能力は不完全な合成魂に多大なダメージを与えることができる。
恐らくワタシは今日死ぬだろう。
だけど、日本を救って死ねる。
最高じゃないか。
最高に良い感じの生きた証。
そう考えて喜んで飛び出した。
しかし、調子に乗り過ぎた。
大幅に弱体化させたが、ソロで討伐できる相手じゃない。
キモいモンスターに倒されるのは少し嫌だが、まぁ仕方ない。
そう思っていたとき、レイジが現れた。
もう会えないと思っていたレイジに最後に会えた。
もう思い残すことはないと目を閉じる。
でも、遠退く意識の中で、レイジに結晶化した魂を刺せば、レイジの中で1年くらい生きられることに気付いた。
でも、もう遅い。
二度と目を覚ますことはないだろうから。
そう思ったが、レイジのヘタクソな治癒が再び奇跡をくれた。
最後の力を振り絞って、ホイトワはレイジの中に入った。
/////
レイジ(俺はバカだな。すぐ傍にいながら、ホイトワのことを全然解ってなかった。)
(そしてホクーセン。完全に一線超えやがったな。)
そう思って怒気が噴き出したレイジに、その場にいた全員が戦慄した。




