82 それぞれの戦い①
ーーーーー
バーブラは病院の大広間に向かっていた。
バーブラは軌跡を読めないが、向かう先に強大な敵がいることは何となく解る。
第六感が、格上の存在を示していた。
冷や汗をかきながら現地に着くと、ヤマトとムラサキが敵と戦っていた。
敵は身長2mくらいの小太りの男。
ソイツの目の前には弾力のある立方体の塊。
そこから出る触手の様なものと二人は戦っている。
ヒスー【ヒャハハハハハ。良かったなぁ、増援が来て。】
【折角秘術を使ったんだ。もっとこのヒスー様を楽しませろよー。】
バーブラ【状況は?】
ムラサキ【相手の能力は「ゼリー」なのかな?】
【ゼリーの塊からムチが伸びてきて攻撃してくる。】
【そのムチの攻撃力が高い上に、ゼリーの壁を突破して此方が攻撃する術がない。】
ヤマト【確か、キミも打撃系の能力者だったな。】
【だがまぁ、三人寄れば良い戦法の一つも見つかるか?】
バーブラ【レイジやコトネなら、燃やしたり切断したり出来たのにね。】
【って糸の能力を舐めないでよね。】
【私が本体に攻撃を試みるから、二人はヤツの注意を逸らして頂戴。】
バーブラは糸を飛ばしてヒスーの元へ高速移動を試みる。
ヒスーはその糸をゼリーのムチで攻撃して、それを阻害する。
ゼリーは糸を切断できないが、見た目に反してかなりの質量があるようだ。
バーブラはバランスを崩して元の位置に戻る。
バーブラ(ゼリーと糸の相性は悪くない。)
(動線を曲げられるだけなら、対応できる。)
ヒスー【おいおい無視かよ、寂しいなぁ。】
【そのすかした顔を歪めてやるぜ。クソ美形がよぉぉ。】
バーブラは再びヒスーの言葉をスルーして、複数の糸を張り巡らせて再び接近を試みる。
ゼリーは高速で動き、それを阻害する。
バーブラ(やっぱり良い動き。)
(ナリーと違ってバカっぽいけど考えてる。)
(でも、明らかに調子に乗ってるよなー。)
バーブラは戦いながらゼリーの強度を確認していた。
ゼリーは糸で切れる。
だが、切った先からくっついてしまうから切断は難しい。
バーブラ(恐らく、切断できるのは直径10cmってトコか。)
ヤマト達と戦っていた頃は、直径10cmになることは殆ど無かった。
しかし、今はバーブラの複雑な動きに対応するためにかなり細くなっている。
バーブラは機を伺って一気に10箇所を切断した。
そして、本体から離れた大量のゼリーをヤマトの方に蹴り飛ばした。
ヒスー【はぁあ?クソがーーー!!】
焦るヒスーはヤマトに攻撃を仕掛ける。
しかし、バーブラへの警戒も怠れない。
必然的に細いゼリーが多くなる。
それを再びバーブラが切断。
冷静さを欠いたヒスーの暴走をバーブラが上手に利用し、次々とゼリーを切り刻んでいく。
そして、最初にあった巨大ゼリーを半分くらいまで減らすことが出来た。
ヤマトの後ろのゼリーが霧散した瞬間、二人で歓呼の声を上げた。
ヒスー【ふぅぅぅぅ。案外やるな。舐め過ぎたのは反省が必要だな。】
【だが、本気を出させたことを後悔させてやるぜ?】
再びヒスーの言葉を無視し、突進するバーブラ。
ヒスーは再びゼリーを増やすことが出来るだろう。
だからその前に、ゼリーを再び生成する前に本体を叩くために。
ヒスーはゼリーに両手を突っ込んでゼリーを増やしているが、明らかに遅い。
物凄い質量のゼリーなので、仕方がないのかもしれないが違和感がある。
罠かもしれないと思いながら突っ込むバーブラ。
案の定、ゼリー目前にバーブラが迫ると、一気にゼリーを増やしてバーブラをゼリーで包んだ。
バーブラはこれを予期して天井に糸を付けていたが、ヒスーはそれをスローナイフで切断した。
ヒスー【ふぅぅうう。ボクを舐めるからこうなる。】
【ボクの得意能力は「ゼリー」だけど、ゼリーしか出せない訳ないだろ。】
【一度糸を斬ってしまえば、ボクのゼリーを貫いて外部に糸を飛ばすことは不可能。】
【能力者はすぐに酸欠にならないけど、もう脱出は不可能。】
【ヒャハハハハハ。結構頑張ったが、ボクの作戦勝ちってヤツだな。】
ヒスーが高笑いをした瞬間、後方からの刃がヒスーの心臓を貫き、そのまま片腕まで斬り落とした。
ムラサキが静かにヒスーの死角に潜み、攻撃したのだ。
ヒスーは断末魔をあげる間もなく絶命した。
バーブラ「はぁはぁ。」
【何とかなったね。ナイス二人。】
ムラサキ【随分無茶な作戦よね。】
【ヤツを刺す瞬間、緊張し過ぎて吐きそうだったわ。】
バーブラ【アイツはそこまでバカじゃなかったけど、やっぱり驕ってんだよね。】
【メンタルがお子様。それがホクーセンの弱点。】
ヤマト【ふっ。何にしても二人じゃ手が足りなかった。】
【ありがとな。じゃあ、少し休んだら他のグループの応援に行こうか。】
バーブラ&ムラサキ【了解ー。】




