81 霧具世界
レマン【とりあえず、何も言わずに次々見てって。】
不思議な顔をしながら、4人は順々にレマンのスカートの中を覗き込んだ。
レマン【さて、では何が見えたか教えて頂戴。】
レイジ【普通に白いパンツが見えました。】
ハスハ【えっと、暗くて見えなかったすけど。】
バーブラ【え?パンツは黒かったと思うけど。】
オカダ【どういうことだ?青いパンツだった気が・・・。】
レマン【やっぱりか。】
【今私たちがいる世界は作りもの。】
【見る人にとって違和感がないものを見せる系の幻術世界。】
ハスハ【何言ってるんすか?全然意味解んないっすけど。】
レマン【私のスカートの中は、見たらビックリするものだった。】
【だから、この世界の仕様で別のものに置き換わったの。】
オカダ【それは、対処方法も解ったということか?】
【ココはドラゴンの腹の中とか言わないよな?】
レマン【ココは霧具が作った仮想空間。この規模だと使い捨てかな?】
【メイカーと言われる特殊な能力者が何年もかけて作った特殊アイテムで私たちは今ここにいる。】
【こういう空間は、とにかく破壊すれば解除されるハズ。】
【内蔵されている霧のキャパを超えれば良いだけだから。】
オカダ【なるほど。つまり、この空間の目的は時間稼ぎなのだろう。】
【急いで破壊するぞ!!】
5人はそれぞれの能力で周囲の物を破壊した。
レマンに言われてレイジの火炎弾を空に向かって撃つと、空の中心が炎上。
やはり、ココが仮想空間で間違いないと全員が確信した。
すると空間がひび割れ、大きな光に吸い込まれていく。
光が収まると、対策課の上の側。
病院の駐車場にいた。
病院は炎上しており、周囲には激しい戦闘の痕跡があった。
レイジが軌跡を読むと明らかに人を超越した化け物が5体。
それぞれの相手を対策課の仲間がしているようだが、明らかに劣勢。
レイジ【敵は丁度5人。】
【何処も劣勢だから、俺たち1人ずつが応援に行って何とか盛り返すぞ。】
オカダ【凄い自信だな。】
【だが、まぁやるしかないか。】
レマン【何かスッカリ仲間扱いですね。】
【まぁ細かい話は落ち着いてから。】
【とりあえずは協力して差し上げますよ。】
レイジは焦っていた。
本当は一人で走り出したかった。
しかし、軌跡読みが出来るのは自分だけ。
チームの一員として、個人的な感情で行動する訳にはいかない。
だから、平静を装って仲間に敵の居場所を指示してから目標に向かった。
レイジの向かう先にいる化け物と戦っているのは、ホイトワ。
ホイトワだけが、化け物と1対1で戦っていた。
レイジ(アイツ何考えてんだ?戦闘タイプじゃないだろ?)
(絶対ヤバい。俺が到着するまで死ぬんじゃねーぞ。)
ホイトワたちが戦っているのは、病院近くの公園。
近付くと、2mほどの結晶の破片が所々に突き刺さっている。
これはホイトワがつくった結晶だろう。
だが、こんな大きな結晶は見たことがない。
その先でホイトワが結晶の鎧を纏って、化け物と対峙していた。
レイジ「ホイトワ!無事か?」
ホイトワ「おー、レイジ。良かった、後は頼む。」
レイジ「任せろ!!」
ホイトワはレイジの言葉を受けて軽く微笑み、その場に倒れた。
同時にクイナが霧散。
我召喚生物は意識が無くなっても霧散したりしない。
レイジは嫌な予感がしたが、気にしている暇はない。
ホイトワと戦っていた化け物が、倒れたホイトワの頭を踏みつけようとしている。
レイジは急いでもう片方の足に弾丸を入れる。
咄嗟に撃った弾は高速回転しており、足の皿を貫通。
続けて吹き飛ばし弾を撃って化け物を吹き飛ばす。
更に余剰魂でカートを出し、ホイトワを安全な場所に移送。
カートを通じて、酷い流血と体温の低下に気付く。
レイジ(ゆっくり戦っている場合じゃない。)
(頼む、グルード!)
グルード「いきなり呼ぶなよ。俺には時間制限があるんだ。」
「とは言え、ホイトワのためなら仕方ないか。」
グルードは化け物にビームを放った。
ビームは化け物の身体をズタズタにしてあっという間に倒してしまう。
グルード「じゃあ戻るぞ。」
「次は強敵が相手のときに呼べよ。」
前回と違って優しいグルード。
ホッとしてレイジはホイトワの元に駆け付ける。
ホイトワは何とか息をしているが、非常に弱々しい。
レイジは鎧を外し、ホイトワの身体を見て絶句する。
生きているのが不思議なくらい酷い怪我をしている。
レイジは自己回復は得意だが、他者を回復する才能はない。
しかし、全く出来ない訳ではない。
レイジはホイトワを優しく抱きしめ、回復能力を発動させた。
全快させるのは無理だが、目を覚ますことが出来れば自己回復で何とかなるはず。
そう信じて、レイジは祈った。




