77 新たな仲間?
レイジ(コイツは人間じゃないのか?龍化人化っていう違う種族か?)
(この辺は考えても仕方がない。理解すべきはこの攻撃が有効か否か。)
(少なくとも失った部分は霧で補完してるから、痛くも痒くもないってコトはない。)
(むしろ、平気なフリをして強がってると考えるとシックリくる。)
レイジはニヤッと笑い、先ほどと同様に火炎弾を撃つ。
案の定、ヤセマンはそれを全力で回避する。
ヤセマン【糞がぁーー!今度はコッチの番だぁー!】
レイジ(キレた?短気過ぎじゃない?)
(いや、そう思わせる作戦じゃないか?油断大敵。)
レイジはそう思ったが、とても油断できる状態ではなかった。
ヤセマンはその姿をドラゴンに変えた。
西洋の翼が生えたタイプではなく、中国の細長いヤツだ。
全長は10mくらいあるだろうか。
そして、強烈な竜巻と衝撃波がドラゴンの身体中から出てくる。
レイジの速射は堅い鱗に阻まれ、火炎弾を撃ってもすぐに消火されてしまう。
氷結弾、炸裂弾も試すが、効果は薄いようだ。
竜巻と衝撃波を防ぐ盾は、噛み付き攻撃で破壊される。
ヤセマンの激しい攻撃の前にジリ貧に見えるレイジだが、その表情には余裕があった。
レイジ(恐らくこの状態は長く続かない。)
(時間制限付きのブーストだろ?)
(それにこれだけの巨体にはリスクもある。)
噛み付きのときに口内に速射を入れてやると、流石にかなりのダメージがあるようだ。
顎の下や腹部には鱗がないし、徐々にこの状態でも戦いになってきた。
とは言え、中々バテないヤセマン。
レイジの方が先にバテてしまいそうだ。
レイジの霧はまだ半分くらいだが、集中力が低下し始めた。
レイジはヤセマンの尾による叩きつけの直撃を受けて数m吹き飛んて壁に激突した。
かなりのダメージがあり、吐血している。
ヤセマン【ひゃはは。もう限界だろ?粘っても意味ねーぜ。】
レイジ【あぁ、そろそろ良いだろ。】
【俺の余剰魂たち。このドラゴンを食い尽くせ!!!】
レイジは、ヤセマンの身体の脆い部分に余剰魂を付けながら戦っていたのだ。
半端なダメージは効果があるのか解らない。
だからギリギリまで堪えて、一気に攻める作戦だ。
ヤセマンは体内を食い破られ、悲痛の叫びを上げる。
ヤセマンは最後に手に玉を出現させ、それを放った。
次の瞬間、ヤセマンの身体は霧散した。
レイジ【おい、結局コレ召喚体ってことか?】
ヤセマン【召喚体ではあるが、全て霧散したら死ぬ。】
【本体が召喚体と言えば解るかな?】
【あっ、その前に降参です。】
【あなたの勝ちで良いですよ。このまま戦うと命の危険があるんで。】
レイジ勝利。2勝2敗、決着。
ヤセマンがギブアップすると、次の瞬間、不思議な空間が消滅し、元の世界に戻ってきた。
レマン【情けないね。私たちの負けですか。】
【それじゃあ、大人しく撤退しますかね。】
素直に要求を呑もうとするレマンを見て、安堵する一同。
ハスハ【じゃあ、捉えた人間たちを解放して。】
レマン【無能力者に対してお優しいですね。】
【良いでしょう。では一緒に行きますか。】
それから一同は、ホテルで監禁されていた人たちを開放した。
多少の混乱を予想していたが、彼らは衰弱しきっており、静かに病院に搬送された。
レマン【それでは、これで解散しますか?】
【それとも、雑談でもします?】
オカダ【幾つか気になることがある。】
【教えてくれるなら有難いな。】
他のメンバーはホテルに戻り旅の準備を始めるようだ。
レマンだけがその場に残った。
レマンの希望で、ムラサキ屋で食事しながらお話する流れとなった。
ハスハ【調子狂うなー。この人も極悪な宇宙人なんでしょ?】
オカダ【どうだろうな。この人は毛色が違う気がするんだよな。】
レマン【では、私たちがこの世界に来た経緯をお話ししますね。】
レマン達は、異世界にあるセエイイ王国という大国の兵士だった。
他国との小競り合いはあったが、大きな戦争はなく比較的平和な王国。
そんなセエイイ王国は、他の異世界から来た5人組の手によって一夜で滅亡した。
彼らの強さは圧倒的で、セエイイの兵士は手も足も出なかった。
レマンたちはこの5人組から逃げてきた逃走兵だ。
宇宙ではよくある話。
宇宙には、魔人と呼ばれる戦闘狂がいる。
魔人は人間とは比較にならない強さで、多くの星を破滅へと導く。
そして、故郷を滅ぼされ逃走した者の多くが、その憎しみと悲しみをより弱い者にぶつけていく。
セエイイの兵士たちも、この世界に降り立ったとき、魔人のような眼をしていた。
憎しみと悲しみを理不尽に振り撒く狂気を含んだ眼。
レマンも同じ気持ちはあるが、彼らのような変貌を遂げることはなかった。
足並みを乱すのは悪いと思って合わせていたが、無抵抗な人間を傷付けるのは不快でしかなかった。
レマン【ということで、ココに住んでも良いですか?】
突然の申し出に困惑する一同。
しかし、特に宇宙人を追い出す様なルールもないし、マイとホイトワに相談することにした。




