72 代表組 対 居残り組②
オカダは下半身を諦め、上半身を回復させた。
ミズノ【凄っ、こんな状態からでも回復できるんだ。】
オカダ【かなりの霧を消費するがな。】
【してやられたよ。】
【もう出し惜しみしてる場合じゃないな!!】
オカダの奥の手は「上乗せ」。
膂力はそのままに速度が格段に向上した。
シンプルだが、攻守最強クラスのオカダの高速移動は極めて強力。
一発の攻撃が水を吹き飛ばし、無防備になった所に渾身の一撃を入れる。
ミズノの攻撃は今のオカダには全く当たらない。
仕方なく、ミズノは防御に徹して時間を稼いだ。
程なくして、ミズノの左腕が酷い状態になっていく。
ワザと攻撃をなるべく左腕で受けているようだ。
オカダ(ちっ、相変わらず細かいヤツだな。)
(左腕を捨てることで消費霧を節約してやがる。)
オカダ「オレの負けだ。」
オカダは霧が尽き、身体強化が解除された。
その瞬間、ミズノはオカダの心臓に刃を突き立てた。
オカダ「ふぅ、強くなったな。」
「最近は負けてばかりでマイるよ。」
「過去にならないように精進しないとな。」
ミズノ「何言ってるんですか。」
「ウォーターカッターのアドバンテージがあってなおギリギリ。」
「あんまり勝った気になれないですよ。」
ホイトワ【ふむ。全体的にレベルアップしてて良い感じだの。】
【さて、レイジはもう準備良いかの?】
レイジ【あー、良いよ。】
【ゴメンな、順番変えて貰って。】
ホイトワ【野良試合みたいなもんだから、順番なんてどーでも良かろう。】
【じゃあ、最終戦行くぞ。】
【召喚体レイジ対ハスハ、開始。】
ハスハ【いやー大トリは想定外っす。】
【お手柔らかにー。】
言いながらハスハはレイジに接近してくる。
レイジは速射で攻撃するが、ハスハは腕でそれを弾く。
そして、片手から棒を出して飛び、もう片方の手から剣を出して斬りかかってきた。
ハスハは物質生成と身体強化で戦う、極めてよくあるスタイルだ。
しかし、ハスハは素早く物質を出し入れすることで、高速で流れるような攻撃を繰り出してくる。
レイジの講義を受けていた頃とは比べ物にならない能力者に育っている。
接近を許したレイジは、良い攻撃を何発も貰っている。
レイジ(だが、無駄が多い。)
(俺の余剰魂と違って物質生成で出した物は、戻せない、つまりロストしているハズ。)
(この動きのためにどれだけの霧を使っているんだ?)
レイジは状況を打破する大技もあるが、あえて使わず様子を見た。
危険を犯さなくても、すぐにハスハがバテると思ったからだ。
しかし、注意深く軌跡を読むと、何か違う気がした。
レイジ(もしかして、何らかの裏技で戻しているんじゃないのか?)
(余剰魂を使えるわけないが、戻しているならこの状況は良くない。)
レイジは炸裂弾でハスハの剣を撃ってみた。
近距離なので、レイジにもダメージがある。
ハスハはレイジよりダメージは大きいが、回復も洗練されていて燃費が良さそうだ。
しかしこの時、折れた剣先の霧散でレイジは確信した。
剣先の霧散はこの場で初めての現象。
カラクリは不明だが、さっきまでの物質はやはり霧散していなかった。
レイジ(この誤魔化しで、俺はハスハの三倍くらいの霧を消費した、かな?)
(中々やるね。)
レイジはハスハを吹き飛ばし、火攻めをしようとした。
しかし、吹き飛ばし弾を受けてもハスハは吹き飛ばない。
地面に尖った物質を突き刺して耐えた。
次にレイジは足を伸ばして距離を取ろうとするも、ハスハも物質を出して追いかける。
これらの併用で一瞬距離が取れ、火炎弾を撃つが霧散弾を撃つ前に接近戦に戻る。
氷結弾で凍らせても、内側から物質を出して破壊される。
レイジ(身体強化は俺の方がやや上だが、接近戦でアドが取れない。)
(やっぱり出し入れ自在の武器が強すぎる。)
(いや、待てよ。俺の変形でも似たようなことが出来るんじゃないのか?)
レイジは不慣れな変形も織り混ぜて、何とか戦線を維持。
レイジがやや不利な状態のまま戦いが続いたが、先にハスハの霧が尽きた。
レイジのボディーブローを強化なしで受けて、ハスハは霧散した。
ハスハ【くー、やっぱ勝てないかー。】
【やっぱ国代表の壁は厚いってコトっすね。】
レイジ【いや、ミストバトルで戦った誰より強かった。】
【霧切れは単純に年期の差。】
【センスは十分世界レベルだよ。】
バーブラ【て言うかさ、何で霧で作った物質を出し入れしてんの?】
ハスハ【それは自分でもよく解んないんすよね。】【最初から何か出来たんすよ。】
ホイトワ【ハスハの能力は「骨」の物質生成。】
【人間の身体の一部と同じ性質の物質は、戻せる仕様なのだ。】
レイジ(余剰魂の物質も、魂があるという点で身体の一部と同じ扱いなのかな?)
結局、思い付いた新技を使うタイミングが無かったレイジ。
その後、暫く仲間たちと能力談義をしてから解散した。




