68 レイジの我召喚
頭を破壊されたことによって、ナリーの精神が失われ、狂暴な怪獣になったようだ。
愚か者の精神を失ったことでパワーアップを果たしたようだ。
蝙蝠のような羽根と甲虫の様な黒い外骨格を持つ人型の異形。
その化け物は、広範囲に劣化のオーラを放った。
建物中で劣化が起きる。
先ほどのオーラは、霧で作った物質のみを劣化させていたが、今度は万物を劣化させる。
そのオーラは酸の様にレイジたちの身体を溶かす。
コイツと戦うには、常時回復の能力を使わないといけない。
能力で回復出来ない者は、肺をやられて一瞬でリタイヤだろう。
しかし、回復が出来てもゴリゴリ霧を消費するので、長期戦は不可能。
レイジ【この中じゃ、糸の能力は殆ど使えないだろ。】
【追い強化で霧も減ってるだろうし、ジョナス連れて逃げた方が良いんじゃないか?】
バーブラ【そういう状況で、アンタは一人で勝てる訳?】
【犠牲になろうとか考えてんならぶん殴るよ。】
レイジ【いや、足手纏いならいない方が良いかなーって。】
バーブラ【コノヤロウ。解ったよ。でも、絶対死ぬなよ!!】
バーブラはそう言うと、ジョナスを抱えて工場跡を出た。
レイジ(さーて、どうしようかな。)
(この強酸の中で劣化前提弾を撃ったら、多分アイツに届かない。)
(さっきのオーラは霧を分解するオーラ。)
(今回のオーラは酸のようなオーラ。)
ゆっくり考えている時間はない。
甲虫人間は、外骨格に似たブーメランの様なもので攻撃してくる。
レイジはそれを余剰霧で防ぎながら、対応を考えないといけない。
しかし、この外骨格ブーメランがこの状況を打開するためのヒントになった。
レイジが出す盾はオーラで表面が溶けているが、甲虫人間やブーメランは溶けていない。
レイジ(えーと、確か酸にはそれぞれ溶かすもの溶かさないものがあるんだよな。)
(塩酸や硫酸はガラス容器に入れるけど、ガラスはフッ酸で溶ける。)
(フッ酸でも溶けないプラスチックはシンナーで溶けるんだっけ?)
レイジは外骨格ブーメランに触れてみた。
その性質はガラスとプラスチックの中間のような感じ。
触っただけで材質が解る訳ではないが、とりあえず「これと同じもの」と念じてみた。
出てきたものは同じではない。
何故なら灰色だし柔らかいからだ。
しかし、これは甲虫人間のオーラで溶けないようだ。
レイジはこの物質を纏い、この物質の弾で甲虫人間を攻撃した。
しかし外骨格は堅く、この物質では傷つけることは難しい。
外骨格を真似た謎物質では、攻撃力が足りないのだ。
謎物質を纏って酸のダメージは半減したが、長丁場は無理。
極薄の謎物質を纏った通常弾。
これが最適解と思われるが、上手く作れない。
万全な状態なら作れるハズ。疲労だろうか。
そう考えていると、隅の方で静かにしていたサニーが動き出したことに気付いた。
レイジ【何だ?サニーお前も戦うのか?】
サニー【違います。酸のダメージが酷くて、もう出ないと・・・。】
レイジ【そっか、じゃあコレ着てけ。】
レイジは謎物質のマントをサニーに掛けてやった。
サニーは何も言わずにそれを着て外に出て行った。
レイジ(礼もなしか、いや礼を言うのも霧使うしな。別に良いけど。)
サニーを見送ると、再び勝ち目のない泥仕合を続けた。
勝ち目はないが、無謀な泥仕合ではない。
ジョナスを逃がしたということは、応援が呼べるということ。
コトネなら空気操作で酸のオーラを避けることが出来る。
オカダなら酸の中でもかなり自由に戦えるだろう。
レイジは、応援が来るまで凌げばいいと考えていた。
スマホは酸で壊れているとして、クオーツに乗って会場まで5分。
会場に着けば、ゲートでこっちに来るのは一瞬。
長く見積もっても10分もあれば応援が来る。
そのくらいの時間凌ぐのは余裕だと考えていた。
しかし、それから20分経っても応援は来ない。
レイジの体力も霧ももう限界が近付いていた。
レイジ(このまま待っていても良いのか?でも、他に策がないしな・・・。)
(あれ?サニーが戻ってきた?何しに来たんだ?)
サニー【バーブラはデリーに倒された。応援は来ないぞ。】
サニーはそう言うと、霧の塊をレイジに浴びせた。
サニー【あたしのメインスキル。他者の霧を回復させる。】
【お前らを見てて、悪いのはホクーセンだと思い知った。ま・・ける・・・な・・・】
レイジの回復に全ての霧を使い果たしたサニーは、酸のオーラで肺を焼かれて絶命した。
レイジは、回復した霧で脳強化を行ったが、解決策はない。
ただ一か八かの手段はある。
謎のタマゴだ。
サニーのお陰で何とかタマゴを出す分の霧がある。
使ってみると、出てきたのはタマゴではなく人型の我召喚生物だった。
背中には爬虫類っぽい翼、手の甲には鱗があり、頭には二本の角。
そして、腰まである長いサラサラヘアのイケメンだ。
グルード「よう本体、俺は龍化人化のグルードだ。」
「あとは俺に任せて寝てろ、ザコが。」
出てきた我召喚生物はいきなり機嫌が悪いようだ。




