06 天然娘コトコ
レイジがコンビニに到着すると、コトコの姿は見えなかった。
少し焦るが、トイレに入っていることが解った。
正確には「コトコっぽい女性」で、断言はできない。
レイジはトイレの手前の小部屋で「コトコすぐ出てこい。」と小さな声で言った。
すると、用を足している最中のコトコがそのまま出てきた。
レイジは焦って「戻れ。」と言った。
レイジ(命令されれば、ズボンを濡らしてでも最優先で実行するのか。)
(いや、「すぐ」だからか?)
レイジ「コトコ急いで出てこい。」
今度は、すぐには出てこず、10秒ほどすると濡れたズボンを履いて出てきた。
レイジ(対象の状況が解らないときに、下手な命令をするのは危険だな。)
(恐らく、実行したら死ぬような状況でも実行するのだろう。)
(「すぐ」や「急いで」の解釈次第だろうけど。)
レイジ「とりあえずコトコ、お前の家行くぞ。」
コトコ「はい、えっとあの、その、ウチこれからどうなるんですか?」
レイジ「はぁ?」
コトコ「あっ、いや・・・。何でもないです。」
レイジ「移動しながら、昨日あったことを話せ。」
「簡潔にな?」
コトコは、講義が終わり帰ろうとしたとき、落とし穴に落ちたようだ。
その先の真っ暗な空間で拘束され、何時間も「レイジと関わるな」と言われてから解放されたようだ。
レイジ(建物内で落とし穴。ゴウタのゲートで決まりだな。)
(戦闘中に使うのは難しいが、罠としては攻撃力があるんだな。)
(イザとなれば太平洋のど真ん中に落とされたり。)
(いや、時限爆弾がある密室の方が手っ取り早いか。)
(ゴウタは窃盗し放題だもんな。)
それから、コトコが住むアパートに着いた。
レイジ「臭いから、すぐに濡れてるの脱いで洗え。」
下心のある命令をするレイジ。
だが、被害者でしかないコトコの姿を見て、平常モードに戻ってきた。
レイジ「ゴメン。普通に隠れて履き替えて良いから。」
「もう変な命令はしないから、普通に話がしたい。」
「嘘禁止で、あとは自由に話をしよう。」
平常モードに戻ると、人生初の女子の部屋とか、下半身丸出しのコトコを思い出してドキドキしてきた。
コトコ「昨日の穴も、今日のレイジさんのコレも、超能力ですよね。」
「ウチも指から変な糸が出せるんですけど、これもその一種なんでしょうか?」
レイジ「そういうのいきなり言っちゃうんだ。」
「あぁ、操られてるから隠しても意味ないか。」
「昨日の穴は、同級生のゴウタの能力。」
「好きな場所と繋がる次元の穴みたいなのを出せる。」
「ゴウタの仲間のリュージは、切れ味の良い衝撃波を出せる。」
コトコ「いえ、レイジさん良い人みたいだから。」
「レイジさんは、そのゴウタさんと戦うんですか?」
レイジ(無理矢理操って、下半身晒させたりもしたのに、良い人?)
(この子バカなの?天然ってレベルじゃないぞ。)
レイジ「ああ、俺はゴウタたちのせいで三年間孤独を強いられた。」
「能力を得て、能力者同士仲良くしようって話になったけど、裏切られた。」
「だから、もう戦うしかない。と言っても、操作して終わりかもしれないけどね。」
「でも、相手はあのゴウタだ。」
「何が起きるか解らない。万全を期して挑む必要がある。」
その後、コトコの証言等から、操られている者の状態を理解した。
受信針を受けただけでは自覚は無く、命令を受けるとそれについて最善を尽くす。
出来ることしか出来ないし、記憶を操作したりは出来ないようだ。
コトコの能力は、木綿の様な糸を出す能力。
拘束したり、首を絞めたりには使えそうだが、能力者なら容易く対処できそうだ。
ただ、能力で服を出したりできそうなので、日常生活の役には立つだろう。
コトコには今後も役に立って欲しいので、能力で服を作ってそれで通学するように指示した。
レイジもコトコに物質生成の基礎を教わった。
レイジは、小さな黒くて硬い塊を出せるようになった。
頑張ったが、今の時点で出せるのはこれだけのようだ。
コトコに兎のフンと言われた謎物質だが、操作の受信針の要領で飛ばすことが出来る。
実験と試行錯誤を繰り返し、100mで弾が消えるエアガンって感じの技を習得した。
頼りになると言うには弱いが、役には立つ能力だ。
続いて、再び周囲に不審なものがないか確認すると、玄関に小さなゲートがあるのを見つけた。
500円玉サイズの小さな穴。
レイジ(やられた!)
(ゴウタの能力はワープゲートと銘打っているが、遠くの空間を繋ぐ能力!)
(小さなゲートをつくれば、盗聴に使える!!)
(いつから聞かれていた?)
(警戒していたから、最初から聞かれていた訳ではないハズ。)
レイジも軌跡読みでゲートの向こうを探知した。
場所は恐らくゴウタの家。
リュージと二人で此方の話を聞いているようだ。
レイジ(二人の感情はそこまで昂っていない。)
(何も聞かれていない?)
(操作能力のことや戦う宣言を聞かれていたら、こんなに落ち着いている訳がない。)
(今ゲートを開けたばかりだとしたら、むしろ都合が良い。)
レイジ「コトコ、昨日の犯人が解ったぞ。」
「出て来いよ。ゴウタ!リュージ!」
「出てきて説明しろ!!」




