58 日本対ホクーセン
侍メカと紅白騎士の立ち上がりの実力は互角。
戦いは1対2だが、侍メカは二刀流。
人とは違う可動域の肘で器用に片手一刀で一体を対処している。
毎秒複数回の金属音が鳴り響く。
双方トップギアで戦っているように見えるが、二人とも表情に余裕がある。
単に楽しんでいるだけか?それとも隠し玉があるのか?
5分ほど、目まぐるしい攻防が続いた。
その後、先に仕掛けたのはマリオンだ。
侍メカの両腕が二つに分かれ、刀と腕が四本になった。
そして、増えた刀で紅騎士の頭と白騎士の片腕を砕いた。
いや、正確には兜と鎧の腕部分を砕いた。
ユリアの我召喚は騎士ではなく鎧だった。
身体のない空洞の鎧は、その正体が明らかになるとバラバラになって侍メカを攻め立てた。
その攻撃は激しく、侍メカは捌き切れず痛んでいく。
しかし、鎧の方も無事ではない。
侍メカ以上にボロボロに見える。
捨て身の特攻と思われる。
しかし、ユリアの方は自身の特攻で急所を壊したりはしないだろう。
対して、マリオンの方は急所を破壊されれば終わる。
侍メカはロボットっぽいが人型だ。
その急所は十中八九頭か心臓部分だろう。
しかし、鎧の急所は全く見当もつかない。
このままだとユリアの勝ち。
殆どの観客はそう思っただろう。
しかし、その状態を見ていたマリオンは静かにガッツポーズ。
次の瞬間、侍メカはスリ足、いや足裏の車輪で高速移動し、二つの鎧の破片を攻撃した。
これで全ての破片が霧散。急所を破壊したのだ。
ユリア【くっ。結局全敗か。】
【何で急所が解った?】
マリオン【安全圏にずっといるのが急所ってのがセオリー。】
【だから、それを見破られないように立ち回ったのは見事。】
【それで次は痛んでない欠片を探したの。】
【そしたら、付けた覚えのない傷を見つけたの。】
ユリア【激しく動く欠片の傷の形まで見てたなんて・・・。】
【クリムとグリムに上手な傷の偽造は無理だもんなー。】
【完敗です。】
マリオン【でも、実戦だと安全圏から欠片探しなんて出来ないしね。】
【この勝利はルールに助けられた勝利。普通の戦いだったらどう転ぶか解んない。】
【アンタは強いよ。誇って良い。】
ユリア【ま、まあね。アンタ、アタシに勝ったんだから絶対に優勝しなさいね。】
マリオン【はいはい。善処しますよ。】
結果、全勝で初戦を終えたアメリカは、大歓声の中で会場を去った。
ロシアも最後の試合が見事だったので、全敗だが観客は湧いている。
続いての試合はインドのストレート勝ち。
更に次はドイツのストレート勝ち。
国ごとのレベル差はかなり大きいようだ。
マリオン対ユリアの様な名勝負は初戦ではそう見られないみたいだ。
そして次は、日本対ホクーセン。
ホクーセンは雑魚、日本のストレートと思われる。
一戦目・コトネ対ナリー。
ナリー【折角幼女を甚振れるかと思ったら、我召喚かよ。】
【面白くねーな。さっさと終わらせてやんよ。】
相変わらず、知性も理性もない下衆野郎ナリー。
本来なら、コトネはこんなバカは歯牙にもかけないだろう。
しかし、昨日に引き続き童顔を弄られたコトネは明らかに冷静じゃない。
デスサイスは試合開始と同時に全ての刃でナリーに襲い掛かった。
しかし、その場にナリーはいない。幻術だ。
次の瞬間、姿を消したナリーの渾身の右ストレートがデスサイスのビー玉を一つ破壊した。
完全なる油断。
幻術は中々だが、身体強化は発動まで時間がかかる上に大したことがない。
その後、コトネは刃で風の流れを作り、ナリーの居場所を把握。
何とか気持ちを落ち着けて、丁寧にナリーを斬り刻んだ。
勝てはしたが、遥か格下に大きなダメージを受けたコトネ。
自責の念で一杯になりながら、試合場から出た。
二戦目・オカダ対サニー
サニーはナリーと違って紳士的っぽい。
光弾を操り、素早さ重視の身体強化も操るそれなりの能力者だ。
だが、光弾はレイジの速射より弱くて遅い。
オカダは暫く様子を見て、機会を伺う。
そして、サニーが光弾を連射したタイミングで、突進して顔面に右ストレートを決めた。
サニーの光弾が数発直撃しても、オカダには大したダメージはない。
しかし、オカダの渾身の右ストレートは一撃でサニーの命を刈り取った。
三戦目・レイジ対ショー
ショー【うーん。全敗は良くない。】
【全敗なんてしたら、ボクらは明日行方不明になるだろう。】
【日本人は優しいよね?ワザと負けてくれたりは・・・?】
レイジ【無様な試合をしたら、俺だって立場が危うくなる。】
【そこまでする義理はない。君はホクーセン最強の使い手だろ?】
【ちゃんと実力で勝てよ。】
ショー【クソーーー!!仕方ない、やってやるよー!!!】
ショーは自分の身体に指を突きさして叫んだ。
レイジ(これは・・・覗き魔の能力と同じ感じかな。)
(こういうのを国際試合で使われるとは。)
ショーの身体は元の約2倍の3m強になり、筋骨隆々で頭には二本の角。
全身は毒々しい緑色で、背中には翼の様なものを生やしている。
そして、牙の様な爪でレイジに引っかき攻撃を仕掛けてきた。
レイジはそれを紙一重で避けたが、爪から斬撃が飛んできて、レイジを切り裂いた。
広範囲斬撃攻撃。
生身なら盾で防御できるが、身体強化メインの召喚体だとちょっと対処が難しい。




