05 戦う決意
大学が終わって帰り道。
誰かと過ごすのも嬉しいし楽しいが、遊んでいる暇はあまりない。
今後、多くの人間が能力に目覚めて、能力社会になるだろう。
そこで後追いになるか先駆者になるかで、今後の人生は大きく変わる。
後追いになったら、ゴウタはレイジを切るだろう。
そう考え、復讐するどころか依存しかけていることに気付いて焦る。
レイジ(ゴウタは非情だ。)
(対等な関係でなければ、そのうち搾取されるに決まってる。)
(探知で評価を維持し、操作を切り札にする。)
(そのためには成長は不可欠だ。)
レイジが操作するための受信針は、同時に20本くらい出せる。
そして、30分ほどで出せる針が1本回復する。
一度針を受けると操作受信状態になり、それは時間経過で解除されない。
そして、同時に何体まで的な制約もなさそうだ。
また、レイジの意思でも解除できないようだ。
今のところやり方が解らないだけの可能性もあるが。
羽虫に「上空を10周してから指に止まれ」と命令しても実行できる虫はいなかった。
動かない虫、延々と周り続ける虫、1、2周で指に止まる虫。
10周回るというのが、虫には難しいのだろう。
つまり命令しても、それを受ける生物に出来ることしか出来ない。
また、その生物の能力によっては間違える可能性もあるようだ。
やはり人に使った方が理解が進むハズだが、リスクも大きい。
因みに人語を理解しない虫を操る過程で、テレパシーを自在に操れるようになった。
その後も、夜遅くまで様々な実験を繰り返した。
ただ、一つ気になることがある。
夕方にカンナからライブの席番号を教えて貰い、それをコトコに教えたが、既読スルーなのだ。
今日は忙しいのかもしれない。
そう思って眠りについた。
翌朝、教室でコトコを見つけたので話しかけた。
レイジ「おはよう、コトコさん。コトコさんの席は何番?俺の近くかな?」
コトコ「ひっ、あ、ごめんなさい。」
そう言って、コトコは遠くの席に移動した。
これがレイジの一番恐れていたことだった。
レイジが誰かと仲良くなっても、ゴウタたちが邪魔して嫌われる。
そうなるくらいなら、誰とも仲良くならない方が良い。
そう思って、レイジの陰キャは加速していったのだ。
ゴウタたちと和解して、もう心配いらないと思ったのに。
結局、アイツらがいる限り、何も変わらないんだ。
レイジの中で、何かがキレた。
レイジは、次の瞬間コトコに操作針を刺した。
【今日の講義が終わったら、モーソン西公園店(コンビニ)に行って俺の指示があるまで店内にいろ。】
※テレパシー
レイジ(やっぱり、アイツらと仲良くなんて出来る訳なかったんだ。)
(期待した俺が馬鹿だったんだ。)
(コトコで俺の能力の最後の確認したら、決戦だ。)
レイジは、軌跡読みでゴウタたちの様子を探った。
すると、1限目サボりのリュージと休みのゴウタで学食で談笑している。
カンナは普通に講義を受けている。
レイジ(今日はコイツらに誘われる可能性が高い。)
(俺の様子を探る為に。)
(長い時間一緒にいたら、何か勘付かれる危険がある。)
(さて、どう断るのが正解だろう・・・。)
昼休み、レイジの予想通りにゴウタとリュージに講義が終わったらカラオケに行こうと誘われた。
レイジ「ごめん、昨日ずっと能力の練習してたからか、今日は朝から頭が痛くてさ。」
「多分、頭がオーバーヒートしてるような状態なんだと思う。」
ゴウタ「へぇ、練習の成果は?」
レイジ「ソナーみたいな感じで、近くにある鞄の中身とかが解るようになった。」
「大雑把な形とか硬さくらいだけね。」
「ゴウタたちは?」
ゴウタ「オレは、ゲートを出すスピードが上がった、かな。」
「最初は15分くらいかかったんだけど、今は5分くらいで出せる。」
レイジ「それだけ?」
「いや、勿論凄いんだけどさ。」
「その能力だけだと、能力者と対峙したら逃げるしかないじゃん?」
「その状態をゴウタが放置するとは思えない。」
ゴウタ「ほー、でもそれはお前も一緒じゃね?」
レイジ「俺は逃げるしかなくても違和感ないでしょ?」
ゴウタ「やっぱお前、能力に目覚めてから賢くなったな。」
「一応、色々考えてはいるよ。」
「でも、刃物を出しても切れ味ないし脆いし。」
「火を出したりも出来るけど、小さいし。」
「そのうち何とかするつもりだけど、今はモノになってない。」
リュージ「お前らそんなこと考えてんのな。」
「昨日は、買った服のタグを切るのに能力使ったくらいかな?」
ゴウタ「はぁ、お前マジか。」
「よしレイジ、今日はゆっくり休め。」
「オレも今日カラオケ行ってるヒマなくなった。」
「リュージ、今日はお前の特訓に付き合うぜ。」
レイジ(何とか誤魔化せたか?)
(念のために今日は定期的に周囲を探知した方が良さそうだな。)
講義が終わり、レイジは3人が大学を出るのをトイレで確認してから外に出た。
探知をすると、1km先のコンビニの様子が薄っすら解る。
確信は持てないが、背格好からコトコと思われる。
レイジは邪悪な微笑みを浮かべながら、足早にコンビニに向かった。




