48 日本最強の男
ハピタ地上型はパワータイプ。
大きな針の突き刺し攻撃を腹に入れれば、刃を砕くことができる。
しかし、複数の刃を避けきることが出来ない。
何度か強烈な一撃を喰らってしまい、たまらず飛行型に移行した。
飛行型はスピードタイプ。
刃の攻撃は避けられるが、避けながら攻撃するのは難しい。
少なくとも、レイジ戦で見せた連射は無理だ。
そして、耐久が下がっているため、一発でも食らうと致命傷になりかねない。
ハピタに出来ることは、特殊針の効果に期待することくらいだった。
この6つの刃の操作は、針穴に糸を通すような緻密なコントロールが必要だろう。
そのため、1発か2発入れただけでも、形勢が逆転する可能性がある。
しかし、それはコトネにも解っていた。
オカダの超パワーの前では無いも同じだったが、ハピタの針飛ばしに対しては刃の腹は盾として機能する。
ハピタの攻撃は刃の盾で防がれ、デスサイスに届かない。
現状維持ならコトネの勝ち。
しかし、お互いがワンミスで敗北する可能性がある。
更にお互い既に一度負けていて、後がない一戦。
一瞬の気の緩みも許されない緻密な戦闘が続く。
二人は指一つ動かしていないが、服のまま泳いだのかってくらい汗をかいている。
そんな戦いが始まって30分ほど経った頃、意外な形で決着が付いた。
刃の腹が反射した太陽光でエリカの視覚が一瞬奪われた隙にハピタは一刀両断された。
これが序盤中盤なら、決め手にはならなかっただろう。
これは試合開始からコトネが張っていた罠。
エリカはこの試合中一度も反射の光を浴びていない。
反射光が行かないように意識して刃を操作していたからだ。
それ故に完全に想定外となった反射光で、エリカは大きな隙を見せたのだ。
試合が終わったとき、二人は挨拶をする余裕もなく、その場に倒れ込んだ。
急いで医者が駆け付け、疲労と解って会場中が安堵した。
レイジ(凄い戦いだったな。俺が操作したら、どっちだとしても5分持たないだろう。)
(でもま、俺の能力行使だってシンプルじゃない。お互い様か。)
オカダ「良い戦いだったな。俺たちも決勝に相応しい試合をしよう。」
レイジ(いつの間に!?)
(いや、俺が試合に集中し過ぎてただけか。)
レイジ「はい。よろしくお願いします。」
その後、今日のメインイベントということで、しばしの休憩を挟む。
選手控室でゆっくりしようとしたら、イツキとミヅキが来た。
イツキ「よっ。頑張ってんな。」
ミヅキ「決勝進出おめでとうございます。」
レイジ「ありがとう。これで勝てば日本一、ちょっと実感が湧かないや。」
イツキ「凄いよね。で、勝ったらご褒美があります。」
レイジ「へえ。何かくれるの?」
イツキ「ミヅキとのデート。」
ミヅキ「は?何それ、聞いてないよ。」
イツキ「ごめんレイジ。ミヅキが嫌だって。」
ミヅキ「嫌とは言ってない。レイジくんが嬉しくないんじゃないかなって。」
イツキ「えー。レイジ嫌なの?」
レイジ「いや、嬉しいよ。」
イツキ「じゃーそういうことで、頑張ってねー。」
ミヅキ「・・・頑張ってね。」
レイジ(マジか。もうミヅキは高嶺の花じゃないんだよな。)
(ミヅキさんと初デート。いや、ちゃんとしたデートは人生初か?)
しかし、そのためにはあのオカダに勝たないといけない。
シンプルだが圧倒的なパワーのオカダ。
会場に行くと、今日のレイジたちの試合のダイジェストが放送されていた。
レイジは不安になりながら、それを見てオカダ戦のイメージトレーニングをする。
そして、いよいよ決戦のとき。
司会「さーて。日本一はオカダ・ノブナガ選手か、それともストー・レイジ選手か。」
「今から、それを決める至高の戦いが始まります。」
「レディーーーーーファイ!!!」
オカダ&レイジ「よろしくお願いします。」
開始直後、オカダの踏み込みからのボディーブローが入る。
レイジ(召喚体だから痛みは大丈夫だが、一撃で肋骨が折れた。)
(ヤバすぎる。俺の身体も強化してるのに力強さが全然違う。)
とは言え、レイジもやられっ放しではない。
レイジは腹に剣山を出現させていた。
剣山はオカダの拳に刺さり、ダメージを与えた、ハズ。
二人とも素早く回復しながら攻撃し合う。
しかし、肉弾戦でレイジがオカダに勝つのは難しい。
時々、下半身をネコ科の足に変えてジャンプして距離を取る。
そして、向かってくるオカダに速射で攻撃。
一度でも顔に当たれば大ダメージまたは即死。
だが、それは叶わない。
どれだけ撃っても全て躱されてしまう。
肉弾戦→レイジ逃げる→速射攻撃→オカダ追いつく→肉弾戦。
この流れが延々と続く。
一度でも顔面に速射を入れれば、恐らくレイジの勝ち。
だが、今のところその可能性は絶望的に思える。
このまま消耗戦が続けば、魂が減り過ぎてレイジは負けるだろう。
レイジ(うーん。一か八か特殊弾?)
(何か新しい変形?)
(多分、このままじゃ負ける。)
(何かしなきゃ、俺は他に何が出来るっけ・・・?考えろ、考えろ・・・。)




