45 謎のタマゴ?
やはり、我召喚使いはこのルールだとかなり有利だ。
召喚体は本体の劣化なのに対し、我召喚は通常通りの戦闘が出来るからだ。
カルマは手甲と短期の超強化を習得していた。
手甲はカルマの固有能力らしいので、単なる手甲ではないのだろう。
現時点ではボウガンを撃てるらしいが、それだけではないだろう。
短期の超強化はレイジの能力を参考に開発したようだ。
ハルマで使うと数秒、カルマでも1分ほどで霧散してしまうようだが、驚異的な強さだ。
手甲にしても超強化にしても、習得したてだから何とかなった感が否めない。
これから先、こういう強力な我召喚使いとの戦いが多くなるだろう。
召喚体で戦うレイジは今後の試合に不安を覚えた。
と同時に楽しくなってきた。
通常戦闘で考えると、レイジとハルマの間にはそれなりのレベル差がある。
しかし、召喚バトルの舞台ではほぼ互角。
好敵手との研鑽。テンションが上がる。
しかし、これで能力開発に頭が一杯になり、テレビの取材に身が入らなくなってきた。
ミヅキに称賛されても、あまり良いリアクションが出来ない。
つい、そっけない態度を取ってしまう。
ハルマ「多分、オレとの試合で何かに気付いたんじゃないかな。」
「霧の能力ってのは、基礎以外は自分で考えて発展させるしかない。」
「だから一流の戦士は、良い戦いの後に自分の世界に入っちまうことがあるのさ。」
ハルマのこの言葉で多くが納得し、取材は主にハルマが受けた。
これは、花鳥名月と話したい、テレビに出たいというハルマの下心による行動だが、レイジは非常に助かった。
一応、最低限の挨拶を済ませ、レイジはホイトワのゲートでアパートに戻った。
レイジ「ホイトワ、俺どうしたら良いかな?」
ホイトワ「唐突だな。言いたいことは解るが。」
「お前の一番強い戦い方は自分でも解るだろ。」
「それに近付く工夫をすると良いんじゃないか?」
レイジ「イツキを戻せば無双できるだろう。」
「召喚体・レイジでも、我召喚・イツキでも敵なしだろう。」
「でも、それは色んな意味でやりたくないんだよな。」
ホイトワ「それが解ってるから、近付く工夫と言ったんだぞ。」
「今のイツキは以前のクイナみたいに死体が残る状態だ。」
「生きていると思われている有名人の死体が出るのはマズいだろ。」
レイジ「工夫ってどういう・・・、いや何でもない。」
「こっから先は自分で考えるしかないよな。」
「ありがとな、ホイトワ。お前がいてくれて良かった。」
ホイトワ「な、なにをいうのだ。そ、そんな・・・。」
ホイトワは顔を真っ赤にして何処かに行ってしまった。
レイジ(何処に行ったかは知らんが、ゴウタの知識があるから迷子にはならないだろう。)
(さて、一人でじっくり考えますか。)
レイジは出来ることを確認した。
今のレイジはイツキを2人まで出せる。
花鳥名月にいるイツキと合わせて3人が上限。
我召喚は人間の魂の三分の一。
つまり、今出しているのは余剰分だけなのだ。
そう。レイジは今まで自分の魂を運用したことがなかったのだ。
レイジ(光明が見えた気がする。)
(イツキを2人出した状態で更に魂を運用できれば、次の段階に進めるんじゃないか?)
それからレイジは夢中で魂運用の実験を繰り返した。
イツキを合体させてみたり、余剰魂の物質を限界まで出してみたり。
暫くすると、ホイトワがお菓子をたくさん買ってきた。
お菓子で糖分を補給しつつ、考えに考え抜いた。
それが形になったのは、次の日の昼近く。
昼近くになって、周囲が明るいことに、自分が貫徹したことに気付いた。
レイジは、可能な範囲の魂を出し尽くすことに成功したのだ。
「それ」は不思議な球体。
何となく迫力のある球体だが、レイジの意思では動かせない。
「戻す」ことは容易だろうけど、次また出せる自信もない。
レイジ「ホイトワ、聞いてばっかで悪いが、コレ何だと思う?」
ホイトワ「流石に解らんぞ、これは。」
「ただ、何だろう。タマゴみたいな感じ?」
「一度形を成したものは、再び出せるハズ。」
「一度引っ込めて、時々出して様子を見るのが良いだろう。」
レイジ「そうか、じゃあ仕舞うか。」
そう言って、レイジはその球体を身体に戻し、再び出してみた。
すると、次は簡単に出せたが疲労が大きいことに気付いた。
レイジ(これは多分、回数制限がある類の能力だ。)
(そして、今の状態はホイトワの言う通りタマゴだ。)
(生まれてくるのは、ドラゴンとかフェニックスみたいな神獣的なヤツだろうか?)
(それとも精霊とか天使みたいな感じ?きっと人間以上の何かが生まれるのだろう。)
レイジは色々想像して、期待に胸を膨らませた。
ホイトワ「今回の大会では使えないだろうけど、面白そうな能力だな。」
レイジ(そういえば、そうだよな。明後日の日本代表決定戦には絶対間に合わないよな・・・。)




