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39 高級中華・龍龍丹

それから、ムラサキがみんな分の昼食を用意してくれて、トレーニングの合間に食べた。

ムラサキは、ムラサキ屋の店主の娘らしい。

特に隠していた訳ではないと言うが、知っていたのはマイとムラモトだけだ。

予想外にムラサキ屋の弁当が食べられるのは嬉しい。


レイジは昼休憩中にカンナに連絡を入れた。

「昨日のお礼に今日の夕食は好きな物奢るぞ。」と。

レイナにもお礼がしたかったが、ネタバラシをする予定なので都合が悪い。


カンナは予想通りレイナも一緒にと言ってきたが、そういう事情で断った。

カンナの希望は、高級中華・龍龍丹ロンリュウタン

それなら特Aコースを三つ予約しとけと言っておいた。

ホイトワのことは、関係者の宇宙人とだけ説明した。


龍龍丹は、死ぬほど高いが死ぬほど美味いと言われる名店だ。

特Aコースは「時価」。

1人約20万円くらいと言われている。

大学生のディナーの金額じゃないが、今のレイジにとっては大した額ではない。


とは言え、初めての高級店。

なるべく腹を空かせておこうと、召喚体トレーニングを早めに切り上げて実体トレーニングに切り替えた。

レイジの場合、召喚体と実体だと能力の仕様が違うため、召喚体トレーニングだけに集中して変なクセがつかないようにしないといけないのだ。


良い感じで汗をかいて腹も減ってきた。

レイジはワクワクしながら龍龍丹に向かった。


龍龍丹に着くと、既にカンナが待っていた。

何か凄いお洒落な格好をしている。

レイジとホイトワも良い感じの服装に変えた。


カンナ「遅いよー。特Aコースだよ。」

「何で普通に5分前に来てんのよ。」

「て言うか、その子が宇宙人?どういう事情?」


レイジ「悪い悪い。ちょっと訓練に夢中になっちゃって。」

「彼女はホイトワ。この子を助けるためにカンナに協力して貰ったんだ。」


ホイトワ「そういう話は食べながらでも良いだろ?」

「早く入ろう。」


レイジ「そうだな。入るか。」

「すいません。予約したストーですけど。」


ウエイター「いらっしゃいませ。」

「・・・失礼ですが、特Aコースで三名となりますと、100万円くらいになりますが手持ちは大丈夫でしょうか?」


カンナ「アンタニュースとか見ない人?」

「彼、花鳥名月を助けたヒーローのレイジだよ?」

「学生だけど、凄い高給取りなんだからね。」


ウエイター「失礼しました。確かにあの写真の方ですね。」

「大変失礼いたしました。VIPルームを用意しております。」


レイジ「何でお前が偉そうなんだよ。」

「お前に給料の話したことねーぞ。」


ホイトワ「フムフム。どうやら服が安っぽいみたいだぞ。」

「素人目だと高そうに見える安物を着てるから不審に思われたみたいだ。」


ウエイター「!!!能力者って心を読めるんですか?」


ホイトワ「無能力者の考えは大体解る。」

「レイジも解るよな?」


レイジ「俺は喜怒哀楽くらいしか解んないよ。」


カンナ「あたしの考えも解るの?」


レイジ「喜怒哀楽は何となくな。」

ホイトワ「喜怒哀楽くらいは。一応、能力者だからそれ以上はムリ。」


それから、ウエイターはその場を離れ、料理を運んできた。


レイジ「これは、ヤベーな。」

「前菜でこのレベルかよ。」


カンナ「何これ、シンプルなのに濃厚。」

「これは10万円の価値があるわね。」


ホイトワはガツガツ食べながら、時々感嘆詞が出るだけだ。

ゴウタの語彙力を引き継いでいるはずだが、感動で言葉が出ないようだ。


続いてスープを飲みながら、カンナが説明を要求してきた。


カンナ「ところで、昨日のヤツは何だったの?」


レイジ「寝たきりだったホイトワを治すため。」

「ゴウタを絶望させて、魂を壊して利用したんだ。」


ホイトワ「レイジは凄いぞ。ゴウタには1日好きにしろって言っただけ。」

「後はヤツが勝手に自滅してったんだ。」


カンナ「ゴウタ殺しの共犯にしたって訳ね。」

「予想はしてたけど、やっぱレイナには聞かせらんないわ。」

「でも、あのゴウタってどういう状態だったの?」


レイジ「やっぱカンナ頭良いよな。」

「気になるところがちゃんと要点だもんな。」


そう言ってレイジはホイトワを見る。

ホイトワは難しい顔をして頭を掻く。


ホイトワ「秘密じゃ、ダメ?」


カンナ「全然良いよ。リスキーな話は聞きたくないし。」

「死んだと思ってたゴウタが実は生きてたけど、昨日ちゃんと死んだ。」

「要はそういうコトでしょ?」


レイジ「まーな。」

「元カレが死んだってのに、本当冷めてんな。」


カンナ「どういう仕組みか解んないけど、あたし能力に目覚めてから頭が冴えてんだよね。」

「で、冴えた頭で考えたら、ゴウタの本音が色々解ってきて。心底絶望したの。」

「ゴウタの真意に。そしてそれに気付かなかった自分に。」

「だからもう、気にしないことは気にしないの。」

「ゴウタのコトはもうどうでも良いし、レイジに風呂覗かれても全然平気。」


レイジ「ゴウタが無茶しないように見張ってたんだよ。」

「解るだろ。」


カンナ「解ってるけどさ、良いけどさ。嫌味くらい言わせてよ。」


ホイトワ「そんなことより、何だこれは。」

「メインデッシュってヤツだな。どうやって食べるんだ?」


カンナ「あ、それはね・・・」


それからも龍龍丹で追加の料理や酒を堪能し、11時の閉店まで盛り上がった。

因みに今日は花鳥名月が温泉に入る日だ。

レイジは翌朝そのことを思い出し、深いため息をついた。

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