36 ゴウタ最期の日
ゴウタは、ムラサキ屋で豚菜玉丼と豆乳ホルモンスープを食べていた。
ずっと最後にもう一度食べたいと思っていた、ゴウタの「いつもの」メニュー。
ゴウタ(これ食べたら、死を受け入れられるかと思ったら逆だな。)
(逆に生への渇望が増してきた気がする・・・。)
ゴウタ「どうして、こうなった・・・。」
「何で!・・・何で!!」
抑えていたはずの声と涙が溢れ、周りに注目されてしまったので、後半は急いで掻き込んで食べて店を出た。
ゴウタ(最後の晩餐すらゆっくり食べれないのか。)
(いや、まだ時間はある・・・。)
(レイナの姿を最後に見たいな。)
(でも、会ったり話したりは良くない。)
(見るだけにしておくか。そう言えば、風呂に入る時間か。)
ゴウタはニヤニヤしながら、ゲートでコトコを監禁した廃工場に忍び込んだ。
そして、そこでレイナの家に小さなゲートを開けた。
レイナ「ふー。上がったよー。」
カンナ「おっけー、すぐ入るね。」
ゴウタ(ちっ、間に合わなかったか。)
(カンナの裸見てもしょうがないしな・・・。)
レイナはスマホを見ながら料理をしている。
料理に夢中で気付きにくいと判断したゴウタは、食い入るようにレイナの顔を見ながら興奮する。
気付かれないようにつまみ食いしたり、唾液を入れたり、冷静沈着なゴウタとは思えない大胆な行為を繰り返した。
しかし、ゴウタの身体は霧なので、唾液はすぐに霧散するのだが。
暫くするとカンナも風呂から上がり、一緒に夕食を食べるようだ。
カンナは料理の腕は微妙だが、盛り付けは妙にセンスがある。
カンナ「今日アルバム売ってきたんだって?」
レイナ「うん、だってアイツから貰ったヤツだもん。」
カンナ「限定品なのに勿体ない。」
レイナ「でも、レイジさんから盗ったお金で買ったヤツなんでしょ?」
「アイツ、お姉ちゃんの元彼だから仕方なく合わせてたけど、本当に嫌だったんだよね。」
ゴウタ(はぁ!?限定品のアルバム?まさか・・・。)
レイナ「アイツ妙に距離近かったし、何か偉そうだったし、何よりお姉ちゃんのコトを大切にしてるっぽくなくて。」
「ちょいちょいお姉ちゃんより、私を優先してた感じもキモかった。」
カンナ「本当はさ、あたしよりアンタのこと好きだったのかもね。」
レイナ「何それ、ウザいキモい。死んで欲しい。」
カンナ「ちょっと、ゴウタはもう死んでる可能性が高いのよ。」
レイナ「だったら良いよねー。もう二度とあの顔見たくないもん。」
カンナ「ひっどー、今日は毒舌ですなー。」
ゴウタ「ふざけんな!!テメエ!!!」
ゴウタは我を忘れ、ゲートを広げて家に入り、レイナに馬乗りになって叫んだ。
そして、レイナの襟首を掴んだところでハッとした。
レイナは、冷たい眼差しでゴウタを睨んだからだ。
そしてカンナが、ゴウタを思いっきり殴り飛ばした。
カンナ「消えな。そして二度と顔見せんな!!」
ゴウタは小さくなり、震えてゲートで夜の街に消えた。
そしてほぼ手付かずの100万でキャバクラで豪遊したが、セクハラと暴言が酷くて1時間くらいで追い出された。
その後はチンピラに絡まれて喧嘩。
最初は無能力者をボコって調子に乗っていたが、すぐに身体強化能力者の援軍が来て形勢逆転。
結局傷だらけになり、ゴミ捨て場で意識を失った。
その一部始終を見ていたレイジが満足そうな顔で現れ、ゴウタの息の根を止めた。
レイジ「ミッションコンプリート!」
クイナ「恐ろしいな。全て計画通りなのか?」
レイジ「大凡ね。これで無色透明な魂の出来上がり。」
それから、レイジはゴウタの魂が入った結晶を使い、ホイトワの魂を補強した。
ホイトワ「素晴らしいな。精神汚染は殆どない。」
「元々の障害も、狂人薬の副作用も無くなった。」
「本当にありがとう。感謝してもしきれない。」
クイナ「私も万全になりました。」
「ありがとうございます。」
レイジ「さて、残り2割くらいか。この魂は貰うよ。」
レイジ(心地良いな。ゴウタの後悔と自責の念が籠った魂。)
(これを今後はいつでも感じられる。)
これでレイジは、召喚体でも余剰魂を使えるようになった。
更に宇宙人の強力な協力者も得た。
最早怖いもの無しと言っても過言ではない。
レイジ「で、ホイトワたちはこれからどうするの?」
ホイトワ「うーん。何も考えてない。」
「クイナで色々とやらかしているから、君たちの仲間になる訳にもいかないだろう。」
レイジ「どうだろう?」
「宇宙人の協力者は彼らにとっても有難い存在だろうし。」
「ま、明日聞いてみるよ。」
「じゃあな、ってかホイトワたちは何処に住んでるの?」
ホイトワ「人気のない廃屋や公園とかだな。」
レイジ「マジか、そう言えば何か臭うな。」
「今日はウチに泊まれば?」
「風呂入ってスッキリしなよ。」
ホイトワ「ふむ。地球人の住処か、興味深い。」
「良ければお邪魔します。」
「クイナは一旦戻るか。」
クイナはホイトワに戻り、二人でレイジ宅へ移動した。
ホイトワは風呂に興味津々だ。
ホイトワ「勝手が解らないから、一緒に入って教えてくれ。」
レイジ「まぁ良いか、子供だし。」
親戚の子供を風呂に入れる感覚で一緒に風呂に入るレイジ。
しかし、妙に色気がある気がする。
レイジ(俺にその気は無い。静まれ、雑念。)
レイジ「そう言えば、ホイトワって幾つくらい?」
ホイトワ「ホームレス時代が長かったから正確には解らないが、多分お前らと同じくらいだぞ。」
レイジ「そ、そうか。」
レイジ(マジかよ、今さら出る訳にもいかないしな・・・。)




