35 魔道契約
レイジ「死んだはずのゴウタがココにいる理由は?」
ゴウタ「両親の遺品の特殊アイテムの効果です。」
「魂を結晶に入れることで、殺されても死ななくなります。」
「本体が我召喚になるような状態です。」
「ただし、結晶は1、2ヶ月で自壊します。」
レイジ「俺が協力するメリットは?」
ゴウタ「①魂関連の知識の提供。」
「②複数の特殊アイテムの提供。」
「③ゴウタの操作権の譲渡。」
「④目標達成以降は全面的な協力関係。」
「⑤レイジの事情の完全黙秘。」
レイジ(ホイトワを完全に口止めするのは難しいだろう。)
(結局、⑤だけでも協力しない選択は厳しい。)
(ま、良っか。俺も品行方正じゃない。)
(悪の仲間がいても問題ないだろう。)
レイジ「解った。協力するよ。」
「で、何をすれば良い?何を話せば良い?」
クイナ「では、まず彼女と魔道契約を結んで頂きます。」
「これはお互いに約束を破れなくする呪いの一種です。」
車椅子に乗ったホイトワを押して現れたクイナが、そう説明した。
ホイトワはやせ細った小柄な金髪の女性。
クイナは成人ぽいが、彼女は小中学生くらいに見える。
レイジは能力レベル的にホイトワより上だ。
故に軌跡読みで嘘が解る。
魔道契約に裏が無いことを確認し、魔道契約を結ぶ。
条件は、ホイトワは先ほどの5つの約束。
レイジは情報提供とリスクのない範囲での協力の約束。
そして、お互いに危害を加えないという約束。
条件が決まったら、二人でA4サイズの紙に手を当てる。
するとその紙は二つの丸薬に変わった。
これを二人が呑み込んだ瞬間、契約は完了する。
レイジ「じゃあ、話すぞ。」
「俺が生物操作した人間の中に、魂を融合させる能力者がいて、使わせた。」
「以上だ。」
ホイトワとクイナは、顔を合わせて暫く沈黙した。
契約しているので、偽証は不可能。
しかし、特に活用できそうにない情報。
ホイトワはガッカリしているが、何とか活用できないか考えている。
クイナ「それで、レイジさんの能力は?」
レイジ「速射と魂操作、あと軌跡読みと生物操作。」
クイナ「魂操作・・・ですか。」
「ちょっと色々実験してみても良いですか?」
それから、レイジはホイトワの用意した結晶を摂取した。
これは、狂人薬を飲むに等しい危険行為だ。
レイジには拒否権があるのだが、あえて受け入れた。
リスク以上のリターンがあると考えたからだ。
魂二倍で魂操作ができるレイジは、狂人薬に吞まれたりはしない。
体内に「その魂」を留めておけるようだ。
そして、「その魂」を取り込むか吐き出すかを選択できる。
取り込めばパワーアップできるが、死刑囚の人格が少し混ざる。
取り込まずにリリースすると、空気中に散って無くなる。
やはり、死刑囚の魂を取り込むと色々と悪影響があるのが解る。
なるべく無色透明な魂が欲しい。
とは言え、無実の魂を利用するのは気が咎める。
レイジ「究極的には、赤子の魂を結晶にして取り込めば解決だよな?」
「俺はそういうのはイヤだけど、アンタはそういうの気にしなそうだが。」
クイナ「赤子は無色透明じゃない。思春期前の子供は大人より厄介なんだよ。」
レイジ(そういうものなのか。親への依存とかが混ざるとキツいのかな?)
(仕方ない。最後にゴウタに役に立って貰うか。)
レイジ「ゴウタを使いましょう。」
「それで、多分ホイトワの希望が叶う。」
「ゴウタ。最後に一日自由をやる。」
「悔いのないように好きに過ごせ。」
クイナ「お前はコイツに殺したいほどの恨みがあるんじゃないのか?」
「そんな温情は必要はないと思うが?」
レイジ「要は未練とか恨みとかが強いと影響力が増すんだろ?」
「一日好きにさせれば、それなりにサッパリするだろ?」
「なあゴウタ。俺が温情で一日好きにさせてやるんだ。」
「死を受け入れるくらい問題ないよな?」
ゴウタ「何を・・・考えてる?」
「いや、何でも良いか。」
「どう転んでも、あと少しでオレは死ぬんだ。」
「お前には借りがあるし、好きに利用すれば良いさ。」
レイジ「邪推すんなよ。」
「俺の温情で自由に過ごしたお前は、もう誰を恨む筋合いもないだろ?」
「お前はそういう都合の良い魂だってだけさ。」
「そう思うことで、俺の恨みも解消される。」
「恨むってのは辛いんだよ。」
「最後に俺のためにもスッキリして来い。」
ゴウタ「解った。」
「でも、オレ一文無しなんだよ。」
「死人扱いだから。」
レイジ「ほらよ、100万円。」
「最後の一日だ。悔いのないように遊んで来い。」
ゴウタ「ありがとう。じゃあまたな。」
そう言って、ゴウタはゲートを出して行ってしまった。
クイナ「本当にただ一日遊ばせて終わりなんでしょうか?」
レイジ「そんな訳ないだろ。」
そう言って、レイジはスマホをクイナに見せた。
スマホの画面は、カンナに送ったメール画面。
クイナ「やはり、何か企んでいるんですね。」
「私は日本語を読めませんが、それは何となく解ります。」




