02 仮初の和解
リュージ「お前、ミユキのスカート捲っただろ?」
レイジ(どういうことだ?)
(超能力で捲ったんだから、気付けるハズがない。)
(鎌を掛けている?)
(捲るのは勿論、見ただけでも俺は半殺しにされる。)
(さて、どう回答するべきか。)
レイジ「ミユキって誰だっけ?俺は昼食べたあと、ずっと寝てたけど。」
リュージ「一限目と二限目の間の話だよ。」
「俺の彼女だったミユキのパンツ見ただろ?」
レイジ(過去形?もう別れたのか?)
(付き合い始めたの昨日だよな?相変わらず、短気で単細胞なクズだな。)
レイジ「いや、ゴメン。全然何言ってるか解らない。」
リュージ「それなら良いや。体に聞くからよ!」
リュージ得意のボディーブローがレイジの腹部を襲う。
レイジ(何だこれ?いつものボディーブローより明らかに強いぞ。)
(これ何発か喰らったら、多分、いや確実に死ぬ。)
(俺と同じような変化が、リュージにも起きてる?)
(リュージは筋力増強的な感じか。)
レイジ「待って、それどうなってるんだ?」
「そんなパンチ喰らったら、死んじゃうよ。本気で!!」
リュージ「うるせえ!黙って殴られてろよ!」
続いて三発ほどパンチを喰らう。
本気でダメージが深刻だ。
レイジ(この操作能力。人間に使ったらどうなるんだろう。)
(消しゴムは、動くものじゃないから動かなかっただけかもしれない。)
(このままだと多分死ぬ。一か八か試してみるか。)
そう考え、レイジはリュージに向かって手を構える。
ゴウタ「おい、ちょっと待て。殺しちまうぞ。」
「腹殴って血を吐くって聞いたことねーぞ。」
「やっぱり能力で、パワーアップしてんだよオレら。」
物陰に隠れていたゴウタが、リュージを制止した。
一か八かの能力発動なんて、しないに越したことはない。
レイジは、ホッとしてその場に倒れこんだ。
ゴウタ「お前の能力は『切断』だけじゃないのかもしれない。」
「コイツ見てみろよ。手加減覚えないと、そのうち人殺すぜ?」
リュージ「マジかよ。でも、レイジで気付けて良かったんじゃね?」
「いや、そう言えばミユキがさっきやたらキレてたのはそういうことか。」
「クソっ、ついてねー。」
ゴウタ「昨日付き合って今日暴力ってバカなのかよ。」
「ちっ、何にしてもこの状況はやべー。」
「オレの『ゲート』でオレの家に行くぞ。」
レイジ(気を失ったと思われてるのか。)
(色々聞けてラッキーだけど、物騒なリュージに物騒な能力、ヤバそうだな。)
ゴウタ「オレがゲート開けてる間にカンナに声掛けとけよ。」
その後、リュージはまた電話しながら怒鳴っている。
カンナは乗り気じゃないようだが、リュージが押し切ったようだ。
それから暫くすると、ゴウタのゲートが空いた。
レイジは、ハッと飛び起きる演技をした。
ゴウタ「よぉ、怪我見てやるからここ入れ。」
リュージ「やっと起きたか。引き摺る手間が省けて丁度良かったぜ。」
レイジは無言で頷き、ゲートに入った。
そして、入った先で服を脱がされ、ゴウタが冷やしたりテーピングしたりする。
ゴウタ「血は口切っただけか。」
「やっぱ、カンナ要らないわ。」
「悪いリュージ、カンナに詫び入れて一緒に帰ってくれ。」
リュージ「はぁ?・・・まぁ良っか。解ったよ。」
リュージはそう言って、ゴウタの部屋を出た。
ゴウタ「で、レイジよ。お前はどんな能力を手に入れたんだ?」
ゴウタはそう言うと、レイジを注意深く見る。
レイジ(とぼけたら、リュージが戻ってきてまた暴力だろう。)
(でも嘘をついたら、多分気付かれる。)
(だからと言って、全部言うのはイヤだ。)
(もう、コイツらの下僕はイヤだ。)
(この能力で、出し抜いてやるんだ!!)
レイジ「俺の能力は、異常聴覚。」
「今朝起きてから、異常に耳が良いんだ。」
「でも、ずっとこの状態だとキツいから、さっきまで切ってた。」
「それを今、オンにした。」
「外でリュージが石を砕いてる。」
「石を砕きながら、カンナに彼女と別れたことについて愚痴ってる。」
リュージ「やっぱりか。お前ならきっと能力を身に付けるって思ってたよ。」
「オレたち今まで色々あったけどさ、これからは対等に仲良くしような。」
レイジ(ふざけんなよ。)
(俺はお前らを許せない。)
(それに、お前は俺を利用したいだけだろ?)
レイジ「じゃあゴウタ、『この件』について知ってること色々と教えてくれよ。」
「俺が能力者だと気付いたのも、ワープゲートに戸惑わなかったからだけじゃないだろ?」
ゴウタ(情報収集系の能力か。)
(脅威じゃなくて、利用価値がある。)
(良いね。凄く良い。)
(だが、嫌われていたら信用して情報を活用できない。)
(やはり、仲良くするのが賢明だな。)
ゴウタが警戒していたのは、レイジが攻撃的な能力を手に入れて復讐すること。
ゴウタは、とりあえずその心配は無くなったと判断した。
ただし、『異常聴覚』というのは正確ではないだろう。
似たような能力か、その上位互換的な能力なのだろうと考えていた。




