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01 異変のはじまり

切っ掛けは、高2の文化祭。

レイジは、カンナが着替えをしていた教室の扉を開けてしまった。

別に扉に「着替え中」や「立入禁止」みたいな看板が立っていた訳ではない。

完全な事故だった。


明らかに事故なので、普通なら謝って一発小突かれるくらいで済むだろう。

しかし、地味な陰キャが学校の人気者の着替えを見たら、無過失でも重罪らしい。


その日の夕方、カンナの彼氏のゴウタとその友達リュージに呼び出されて暴行を受けた。

更に翌日から、ストーカーや痴漢などの根も葉もないウワサが流れ始めた。


その後は、クラスメイトの自己満足の正義感によって孤立し、度々嫌がらせを受けた。

レイジは、もう楽しい高校生活を諦め、感情を殺して卒業まで耐えた。


レイジは、同級生のいない遠くの大学を選ぼうとしてメロ大学を選んだ。

しかし、メロ大学はカンナ・ゴウタ・リュージの志望校。


レイジは考えを見透かされ、ゴウタのデマ情報でメロ大学を選ばされたのだった。


大学生レイジは、三人の奴隷になった。

ゴウタとカンナにパシられ、時々リュージに殴られる日々。

彼らに使われる金を稼ぐためにバイトする日々。


それでも、高校時代よりは遥かにマシだった。

大学では正義の迫害を受けずに済んだから。

逆らえば、またウワサを流される。

それだけは、絶対に避けたかった。

だから、言いなりになるしかなかった。


この物語は、そんな彼の大学二年の夏から始まる。

昨日は夜遅くまで居酒屋でバイト、今日は朝から大学だ。

レイジにとってはいつものこと、睡眠時間3時間、今日も身体が重い。


無気力に登校の準備をし、自転車で大学へ向かう。

ただ、少し違和感がある。

何だか耳が良くなった気がする。

周囲の会話がやたらと聞こえてくる。


学生A「今日のクドーの講義、抜き打ちテストあるんだって。」

学生B「えー、抜き打ちなのに何で知ってるの?」

学生A「先輩が教えてくれたのー。」


レイジ(何だこれ?疲労のピークでゾーンにでも入ったのか?)

(いや、きっと幻聴だろう。)


そう思ったが、聞こえてくるのはそれだけではない。

正確には聞こえるのではなく「解る」のだ。

通常なら見えないもの、聞こえないものが「解る」。

大学に入ると、情報過多で頭が痛くなった。


頭を抱えて座り込むと、後方からリュージが近づいてきた。

後方だが、向かってきたのがリュージだと、はっきり「解る」。


リュージ「よっレイジ、今日は学校終わったらムラサキ屋に飲み行くぞ。」

レイジ「いや、今日もバイトだから。」

レイジ(白々しい。俺がほぼ毎日バイトだって知ってんだろ?)


リュージ「そっかー、残念だな。じゃあ1万で良いよ。」


レイジは静かにリュージに1万円渡す。

今月渡せるお金はあと2万円。

これが無くなったら、給料日まで殴られる。


気付くと、異常聴覚?は無くなっていた。

代わりにリュージの情報だけが色々と入ってきた。


今日のリュージは妙にテンションが高い。

何か良いことがあったのだろう。

鞄には教科書とペットボトルと弁当。

恐らく手作り弁当。

新しい彼女が出来たのだろう。

今日は彼女と一緒に飲むんだろう。


レイジ(この感覚はコントロールできるようだ。)

(on/offの切り替えと、定点集中。)

(これはもう幻聴じゃない。超能力だ。)

(これを上手く使えば、この状況を打開できるかもしれない。)


聞いた通り、クドーの講義で抜き打ちテストがあった。

大雑把な物の形は解るが、紙に書いてある文字までは見れないようだ。

手の動きから選択問題は予測できたが、それ以上は難しい。


テストが終わった後は、学生一人一人を定点集中で調べていく。

すると、リュージと同じ弁当箱を持っている女を見つけた。

コイツがリュージの彼女なんだろうな。


派手目な化粧と服装、Tバックにミニスカート。

リュージと気が合いそうなチャラそうな感じだ。

定点集中で「解る」が「見える」のとはちょっと違う。

ついついスカートに意識が行ってしまう。


すると、突然スカートが捲れた。

窓は空いているが、今は全く風が吹いていない。

だから、犯人は風ではない。

レイジはレイナの件を思い出し、リュージに気付かれないように急いで下を見た。


レイジ(多分これも俺の能力だ。)

(感覚強化と物に命令を与える能力。)

(こういうのって一人一能力とかじゃないのか?)

(いや、それよりもリュージはどうだ?気付いたか?)


リュージはやや不快そうだが、そこまで怒っている感じではない。

気付いた可能性もあるが、判断が難しいところだ。

とりあえず、その後リュージに絡まれることはなく、レイジはホッと胸をなでおろす。


その後、レイジは消しゴムを動かしたり密かに実験をした。

動かす力はかなり弱く、固体は殆ど動かせない。

消しゴムでもかなりノロノロとしか動かせない。

空気の操作はそこそこいけるが、そよ風を起こすのが関の山。


昼休みになり、昼食を食べた後、流石に眠気がピークだったので、午後一の教室でレイジは熟睡した。

しかし、10分ほどでリュージに叩き起こされた。


リュージ「おい、レイジ。旧校舎行くぞ。」

リュージはかなり機嫌が悪そうだ。

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