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「ふぅ……ふぅ……」とモモナーがカウンター裏に隠れて、少し息が荒くなっている。
「はぁ……はぁ……」とラーリーも同じく口で呼吸している。
そして、「う、うう……」と、魔法に抑えられている三人ともは何も言えず、ただうつ伏せの姿勢で微かな唸り声を出している。三人とも魔法を避けるのが遅れた。
五人の激しい戦いは、魔法の介入によって一段落がついた。
少し息を整えたモモナーはこっそりとカウンター裏から頭を出して、現場の状況を観察しようとする同時、一人が喋った。
「二人に避けられたか。」
モモナーが声の主に目を向き、外見年齢が中年くらいの男性が見える。
和やかに笑っている笑顔が小さなえくぼを作っていて、緩やかな目尻が少し垂れている。どうにも優しそうな雰囲気が感じられる。
だが、かなり苦労したであろう、その目尻にしわができて、元気のない顔色と若干死んだ魚の目から苦労の性分を感じる。特にその顔の無精ひげとだらしない服装をしているその姿がさらに幾分増した。
少し無精ひげ男の外見を評定している間、モモナーが突然「……え?この男が?!」とまるで誰かと話をしているように驚いた声を出した。
この声を聞いた無精ひげ男は当然モモナーの方に目を向いた。
うーん、この女……と何が考えこんでいる無精ひげ男だが、無精ひげ男の隣にちょっと前に冒険者協会から出ていた若い男性職員が慌てて囁き声で言った。
「会長さん!彼女が『単発のモモナー』です!」
「へえ……」と会長は少しモモナーを見つめていて、次に「っていうか、こういうことも先に報告しないと!」と隣の男性職員に叱った。
「いや、会長さんは聞いていませんし……」と男性職員は話の途中で、あっと驚きの小さな声を上げた。
会長の魔法が消えて、一人が先に動いたのだ。入り口の二人以外、誰も気づいていない。
「おっと!」
サッ。と、会長はモモナーの前に立ち塞がり、ラーリーの手首を掴める。
「チッ……」と明らかに不快な舌打ちをするラーリー。その手に持ったのはもちろんナイフである。ナイフが今にもモモナーの目に刺せるところだった。
「これ以上暴れないでくれる?これでも一応冒険者協会なんでね。」
おお。防御の態勢を構えたモモナーだが、驚嘆の声を上げた。拍手したい気持ちもあった。そんなにカッコイイである。
「……」
「返事はなし……か。」会長は一応ナイフを奪って、手を振り下ろしたが、ラーリーはすぐ強引に手を引いて、いったん距離を取った。
会長はラーリーが撤退する気がないとわかって、「サティマ!ティラエス!」とそう叫んだ。
ちょうど手首ブレース男とメリケン男も床から立ち上がった。
会長が呼んでいると、すぐ「おお!」と叫んで、二人はそれぞれ会長の左右に構えた。
「……さすがに人数不利ですよ?殺人鬼様。」
ラーリーはやはりなにも喋らず、ずっと会長のことを睨み付けている。
「私の実力を測っているのか?それとも――」どの手数で私を殺せると算出している?と会長が言いながら動き始めた。
すみません。今回短めです。




