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散乱としている冒険者協会の中に、五人が対峙している。机や椅子、もはやフィールドでもあるかのように丸い空間が空いている。
L字カウンターに倒れた机、さらに後ろは一面の壁。ナイフの男――ラーリーがそれらに背を向け、四人と対面している。
戦いが膠着状態になり、五人は一息を入れているのだ。
そして、ラーリーは軽く四人の実力を評価し、並べた。
手首ブレース、こん棒、メリケン、素手……ソイツより強い奴はいない。
ラーリーにとって、この四人、一人一人の実力はそんなに強くない。一人だけなら自分は確実に殺せる。何せ四人の中に一番実力があるのは素手の女しかない、同時に自分の標的にもある。
しかし。
モモナーは行動した。一息を入れるタイミングが終わった。
彼女が行動し始めた瞬間、他の三人も動き始める。自分も動かないといけない。
モモナーはラーリーに向かって、掴めようとした。ラーリーは横に移動し、簡単に躱した。
でも、モモナーの狙いは元々ラーリーではない。後ろに倒れている机だった。だから、ラーリーが躱しても、モモナーは直接机を掴んで、ラーリーに投げ出す。
ラーリーがナイフで受け止めようとすると、
「てめぇ!それはこちらの財産だぞ!」メリケン男は横槍を入れる。
一手が机を受け止め、もう一手が自分に向かっている。
ラーリーがそのままぶっ刺さろうとしても、メリケン男が当然そうはさせないとナイフを防ごうとする。だが体の重心がずれて、また机のせいで、バランスも取れず、2手くらい、ラーリーのナイフがメリケン男の首を切れるところだった。
2手。戦いの中ではその時間は決して長くない。精々2秒くらいであろう。それでも、同時に動いている人にとって、2手で十分だ。
「させない!」さらに横から手首ブレースの冒険者はラーリーの手首を引っ掛けて、抑制した。
手首ブレースの冒険者はもう一度投げ技を使おうとした瞬間、ラーリーがもう片方の手で親指を伸ばし、手首ブレースの冒険者の目に押す。
目潰しだ。
「あ!!」痣でもあるかのような痛みによって、手首ブレースの冒険者は手放した。拘束が解放されたが、机と一緒にメリケン男がいなくなった。
代わりに獣みたいな人が目の前に現し、ラーリーの顎に狙って、こん棒を下から払い上げる。
「プッ!」その攻撃を喰らったラーリーは唾液を吐き、ノールを睨み付ける。
これは……お前のミスだ!
ラーリーを殴った瞬間、ノールは一瞬ハッとなった。
なぜなら、ラーリーのナイフはすでに目前に!
確実に心臓を狙う――と思いきや、一人がラーリーの行動を阻止した。
モモナーがすでにカウンターの後ろからラーリーの横に移動し、四足歩行みたいな姿勢で足払い、ラーリーに躓いた。
パタ!と、モモナーのことに気付いていないラーリーは躓いた。
でも、「チッ!」と躓いたラーリーは不快に舌打ちをして、モモナーに立たせないように地面に座り込みのまま、足でモモナーと何回かの攻守を続いた。
この策略は成功した。モモナーは蹴られないように、しばらくラーリーと戦っていた。
右足、左足、相手の蹴りを両方も身体をくねっと躱しつつ、反撃する。
ここで、ノールはラーリーのナイフを奪えるチャンスだと思って、ラーリーのナイフを奪おうとしたが、ラーリーに気付けられてしまった。
ラーリーは咄嗟の判断でモモナーにフェイントをかけて、手元にあるナイフを射ると思わせた。
ラーリーのフェイントに騙されたモモナーは防御の態勢になった瞬間、ラーリーがすぐに逆方向に手を地面につき、逆立ちにした。
両足が開脚の感じにフッと身体ごとに回転し、ノールの顔面に横から蹴った。
「うっ!」とノールは横倒れになって、転んだ。
そして、ラーリーは身軽にもう一度反転し、立っていた。
今度こそ。とラーリーは邪魔しにくるようなやつ、ノールを殺そうとしたが――
今回、メリケン男が「まだ暴れるつもりか!」ともう一度二人の間に挟んだ。
「邪魔だ!」と、ラーリーは斜め切り・刺すの感じで二連技を放つつもりだが、第一手でメリケン男のメリケンサックの間に引っ掛けられてしまった。
「俺をなめるんじゃねえぞ……」とメリケン男は横払いの感じでラーリーのナイフを払い落としたが、ラーリーにはまだ奥の一手がある。
ラーリーの懐にはもう一本のナイフがあったのだ。払い落とされたら、ラーリーはすぐにもう片方の手で取り出す。
「なっ!」二本だけじゃないのか!
もう二本のナイフがなくなって、さすがにもうないだろうと思ったメリケン男がそう驚くと、あの一本のナイフがすでに無情にメリケン男の手首から脇まで弧線に描いた。
血が放れ、ナイフも間もなくメリケン男の心臓のところに刺す……が、ラーリーは「クッ」と悔しそうな声を出した。おかしいことに、ラーリーは退いた。
いいえ、もっと正確に言うと、手首ブレースの冒険者の邪魔だった。しかし、思わぬ形でやってくる邪魔だ。
衝突しているように、手首ブレースの冒険者は背を向けるまま、二人の間にぶっ飛ばされてきた。壁にぶつかり、手首ブレースの冒険者は「クハッ」と地面に落ちた。
なんと、メリケン男とラーリーが戦っている間、手首ブレースの冒険者とモモナー二人も戦っていた。
ことの経緯は、手首ブレースの冒険者やっと目の痛みが引いた瞬間だった。手首ブレースの冒険者は声が聞いた。
「鳥頭……あ、違います、その――大丈夫ですか?」いつの間にか、モモナーが手首ブレースの冒険者の側にいた。
なんで自分の側にいるかわからない手首ブレースの冒険者だが、今はどうでもいい。
「……ああ?俺が何頭だと?!」
「ごめん!ただ口が滑っただけ。”鳥頭“でもかわいいよ!」
すると、手首ブレースの冒険者は手を出した。
でも、モモナーに投げられた。
「クッ」ラーリーはメリケン男を刺そうとした時、退いた。
当たってないか……とこれはモモナーの呟きだった。
ラーリーがわかっている。この状況に持ち越した人物は誰なのかを。
だから、ラーリーがモモナーに攻撃を仕掛けようとした。
が、今度はノールに阻まれた。
カッと、ナイフとこん棒のぶつかり音は何回目であろう。ラーリーはもどかしさを感じる。
「ザコか!」と、ラーリーがノールの攻撃を振り払っても……
「うおおお!止まれ!」今回はメリケン男の無差別攻撃!
メリケン男にとって、ラーリーとモモナーは同じような人物だ。
ラーリーが避けて、メリケン男はそのままモモナーに攻撃する。
ここで自分も加勢すれば――と思ったら、今回ノールが邪魔する。
加えて手首ブレースの冒険者も立ち直った。自分に向かってくる。
どいつもこいつも……
弱い奴なら、直接殺せばいい。面倒な奴がいれば、まずそいつを殺す。簡単な理屈だ。
だが、弱い奴が殺せない。邪魔が入ってくるから。
面倒なやつもすぐに殺せない。実力があるから。時間をかければ殺せなくもない。しかしそうすると、また邪魔が入ってくる。
戦っている五人は絶妙なバランスで、膠着状態になっている。
これは、ラーリーが面している状況である。彼にとって、実にもどかしい状況だった。
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同時に、とある二人は冒険者協会のすぐ外にこの状況を見ている。
「うーん。よその冒険者にしては、腕が悪くないな。それに、戦いの主導権はあの女にあるんだね。実力なら、あの男の方が上だが……」
「会長さん!のんびり評価してる場合じゃないでしょうが!」
「まあまあ、もう少し観察させてもらうーーと言いたいんだが、さすがにこれ以上に暴れさせないほうがいいだろうな。」
「たのむよ!会長さん!」
「お前な……まあ、十秒をくれ。」
「……わかりました。」
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五人が戦っている時、ふっと、一つの声が響いた。
「――風よ重力よ、お願い!」刹那、全員の動きが留まった。
突然に響いた声だが、それはすでに唱えることが終わりを迎える一つの呪文だった。
二人の男が冒険者協会の入口に現れ、魔法を使ったのだ。
すると、室内に中央のところ、つまり五人が戦っている場所に、簡単に目視できる空気が曲がり、球体状の風の形が形成した。これだけじゃない。引力でもあるかのように、球体状の風は直線になり、ギギギと床が軋む。
モモナーは声が響いた瞬間、すぐ戦いから離脱して、サッサッサッと机とカウンターから乗り越え、隠れる。
ラーリーも似たような感じで、後ろに下がり、身軽な感じで何回もバク転し、離れた。
残りの三人は不運にそのまま魔法を喰らって、ポトン、ポトン、ポトンと、床と接吻した。




