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「何をするんだ!貴様!」メリケン男は立ちながら怒っていた。
「いやーだって、君は切られそうだから、慌てちゃって……」えへへとへらへら笑っていたモモナーに、メリケン男は青筋が立ってしまった。
「そういえば、お前も暴れやがったな……大人しくしてろ!」と、ここでメリケン男は攻撃のターゲットをモモナーに移った。
「あ!ちょっ……!」メリケンが目の前に迫ってきた。彼女はすぐさま踵を踏んで横回転し、ファッサと、攻撃が擦ったように髪の毛が何本取られた。
「だからごめんって!わざとじゃないんだ!」避けた後、モモナーはすぐに言ったが……
「うるせぇ!」メリケン男の攻撃が止まらない。
右、下、右……また左フックからの蹴り技、一つ一つ全力を出していないが、どれも気絶程度に届いている。
でも、モモナーは全部の攻撃を躱した。
「……ちょっと!」と少し文句を言いつつ、また迫ってきた攻撃を相反する方向に避ける。
こいつ……やはり腕前がいい!とメリケン男は改めてモモナーの実力を評価した。自分が手加減をしたとはいえ、全部の攻撃を避けたのは相当な実力がないとできないことだ。
だから、メリケン男は思わず力を入れてしまった。
フッ!と、攻撃の分量が増して、力の割合が違うことに気付いたモモナーは表情も真剣になってきた。
モモナーは一瞬で横に視線を移し、身体が横に回し、とんぼ返りをした。
彼女は空中から身を翻し、机の上に横になる姿勢で着地し、その次は勢いをつけて、机を掩体としてパツァ!とメリケン男の攻撃を防いだ。
メリケン男は一回空振って、次はその机にまっすぐに痛めつけた。木の屑が飛び込み、二人の攻守はまだ終わらない……
一方、ラーリーと対峙しているノールは、二人は何も喋らず、数秒間対面している。
「……」
「……」
ずっと動かないと思うや否や、ノールが先に行動した。ラーリーの視線が一瞬泳いだのだ。
武器を前にし、すぐさまこん棒の先端でラーリーの武器の手にぶっ刺さる。「ふん」とラーリーは軽く蔑むような声を出して、横移動で躱す。
1手……
自分の攻撃が空ぶっても、ノールはすぐさまもう片方の手で反転し、ラーリーの武器を奪おうとした。しかし――
2手……
――ラーリーは武器を一回転し、まるで自分の武器を相手に送るような感じにナイフの先端をつまみ、ナイフの柄がノールに奪われた……いいえ、握らせたのだ。
3手。ラーリーは簡単に武器を手放し、身体をひねる。
「え?」まっすぐに武器を掴まって、相手が簡単に武器を手放したことにノールが迷いを生まれた。次の瞬間、首が眩暈するほどの衝撃を喰らった。
ラーリーは身体をひねって、蹴りを放った。そして、身体が元に戻った同時に、ラーリーはナイフを取り戻した。
ノールは後ろに二歩下がって、ギリギリの感じで態勢を保った。だが、攻撃を止めてはいけない。彼女は無闇にラーリーの方に近づき、三回の連続技を放った。
振りと刺しに組み合わせた連続攻撃だが、身体のバランスもしっかりしていないノールの攻撃はラーリーが容易く回避した。
4,5,6……
そして、ノールの攻撃が最後のひと振りをした後、まるで一瞬止まったように硬直し、隙が生まれた。
「これだから教科書みたいなザコだ。」とラーリーが躱した後そう発言した。
ノールはこの言葉を聞いて、顔を赤らめ、無闇にラーリーの方へもう一度こん棒を振っていた。
7手。これはお前の限界だ。
ラーリーは全く顔面に振りにきたこん棒に怯えず、手元のナイフでノールの首に伸ばす。
それは間違いなく切られる寸前だった。必ず殺せる1手……
「俺はよ……神官様なんて大嫌いってよ。」この言葉とともに、ブレースを纏っている手が二人の間に表した。
その声の主はラーリーの武器手に引っ掛けて、足首にも同じく、投げ技を発揮した。
背負い投げ。
そして投げ出す。
手首ブレースの冒険者がノールを助けた。
「だがな……戦いの手口で、人の個性が現れる!お前、卑怯な奴だな。」
パタ、パタ、身体から埃を振り払うラーリー。
12手……いや、15手くらいだろう。
「おい、ぶつぶつと言ってんじゃねえぞ!」
この時、パツァ!と机を掩体にしている、この両方の間に挟まれたモモナーが現れた。
自信な笑み、今モモナーと一番距離が近いノールが見える。そして、モモナーは一瞬視線がラーリーに向かった後、その笑みはすぐに自分に向いた。
まるで心が通じ合っていたかのように、なぜかノールはモモナーの笑みに含めている意味がわかっている気がする。
“一緒に戦おう!”と。
でも、そうと感じていたら、モモナーはまっすぐにラーリーへ仕掛けようとした。
「おい!」メリケン男も後をついて、モモナーを攻撃しようとした。
今回ラーリー、モモナー、メリケン男の三人の乱戦……だった。
普通の場合、大体の人は乱戦に加わるつもりがない。危険すぎる上に、実力が足りないと、味方の足を引っ張ってしまう……しかし、二人を除いて、現場にいる人は明確な味方がいない。
これのおかげで(せいで)、戦闘をかき乱す人ができて、目的をもった人は邪魔されるばっかり。
これで、乱戦に持ち越したね。自信な笑みを出したモモナーである。
「……チッ!」逆に、ラーリーは悔しい舌打ちをした。




