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この唐突な来客に、ギルドに少しの間静寂の時間となった。率先して沈黙を破ったのは男冒険者だったが……
「おいおい。今度は誰だ。また神官様かよ?ならお前んちの――」ならお前んちの神官様を連れていけと男冒険者が言いかけた時、「ラーリー」はとっくに懐から小型ナイフを取り出して、モモナーの方へ駆けだし、襲い掛かる。
一人を除いて、誰も「ラーリー」の行動に反応できず、フリーズ状態になっている。
そして、一番「ラーリー」と距離を取っているモモナーは不敵な笑みを出した。
やっぱり狙いは私ね……この人、絶対アイツだろう。
サッ!と、自分に襲い掛かったナイフに、モモナーは綺麗な足運びで躱した。
しかし、次の追撃がすぐ迫られる。
サッと横切り、その次はスッと突き刺し、またフッと斜め切りと反対の斜め切り……一連の動きは連続技で、ラーリーの手首や腕もまるで蛇のようにくねくねと次々にモモナーの体と首に狙っていた。
モモナーも負けないように、防いだ後、縦移動、横移動の足運びで攻撃を躱しつつ、隙を窺う。
すると、お互い瞬く間で20回以上の手数の攻防が続いた。
スッ、サッ、フッ、フッ……ラーリーの攻撃はどれも殺す手で、行動の要害を狙っている。モモナーは防戦一方である。
そして、この戦闘が一息を入れる時点は、モモナーが一つの机をひっくり返し、ラーリーのナイフに止めさせるところだった。
サッ、スッ――とほぼ防戦になったモモナーは机とぶつかり、咄嗟の判断でその机を持ち上げて、ひっくり返す。
「はあぁ!」と、机は無情にラーリーのところに飛ばされ、「ドス」と、ラーリーは机にナイフを刺さって、無理やる机ごとに全身の力で受け止めた。
机の衝突によって、ラーリーは何歩も下がった。モモナーに距離を取られた。
「何だこいつら……突然暴れやがって!」
ここで、二人の冒険者がやっとフリーズ状態から意識を戻った。
「……ここは冒険者協会だぞ!」
二人の阻止にラーリーは何も答えなかった。ただ少し不機嫌な感じで舌打ちをし、即断で机に刺さったナイフを捨てただけだった。二人のこと全く眼中にないのだ。
「おい!聞こえないのか!」
冒険者の問いに、モモナーだけが答えた。
「ああ!机、すみませんね!でもこいつ、コミュニケーションを取る気ゼロのやつです。」五回も相手にした経験の私が言ったから――とモモナーの話が途中で、ナイフの攻撃で中断された。
ラーリーはすでに次のナイフを取り出して、モモナーを殺そうとした。
モモナーはナイフを躱した後、解釈の余裕がなくなって、続いての言葉は「ほらね」としか言えなくなった。
この状況を見た二人の冒険者は、一回見合わせて、頷いた。
「……ここは俺らの縄張りだぞ!好き勝手に――」と二人の冒険者がそう言いかけた時、しゅっと先に行動する人がいた。
ノールだ。
ノールは二人の間から突き抜けて、交戦し合っている二人の戦闘に加わった。
手に持った短こん棒を握り、持ち上げ、振りかかるナイフを横回しで払い流す。
「……先生の体で好き勝手しないでください!」
「……」沈黙なラーリーだが、その表情は明らかに不機嫌だった。
また、ノールが突然戦闘に加わることによって、戦局が混乱していた。
時には二人の攻守、時には連携を取り、時々ラーリーを制圧する。短時間で三人が戦闘で交わした手数も簡単に30手以上に越えていた。
だがそれでも、二人は完全にラーリーを制圧できていない。むしろ、二人の方がやっと五分五分に持ちこたえた。
特に戦闘の中で、モモナーは一つわかっていた。
この子……強いけど、反射的に動いていない。それに、迷っている――とモモナーそうと思っているうちに、フッとナイフに切られた。
「うっ!」腕の肘から手首までの斜め切り。千本針が刺さっているみたいな痛みが走り、モモナーは退いた。
まさに好機、ラーリーはモモナーに迫り、ナイフもその首に伸ばす。
しかし、次に発生したのはナイフが首に刺さったではなく、パっという、小型ナイフとこん棒がぶつかる時の鈍い音だった。
ラーリーが右半身はほぼ後ろに下がり、斜め後ろに向きその身体、実に大きな隙が生まれた。
ノールはこん棒でラーリーの行動を止められた。
でも、ラーリーはノールのことを眼中にないように、一瞬でナイフを手放し、重心を変え、左半身で後ろ蹴りを放った。
ノールはこん棒の力がよるところがなくなって、身体のバランスが崩れると同時に、ラーリーの蹴りをしっかりと喰らった。避けたくても避けなかった。
「カハ!」
コホ……コホ……肺から空気が絞られたように蹴られ、ノールは咳き込んだ。
「ふん……教科書みたいなザコか。」ラーリーは床から一瞬で手放したナイフを蹴り上げて、掴む。再びモモナーのところに攻める。
二人はまた一対一になりそうなところ――「もう……これ以上暴れさせないよ!」と、
二人の冒険者が一斉にラーリーに攻めた。
自分に攻めてきたことに、ラーリーは苛立ちのように言った。
「……どいつも邪魔するばっかり!」
すると、二人の冒険者も戦闘に加わった。
二人の武器はメリケンと革製の手首ブレースだ。
縦振りのナイフには、ほぼ防具に近い腕まで覆っている手首ブレースの冒険者が受け止める。
切りではないなら、ナイフの振り攻撃は鈍器に近い。ナイフが振りかかっても、手首ブレースが切られていないのはその証拠だ。
そして、一手と二手、振りと切りを見極めて、手首ブレースの冒険者はラーリーと何回か手を交わした。
だが、手首ブレースの冒険者は明らかに実力不足だった。5回くらいで隙が生まれ、ラーリーに殺される寸前だった。
ラーリーは流暢な動きで身体を回転し、ナイフを持った手で首のところに狙っていた。生まれた隙を見逃さないつもりだ。
しかし、ラーリーの手を阻止するのはメリケンの横やりだった。
メリケン冒険者の出番だ。
ヒュー!ヒュー!と、手を振っているだけで、風も切られたように空気音が出ている。受けなくても音で分かる。その破壊力が絶大。
攻め手と守り手、これは二人の冒険者の攻め方。二人は気が合うように協力し、不足なところに補う。
自分の顔面に迫ってきたメリケンに、ラーリーは腰を曲げて避けた。
空振りのメリケンはそう簡単に攻撃を終わらせない。両手で交互に攻撃し、強い気迫でラーリーに攻める。
でも、ラーリーはメリケン男の気迫に影響を受けず、左、右、左、右……身軽な感じで次々と攻撃を躱した。時には足で椅子を引っ掛けて、メリケン男に投げる。
パン、パンと椅子が壁にぶつかり、落ちる。
そして、メリケン男は椅子を避けたら、主導権はすぐラーリーに移った。
一瞬で近づかれて、その攻撃の軌道はメリケン男の手筋を狙っていた。
手首ブレースの男は間に合わない。
メリケン男は避けられない。
ラーリー自身でもメリケン男を切れられると思った。
だが、現場にいる人たちは、この三人だけではない。
「はぁああ!」モモナーはメリケン男に。
「やああぁあ!」ノールはラーリーに。
この二人はそれぞれの考え方で、一緒にもう二人の方に、メリケン男とラーリーの顔面にドロップキックを放った。
パッとパッ!キックによっての肉叩き音。二人は見事に命中していた。キックした後、二人とも一回バック転し、姿勢を構える。
「おっとと、すみません!焦ってて手段を選ばず……大丈夫?切られてない?」
「……先生の体でそんな言葉を言うんじゃない!」
「何をするんだ……ああぁ?」
「プッ」と、ラーリーは無表情に立ち直り、血に混じった唾液を吐くだけだった。目付きに殺意の感情だけが含めていた。
戦況は、更に混乱していた。
あ、ちなみに、特に書いていないけど、
モモナーが味方(?)に攻撃してしまった場合、これはファンブルです!




