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六人家族が異世界に  作者: ヨガ
三人のシナリオ
40/109

39

 「本当に離れたな……」と井上凜は少し落ち込んでいた声で言った。


「うん……」


 三人が戻った場所は両親が横になった場所だ。木々に覆われていて、太陽の日差しも鬱蒼とした葉っぱに遮られている。そのため、地面に映した影も花柄のドレスみたいに土に着せられている。この地面の横に、木の蔭に横たわる井上智澄と井上佳月、二人が安心している感じでスースーと息をしている。


 命の危険がない。傷も増やしていない……


 そして、横たわる二人しかいない。


 気絶した二体の吸血鬼を含めて、吸血鬼全員がいなくなった。


「ごめん……」と井上桃花が申し訳ない顔で謝っていた。彼女の顔を見て、井上凜は鼻で「ふ――」と長い息を吐いた。しょうがない顔だった。


「気にしすぎた。」井上凜はポンポンと、軽く井上桃花の頭を叩いた。


「でも、兄さんは何か考えがあるだろう?その……吸血鬼を拾いに行った時、フロンさんと会話したじゃない?」


 あー……フロンさんと「シナリオ」のことについて会話していた時か。井上凜は自分が考えたことについて、まだ話していないことに気付いた。


「それはね、ランディさんたちのことは一つ大きな『シナリオ』じゃないかと考えていたんだ。」


「……つまり?」と何となくわかっていたが、井上桃花は確認したかった。


「つまり、ランディさんたちの大きなシナリオで、大きな悪意を消して、一発で現実世界に帰る……考え方はこの感じだった。」


 これを聞いて、井上桃花は少しプイと、頬を膨らんで尖った口で「安直……」と呟いた。それを聞いて、井上凜は「否定できない」としょうがない顔で肩をすくめた。


 詳しい事情がわからないが、ランディが話してくれたら、家族と一緒に解決の方法を考えて、何とかなると井上凜は心から思っている。しかし、「何とかなる」という部分は、まだ詳しく考えていないのも事実だ。


 確かに安直だな……と井上凜が思っている。


 だが、井上凜はもうぐずぐずとしたくなかった。頭を横に振って、こんな気持ちを振り切った。


 彼は今二人の兄だ。しっかりしなければならない。


「……とりあえず、今は父さんと母さんの近くにいよう。せっかく合流したんだし、起きるまで近くにいよう。」と井上凜が言った。この提案に井上桃花も同意したように頷いた。フロンも特に意見を出すつもりがないが……


 ここでツリーセが「あの――」と言った。


「どうしました?」


「起きるまでいるのはわかりますが……食べ物はどうします?いつ起きるかわからないし、夜で探すのはちょっと危険な気もします。この一日ずっと起きない可能性も考えなければ……」


「うーん……」「確かに。」


「それで、僕と星はこう考えています。リンさんとモモナーさんはここに残って、僕が食べ物を探しに行きます!戦い方は僕も一番熟知していますし、自分の身を守るのは適切な人物だと思います。」


 井上凜と井上桃花二人は一緒にこの提案のことを考えてから、気が合うように同じタイミングで頭を横に振ってしまった。


「「それなら、君と桃ちゃん(兄さん)二人残った方がいい。私が探しに――」」


 同じタイミングで話した言葉が重ねてしまって、二人にお互い顔を合わせた。この嘘のような状況に二人が失笑した。やはり家族だなぁと。


 でも、二人の笑顔も何秒後で収まった。考え方がわかったからこそ言うべきことがあったのだ。


「君たちに危険にあわせたくない。」「私もよ。」


 そして、まるで今度こそ二人に喧嘩させたくないよう、ツリーセはここで「ぼ、僕も!」と言った。強引に二人の間に挟んだ。


 ツリーセの行動に兄妹が苦笑いをしたが、同じタイミングでツリーセの頭を撫でた。喧嘩するつもりがないという意味だ。


 ツリーセは素直に撫でられて、思わず微笑みの表情を出した。


 いいな……家族って。


 数秒後、井上凜は手を控えた。ツリーセは少し寂しそうに見ているが、もう一人はまだ置いてある。


「ちなみに、他の方法は?」と井上凜は試す感じに二人に言った。


「思いついた感じでは、一番いいのは一人で探した方がいいかな。」と井上桃花がまだ手をツリーセの頭に置いて言った。


「そうだね。」とツリーセも同意した。


 三人で一緒に探すのは論外だ。両親の身の安全を守るために提案したのだ。


 二人で探すのは、逆に残った一人のほうが危険だ。二人の身を守るために、一人の力では限界がある。もし逃げる必要があるなら、二人を背負う必要もある。一人ならまだしも、ここにいる三人は一人で二人を背負って、危険から逃げ切る自信がない。


 だが、誰も探しに行かないと、ツリーセの心配したことが起きる可能性が高い。食料と水もいずれ探さなければいけない。水は仮に湖で解決しても、ここから離れる必要がある。


 はぁ……損傷を未然に防ぐのは難しいな……と井上凜は思った。


 ここで、井上桃花はまるで頭の上に電球が現れたみたいに、「そうだ。フロンさん――」とすぐかくかくしかじかでフロンに状況を説明した。


 そして、井上桃花は「――という感じですが、他にいい方法がありますか?」と解決の方法を求めた。


「うーん……二人を起こしてみたらどうでしょうか?」


「……怪我人を安静にさせるために考えているのよ?」


「ああ……すみません。では、その怪我の状況はどうなっていますか?」


「どうって……兄さん。」


「大体の出血や怪我は治したが、下手に動かないほうがいいかもしれません。」


「なるほど……たしかに難しいことですね。」とフロンが少し考えていた。


 フロンが考えている間に、ツリーセの動きは少しぎこちなくなっている。


 その原因は――


 『いいぞ!少し姉ちゃんのことに慣れたね!』――井上星が褒めたから。


 慣れた?と、ツリーセは井上星の言葉でやっと意識した。今頭に置いている手は誰の手なのかということ。


「あ、あの……モモナーさん、そろそろ……」ツリーセが照れている感じで言った。


「うん?」井上桃花は知らないふりで言った。この演技は本当に何を言っているか知らない感じだったが……ふりだ。


「手を……」


「うん?」ふりだ。


「離したほうが……」


「嫌い?」と井上桃花はシュンとする顔をした。


「い、いいえ!そんなことは……」


「ならもうしばらくこのまま!」と井上桃花は手のひら返したように元気な顔になった。


 ツリーセ……弄ばれてる……でも、姉ちゃんが本当に落ち込んでいたかもしれないから、たしかに拒絶しないほうが……


「……私ももう少し置いとこ!」と井上凜も加勢した。


 でも、兄ちゃんのこれはただの悪ノリだ!と井上星はツリーセに言うつもりだったが、フロンがここで言い出した。


「そうですね……怪我の状況を考えると、今二人の場所を移動するのもあまり得策ではないと思いますし……やはり一人で探したほうがいいかもしれませんね。」


「フロンさんも同じ考えなら、この方法は間違っていないだろう。」と井上凜がツリーセの頭を撫でながら言った。


「まあ……こちらも常にいい案が出せるわけではありませんので。」


 大丈夫ですよと井上凜が返事した。


「では、どう決めよう?」と井上桃花は同じく頭を撫でながら言った。


「……じゃんけんで決めますか?」ツリーセはずっと照れる顔で言った。


「うーん……そうするしかないかな。」と井上桃花は消極的に同意した。


 井上凜は二人の顔を見て、一つのことを思い出して、手を引いてこう言った。


「待って、『状態表』を見よう!」


「状態表……あ。」井上桃花は井上凜が言いたいことがわかったように、やっとツリーセの頭から手を引いた。ツリーセもようやく正常な表情に戻した。


「一番適切な人選を選ぼう。ちなみに、フロンさんの意見も伺いたい。」


「なるほど。」「わかった!」「はい。わかりました。」


 『状態表』を見て、驚いたことがあった。


 三人の状態表(ツリーセのは井上星が見ている):


 ―――――――――――――――――――――

 PL:井上凜       

 PC:グリン

 個性:慎重

 戦闘:2 (+1)

 知識:3 (+2)

 精神:3 (+2)


 スキル:

「上達法」(頑張る次第、判定の成功の数:7回。)

「交渉法」(自らの交渉成功を含めて、判定の成功の数:12回。)


 背景:

 “どんな生き物でも、話し合える”――これはグリンのモットだ。

 どんなことが起きても、まず会話が最優先だ。

 その原因は、自分の顔がひどい火傷があって、すぐ怯えられていたから。

 怖い外見なんだが、実は純粋な優しい心の持ち主である。


 経歴(1):

「命の森」の遺跡にランディという吸血鬼の護衛に出会った。熾烈な戦いから少し友情の感情を築いた。お互いのために、相手を助ける感情がすれ違っている。ただ、離れたランディたちの運命は果たしてどうなるだろう……


 ……ツリーセと「命の森」で出会った。

 ……モモナーと「命の森」で出会った。

 ……トモモと「命の森」で出会った。

 ……ムーンちゃんと「命の森」で出会った。

 ……ランディと「命の森」の遺跡で出会った。

 ……リンディと「命の森」で出会った。

 ……サンディと「命の森」で出会った。

 ……ハンディと「命の森」で出会った。

 ……モンディと「命の森」で出会った。


 関係性:

 ツリーセ ―― 知り合い。

 モモナー ―― 知り合い。

 トモモ ―― 知り合い。

 ムーンちゃん ―― 知り合い。

 ランディ ―― 友人未満。

 リンディ、サンディ、ハンディ、モンディ ―― 知り合い未満。


 ―――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――

 PL:井上星     

 PC:ツリーセ

 個性:大人しい

 戦闘:4 (+3)

 知識:2 (+1)

 精神:2 (+1)


 スキル:

「捜索」(自らの捜索行為を含めて、判定の成功の数:7回。)

「武技」(自らの戦闘行為の成功を含めて、判定の成功の数:15回。)

 背景:

 きれいな顔立ち。柔軟な身体で色んな動きができる。

 少しバカっぽいが、時々勘が鋭い時がある。

 聴力がすごい。


 経歴(1):

「命の森」の遺跡にランディという吸血鬼に出会った。熾烈な戦いから少し悪くない友情関係を築いた。グリンさんはダジャレが好き。


 経歴(2):

 モモナーと合流して、意外なことにランディと関係しているリンディという吸血鬼たちと出会った。吸血鬼の凶暴化を鎮めたが、お互いの価値観によってまた戦っていた。

 リンディと良い戦いをした。何となく悪くない関係性になったと思う。

 モモナーはちょっと……からかいすぎ……



 ……モモナーと恋人関係。わけがあって、二人が分散されている……が、「命の森」で再び会えた。

 ……グリンと「命の森」で出会った。

 ……トモモと「命の森」で出会った。

 ……ムーンちゃんと「命の森」で出会った。

 ……ランディと「命の森」の遺跡で出会った。

 ……リンディと「命の森」で出会った。

 ……サンディと「命の森」で出会った。

 ……ハンディと「命の森」で出会った。

 ……モンディと「命の森」で出会った。


 関係性:

 モモナー ―― 恋人。

 グリン ―― 知り合い。

 トモモ ―― 知り合い。

 ムーンちゃん ―― 知り合い。

 ランディ ―― 友人未満。

 リンディ ―― 友人。

 サンディ、ハンディ、モンディ ―― 知り合い未満。


 ―――――――――――――――――――――

 ―――――――――――――――――――――

 PL:井上桃花    

 PC:モモナー

 個性:お茶目/???

 戦闘:4 (+3)

 知識:4 (+3)

 精神:4 (+3)


 スキル:

「隠匿」(自らの捜索行為を含めて、判定の成功の数:5回。)

「瞬発力」(自らの戦闘行為の成功を含めて、判定の成功の数:12回。)


 背景:

 顔に少しのそばかすがあり、ちょっと親近感がわいてくるような顔付き。髪型は首のところに伸ばし、レイヤーカット風に内に巻いている。


 かなりの戦闘の達人であるが、戦闘のことがあまり好きではない。だから戦闘に遭う時よく隠れる。隠れる技術や息を殺す術、他人に察知されないようにオーラを隠すのも得意だ。そのせいで、恋人とよくはぐれてしまう。


 ツリーセちゃん!会いたかったよ!――これはモモナーという彼女がよく迷った時に叫ぶ言葉だった。


 経歴(1):

 ツリーセちゃん!会いたかったよ!一体どこに行ったのよ!遺跡に行ったって?それは良くないって!ほら!私と一緒に歩いていこう!ツリーセちゃんと一緒にいれば、どこでも楽しいから!



 ……ツリーセちゃんと恋人関係。わけがあって、二人が分散されている……が、「命の森」で再び会えた。最高。

 ……グリンと「命の森」で出会った。

 ……トモモと「命の森」で出会った。

 ……ムーンちゃんと「命の森」で出会った。

 ……ランディと「命の森」で出会った。

 ……リンディと「命の森」で出会った。

 ……サンディと「命の森」で出会った。

 ……ハンディと「命の森」で出会った。

 ……モンディと「命の森」で出会った。


 関係性:

 ツリーセちゃん♡ ―― 恋人。

 グリン ―― 知り合い。

 トモモ ―― 知り合い。

 ムーンちゃん ―― 知り合い。

 ランディ、リンディ、サンディ、ハンディ、モンディ ―― 知り合い未満。


 ―――――――――――――――――――――

疲れるーー

あまり状態表書くのが好きではありません(´・ω・)

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