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たった1人の完全記憶保持者  作者: カナタハジメ
3/3

第3話「きんきのしょ」

セミの鳴き声が耳に張り付く日頃に、やってきた夏休み中の登校日、その登校日に転校かつ俺がいる寮の新たな入居者になった望。そして次の日、望の歓迎パーティーと称して中央にある学校から北上すること5キロ、青空公園にてクラスでバーベキューをすることになったのだが…それはそうと、話をするには少し前に戻らなくちゃいけない。



話は、望が転校してきた日の午後、まだらから始まる。


「おい、これはなんだ?」


俺は俺の部屋の前を塞いでいる望が置いた山積みになった段ボール箱を指さした。


「え?私の荷物だけど?何か?」


「いや、それは分かっている…そして、女子の部屋は下だ…で、どうしてここに荷物があるんだって聞いてんだよ!!」


「あー下の部屋はていうか先生の部屋の前って嫌じゃない?だから」


「……あーもういいわ…じゃあ、次な」


この時、望はえ、まだ何か?と言わんばかりの嫌味な顔をしていた。


「どうして俺の部屋の前に積み上げてる」


「……あっ!!ここ変態の部屋だったんだ~まがまがしいオーラがあったから塞いじゃった!てへ!」


彼女はぶりっ子並みのぶりぶりでブイブイ言った。


「あのな…けだものから変態になったのはあまり変わらないからな」


俺はしみじみと心が傷ついていったのだった。


「あっ変態!それ取って~」


望は自室で俺を召使いか何だかで思っているらしく使い方が荒かった。が、俺は紳士だやる気がなさそうな雰囲気ではあるが俺は指示された段ボールを持ちあげだ。


「これ、どこ置くんだ?」


その時だ、望は顔を真っ赤にさせ両手を広げ襲いかかってきた。


「!?何だよ!」


そして、みんなが思うようなベタベタな展開へと発展するのだった。襲いかかってきた望は足下に積み上げていた本につまずきその勢いで俺を押し倒し倒れた。要するに顔と顔とがゼロ距離になる床ドンという奴だ。でも、これ…逆だよね。俺はこの状況を理解すべく近りを見渡す。辺りは押し倒された時の衝撃で段ボールが散らばっている。つまずいた時に蹴った本も、散らばっている。つまり結論はこうだ…今俺にできることはただ1つ望が口を開くのを待つのみだ。だって、俺が押し倒されているか、客観的には俺をまたぎ四つん這いになっている望がいる。ただそれだけだ。


「どいてください…変態…」


「……おい!お前がどけよ!!」


俺は突然瞳を嘘しながら見つめて敬語を使う望にときめきかけたが俺はそんなのに騙されなかった。案の定ふざけていたのであろう…望はリスみたく頬を膨らませながら俺の上からどいた。そして、失礼なことを口走った。


「げだものが襲わない…?あなた本当に颯斗君だよね?」


「おい、こら、泣くぞ俺」


俺の言葉なんぞ無視して片付けに望は片付けに取り掛かった。


俺…本当に泣きそう…


まぁ、それはさておきだ。俺は転けた時に散らばったものの回収に取り掛かる。その時、1冊の本を見つけた。ペラペラとめくり閉じた。そして、俺はわかった。神様が俺の味方をしてくれたと。すなわち、あんな態度をとった望に対して、復讐できる道具が見つかったのだと言うことだ。それは、誰もが1人1冊持っていると、言っても過言ではないもの…すなわち、


禁忌の書(ポエムノート)


この書を持つことによって、俺は望に仕返しができる状態へとなったのだ。


「望…」


俺は、怪しげな声で望を呼ぶ。


「何か?」


さっきのことそんなに悔しかったのか?て聞きたいぐらいの冷たく針がある返事で返してきた。この時、俺はこんな態度をとってくれた望に対して感謝をした。だって、罪悪感を感じずこいつを恥ずかしめることができるからだ。


「これ、な〜んだ!」


俺は「だ!」と、同時に見つけた禁忌の書を前に突き出す。それと、同時に一瞬考えて一気に顔を赤くする望。やってやった!俺は、この調子で1ページ目をめくる。望の様子は俯いていて分からない。そして、俺は声に出して読むことにした。


「……4月1日、今日はみんなが私に嘘ばっかりついてくる。多分、エープリルフールだからかな?4月2日、今日は雨が降った。家で本を読んだ…てっ!これ普通の日記じゃあねーか!!」


その時だ、望は俺に向い勝ち誇った顔で高らかに笑う。


「はっはっはっ!!私がそんなヘマをする訳がないだろ!ぐははは!」


そして、手元にある似たような本を取り出し見せつけた。


「これが本物だ!ぐはははは!」


その時だ、俺はポロリと思ったことを口にしてしまった。


「あるんだ」


俺のセリフと共に、望はダクダクと滝のごとく汗をかき始めた。


「…………何?本当にあったら何か悪いわけ?て言うか、変態ケダモノ野郎には関係ないよね!てか、なんで私の部屋に入ってるわけ?etc .」


何故か、俺はトゲトゲした言葉を投げつけられた。本当にわけが分からないほどに…てか、わけの分からない理屈並べて出てこないからetc.て、何だよ!

俺は溜まるストレスをグッと堪えてたち上がり嫌みたらしくり望に言った。


「はぁ~もういいよ!わかった、絶対にもう手伝わん!!」


「あっそ!!だったら早く出ってて!!」


俺はドン!と勢いよく戸を閉めた。と、ここまでが俺の作戦だ!!え?何が作戦?て顔してんな、よしここで説明してやろう。俺はあの時、この手で禁書を手に取った。そこまではお判りいただけるだろうか。つまるところ、俺は一冊見つけたとは言っていない。すなわち!!もう一冊あったのだ。しかもタイトルが:私:だ。気になる。てことであえてあそこできれて読みふけるために部屋を出たて訳だ。


俺は、さっさと自室(望の部屋の隣だが)戻った。そしてベットの横に置いてある勉強机の椅子を引き座った。そして厚めの表紙をめくった。そこにはザ・女の子みたいな可愛らしい字で三行だけ何かが書いてあった。


:これを覚悟の証として必要の無いことをここに書き残す。:


:だって私は:


:彼を救うための完全記憶保持者(アカシックレコード)なのだから。:


俺は、これが何なのかがこころあたりがある。何故かわからないが俺はこの‘彼‘が俺のことを指しているとわかった。根拠はない。ページをめくるとさっきとは違う字書かれていた。でも、内容を読むうちに感覚ではなく真実となった。俺は、それを見て目を見開いた。


:4月1日、私は南橋颯斗と出会った。その、男はなぜか嘘ばかり言う。私はそれなりに傷ついた。初対面の相手に嘘をつくなんて…最低だ。だから私はビンタをくれてやった。:



:4月2日、あの男が私に嘘をついたことを謝ってきた。エープリルフールと言うイベントだったらしい。私は世間一般の常識が抜け落ちていた。恥をかいた。だから、私はビンタをくれてやった:



さらに俺はめくる。



:5月30日、早めの梅雨入りだった。そして、私の心も梅雨入りを果たした。席替えであいつの隣になった。



:6月2日、大雨が降った。私は屋上で落ちそうな猫を見つけた。私は助けに行こうとして足を滑らし落ちかけた。そう、落ちかけた、皮肉なことにあいつに助けられた。:



:6月15日、あれ以降、あいつを見ると胸が苦しくなった。多分、私は南橋颯斗アレルギーにかかったのだ。でも、違った。これが世間で言われる「恋」らしい。つまり、私は颯斗君に恋をした。:



:6月18日、私は見てしまった。真実を知った。颯斗君はハレーム主人公だった。ヘラヘラしやがって。私は久しぶりにビンタをくれてやった。でも、彼に触れたときすごくドキドキした。:



:6月28日、私は告白することにした。颯斗君を校舎裏に呼び出した。でも、告白できなかった。奴らが襲撃に来た。颯斗君はそいつらを撃退した。:



:6月29日、颯斗君は確かにそこにいた。でも、いなかった。颯斗君という存在がみんなの中から消えていた。:



:7月7日、また奴らが来る。颯斗君はもう戦えない。だから、私…いや、私たちは戦うことにした。:



:7月8日、奴らに勝てた。でも、被害は大きかった。大半の仲間を失った。生き残ったのは、私と御堂君だけだった。でも、私もそう長くないらしい。:



:7月9日、御堂君がお見舞いに来た。御堂君に私がもうは長くないことを話した。御堂君は涙をこらえて無理やりなえがおで言ってくれた。「あとは、俺に任せろ

、俺があいつを守ってやる」て。うれしかった。だからではないけど、御堂君の首の傷を隠すための何かとして、私の愛用していたヘッドホンを挙げた。嬉しそうにていた。:



:7月10日、颯斗君が私の病室へやって来た。黙って、戦ったことをものすごく怒られた。そして、彼は私を抱きしめて、泣いた。知ってしまったのだと思う。私は、颯斗君のかせにはなりたくなかった。だから、彼の記憶を奪うことにした。ごめんね。:



:7月11日、颯斗君が知っている、私の事、奴らの事を彼の中から消した。:



:7月27日、この日が多分最後の日になると思う。颯斗君の記憶を消して以降、私はたまに意識が飛ぶようになった。あぁあ…颯斗君に会いたい…な。私、死んじゃうのか…怖いな:



これが最後の記述だった。最後の方は字がつぶれていた。俺は自然と涙をこぼした。


「読んじゃったの?」


俺は顔を上げる。目線の先にはなんとも言えない顔をした。望がいた。


「………これ…なんなんだ?」


「まだ、話したくない」


「あ、そうか…わかった」


俺は、今ここで聞く話では無いと思った。いや、わかった。

この本を望に返した。望は、暗い顔を浮かべ背負向ける。


「この件は、とりあえず忘れて……明日、ちゃんと楽しんでくれなきゃ私、けだものて言いふらすから…」


「…うん…わかった…とりあえずこの気持ちは今日までにする」


「うん」


望は寂しそうな背中で隣の部屋に移動した。


「…明日、楽しもうな!」


「うん!」


彼女は振り返り笑みを見せた。俺はこの時、何かに傷ついた望と分かりようもない何かに傷ついた俺自身をいやすために大声で呼びかけたんだと思う。

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