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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第3章 ③
96/316

96話 偽魔王

偽魔王と戦った場所よりもさらに広く、天井も高い。

それだけに柱は聳え立っているという表現が合う。

圧倒されるような、冷たくもあり、美しくもあるような光景だ。

とても魔王城にふさわしいと思う。

この世界に転送され、勇者としてここに来たのなら、まだよかったかもしれない。

これから、まさに魔王を打とうというところだ。

勇者が魔王を倒す最後の戦い、そんなところだ。

まぁ、偽魔王のときもそんな感じだったが、あの時はまだ、勇者パーティの一人のようなものだった。魔王ではなかった。

一応、勇者(今はどうかわからないけど)も一緒にいる。

ただ、なにぶん、すごーーく複雑だ。

一歩一歩が非常に重い。

扉はわたし達が入ると、自動的に閉まる。

少し進むが、やはり誰もいない。

わたし達が玉座の近くまで来れば、現れる気なのだろうか。

普通、玉座に座る魔王が、よくぞ来たとかなんとか、出迎えてくれる、と思う。

今は誰も一言も発しない。

前を行く三人、グレン、コーディ、イネスからは緊張が感じられる。

その三人の後ろをわたしとミア、さらにその後ろに四人がいる。

わたしも緊張する。何が出てくるのか。おそらく、宰相だと思うけど。

むしろ、何を言われるか、という方が問題かもしれない。

何も出てこないなら、もっと進むしかない。

嫌だなと思いながら、重い足を踏み出す。

半分を過ぎ、さらに、歩を進める。

ようやく、動きがあった。

玉座の前から、黒い霧が発生する。

霧から姿を現したのは、宰相ではなく、あの偽魔王だった。

前よりも大きくなっている気がする。

「魔王」

グレンが呟く。

前の三人は臨戦態勢を取る。

ミアがわたしの腕に抱き着いてくる。

後ろの四人は、いつもと変わらない。

どうしてここで、偽魔王が出てくるのだろう。

意図が全く不明だ。

偽魔王は10本の尾を持ち上げて、攻撃の態勢だ。

あの偽魔王は戦う気なのだ。

尾の数も前より増えている気がする。

その尾が襲い掛かってきたのが、開戦となった。

ただ、その尾は、コーディの黒い斬撃で全て切り落とされ、消滅した。

おそらく、コーディが使ったのは、闇魔法だ。

もしかすると、風魔法と合わせて使っているのかもしれない。

短時間でこんなに闇魔法が使えるなんて……

わたしの立つ瀬がない。

魔王としての立場が重要かはわからないけど。

消滅した尾はすぐにまた、生えてきた。

尾が攻撃してくる前にコーディは偽魔王本体に黒い斬撃を放つ。

5本の尾がそれを防ぎ、消滅した。

すぐにまた、尾は生えてくる。

「グレン、イネス、あの尾の相手を頼む」

そう言うと、コーディはグレンとイネスの剣に魔法をぶつける。

その剣は黒く染まった。

「ああ」「ええ」

とグレンとイネスは応じ、偽魔王に向かって駆けだす。

コーディもまた、魔王に向かう。

距離を詰めたところで、グレンとイネスも黒い斬撃で尾を攻撃する。

コーディが本体を叩く。

特大の斬撃が偽魔王を頭から真っ二つに切り裂いた。

偽魔王はあっけなく、消滅した。

「あら、すごいじゃない」

驚嘆の声が玉座の間になんだか、間抜けに響いた。

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