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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第3章 ②
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90話 闇魔法の力 二

その後、さらに上階へと進んだ。

入った部屋では、敵の待ち伏せに会う。

闇魔法も容易に扱えるようになった。

まるで、実戦訓練であるかのようだ。

多くの敵と対峙したときも、メルヴァイナの光魔法ほどではないにしても、闇魔法の斬撃が放てるようになり、一度に多くの敵を倒せるまでになった。

ただ、まだ、グレン達を見つけられていない。

窓のある部屋から外を見ると、既に暗くなっていて、暗闇が広がるばかりだ。

どれくらいの時間が経過したのか?

無事でいるのか?

既に、グレン達と別れたあの部屋より上に来てしまったということはないのか?

このまま、階段を上って行っても、あの部屋に着くとは限らない。

この城の構造はおかしい。それに、階数も当てにならない。

窓に映るのは、まるで魔王の配下のような男。

魔王の魔法と同じような、闇魔法。

一人、この魔王の城に取り込まれてしまいそうに思う。

「メイ……」

僕には、もう、彼女の傍にいることはできないのではないかと思えてくる。

ライナスやメルヴァイナの方がずっと、頼りになる。

このまま、誰にも会えず、ここで朽ち果てるのかもしれない。

メイとは契約した。ただ、闇魔法で生み出したゴーレムやドラゴンとの繋がりほど、メイとの繋がりは感じられない。

闇魔法を使えている時点で、確かにメイとの繋がりはあるのだとは思うが、実感がない。

一人だと、よくないことばかり考えてしまう。

ふと、”おまもり”のことを思い出した。

王国から転移した後、メイとそのことについて、話をしていた。

今朝の出来事のはずなのに、ずっと前のことのように思う。

あの”おまもり”はどうしただろうか?

着ていた服と共に、切り刻まれてしまったのだろうか?

イネスが僕に贈り物というのは珍しい。それなのに、失くしてしまって悪いと思う。

イネスに会えば、謝罪しなければならない。

今は、一刻も早く、グレン、イネス、ミアを見つけなければならない。

余計なことを考えている暇はないはずだ。

それでも、会えないのではないかという考えが頭をもたげる。

隠し通路がないとは言えないが、ここまで、他に道はなかった。

メルヴァイナのしたように、壁を破壊してみた方がいいのか。

ここは構造がおかしい。外観と内部で合っていないように思う。

もしかすると、魔王は城の内部の構造を変えるというようなことができるのではないか?

それなら、僕は永久にここに閉じ込められる可能性もある。

不安を抱えたまま、進む。

次に階段を上って、入った部屋には、既に無数の黒い獣や人型の影が蠢いていた。

その奥に、確かに、三人の姿を見た。

これだけの敵を挟んで、確かに見えたのだ。

グレンとイネスとミアだ。

三人の無事な姿に安堵する。

剣を一度、ぐっと握る。

僕は小型のドラゴンを二体出現させた。

それを操り、敵を排除していく。

気が逸る。早く彼らの元へ。

二体のドラゴンが部屋の中を暴れる。

部屋の中の敵は数を減らしていく。

敵は血も流さないし、痛みを感じてもいないようだ。

ただ、消滅していくだけ。

闇魔法で作った僕のドラゴンと同じだと、今は確信している。

弊害がないのかもわからない。

メルヴァイナの様子だと、メイに危害が及ぶことはないと思う。

敵を排除し終え、グレン、イネス、ミアの前に辿り着いた。

彼らは、僕に武器を向け、目を据えて睨みつけていた。

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