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魔王の裁定  作者: 有野 仁
最終章 ④
313/316

313話 宰相との手合わせ 二

「メイ、ボクも頑張るよ」

「わたしも少しでも支援できるように」

メイとミアの気軽な様子のやり取りが聞こえている。

そこは、僕に譲ってほしかった。

メイとは最近、あまり話せていない気がする。

いや、僕が恐れていただけだ。

ちなみに戦術など何の打ち合わせもしていない。

少しくらいしてもいいのではないかと思ったが、結局することはなく今に至る。

以前もそうだった。

それに、手合わせなので、気楽な雰囲気だ。

割と観客もいる。

ドリエスも見に来ていた。その隣にはコリンナもいる。

宰相が手合わせを持ちかけた場にいた者達もいるので、そこから伝わったのだろう。

隠していたいなら、そもそも、こんな城内の者なら誰でも見える場所を指定しないだろう。

相変わらず、宰相がどういうつもりかわからない。

少なくとも、僕達を殺したいという訳ではなさそうだ。

僕の前に宰相が立った。

宰相の雰囲気はいつもと変わらない。

これから戦うという雰囲気ではない。

ただ、服装だけはいつもよりほんの少し動きやすそうな服装だ。

「こういう機会もありませんでしたので、遠慮なくどうぞ」

こちらにはメイがいるからか、宰相は丁寧な口調で言う。

「よろしくお願いします」

メイとミアが口をそろえる。

後方支援のメイのみ、後ろに下がる。

後は全員が攻撃だ。

多すぎて、やりづらい。

下手をすれば、味方を攻撃する。本当に味方なのかはわからないが。

甥であるライナスもこちら側で宰相と相対する。

もしかすると、ライナスは宰相側になるのではないかとも思ったが、それはなかった。

宰相は本当に1人だ。

宰相1人だけという事に、罪悪感がある。

「私が開始の合図を致しましょう」

ドリエスが前に出る。

「では、始めてください」

柔らかいドリエスの声で手合わせは開始された。

「身体強化の魔法を掛けます」

メイが僕達に魔法を掛ける。

宰相は動かない。

何なら、軽く笑みを浮かべて、佇んでいる。

そこにセルウィンとマデレーンが初めに宰相に持っていた武器で攻撃する。

二人の攻撃は全く当たらず、地面を叩いた。

二人が的外れな攻撃をした訳ではない。

宰相が動かなければ、確実に当たっていただろう。

それに懲りず、二人は再度、攻撃に移る。

身体強化をしてもしっかり動けてはいる。

ただ、何度か繰り返しても全く当たらない。

「エリオットお兄様、何をなさっておりますの?」

「マデレーン、勝てそうにないよ」

「そ、それはやってみないとわかりませんわ!」

「今のやり取りを見ていれば、わかるよ」

「それは……確かに、全く当たりませんわ」

「私の弟と妹、そろそろ、休憩にするか。確かにいい運動だった」

「ええ、お兄様、そう致しましょう」

「エリオットお兄様は何もしておりません」

セルウィン、エリオット、マデレーンの会話が続く。

肝心の攻撃の手は止まっている。

ちなみに、宰相は全く攻撃して来ない。

そこへ、急速に迫ったイネスとミアが左右から宰相に向かって、矢のような形の闇魔法を放つ。

それには気付いていた。

畳み掛けるつもりで僕も既に動いている。

それは、グレンも同様だった。

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