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魔王の裁定  作者: 有野 仁
最終章 ④
304/318

304話 僕のすべき事

先程までイネスと入れ違いでメイが僕の部屋にいた。

メイは僕の婚約者なのに、不快な思いをさせてしまった。

いくら、イネスとはいえ、部屋で二人だけで話すべきではなかった。

僕の言葉は言い訳だ。

それは僕の思う騎士の姿ではない。

僕は騎士ではないのだが。

僕は相変わらず、中途半端なままだ。

騎士にはなれず、弟レックスのように王族として義務を果たすこともせず、魔王国でも立場も曖昧だ。

何も変わっていない。

メイに情報を集めると言ったが、あの宰相相手では厳しいだろう。とりあえずは役に立つと示すしかない。

メイには嫌われるかもしれない。

婚約者になって、僕にはどうすればいいのかわからない。

イネスはメイと二人で出掛けて来ればいいと言う。グレンは既に婚約者と夜も共に過ごしていて参考にならない。

メイが僕の部屋にいた時、僕は戸惑っていた。

メイに不用意に触れてしまいそうで。

メイに近づいたのは間違いだった。

すぐ傍にメイがいて。

メイは真面目に話しているのに、僕は何を考えているんだ。

しかも、いつもメイを追い出すようになってしまう。

メイは魔王だ。メイが一番、不安に思っているはずだ。

魔王とは?

単に絶大な魔力を持った人が魔王という訳ではないのだろう。

メイは別の世界から来たと言っていた。

別の世界から来た人が持つ特別な力があるのか?

それが、死なないということか?

宰相は死なない訳ではないと言っていた上に、先代魔王は自殺したと聞いている。

これまでの魔王は既にいない。

亡くなったか、元の世界に戻ったのだろう。

殺せない魔王を殺す……

メイがそう言っていた。

確かに首を斬られても死なない。だが、それは、僕達やドラゴニュートやヴァンパイアも同様だ。

簡単には死なない。

では、逆にどうすれば死ねるのか?

すり潰すか、焼き尽くせば、さすがに死ぬらしい。

だが、宰相の弟はそうではなかった。

それで言えば、確かに根底が間違っているのかもしれない。

簡単に死なないと思い込まされているだけの可能性もある。

さすがに確認はできない。

メイも悩んでいた。

そんなメイを追い出すような事をしてしまった。

変わらない自分が嫌になってくる。

情けない。

魔王国での地位を得ようと焦っていた。

こういう時こそ、焦ってはいけないにもかかわらず。

常に冷静に。

そう騎士学校では教えられていた。

宰相の元にはこれからも僕がいた方がいい。

それは変わらないが、単に仕事をすればいいという訳ではない。

宰相の弟が全てを行なったという事はないだろう。

これまでの事を考えると矛盾がある。

少なくとも、2つの思惑があるように感じる。

少なくとも、二人以上が別々の意図で動いている。

魔王を利用したい者と殺したい者がいた場合、一人の行動と見れば、その行動は矛盾しているように見える。

それは間違いなく、魔王国の関係者だ。

宰相の弟はどちらだったのか?

僕はメイを護る。それだけだ。

だが、ドラゴニュートやヴァンパイアなどの強さは、覆らない事実だ。

見極めないといけない。

誰が味方なのか。

ただ、僕一人で決めてはいけない事だ。

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