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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ⑦
272/316

272話 これからのこと

宰相がコーディの部屋を出て行き、5人だけになった。

「その、ボクには宰相様が嘘を言っているようには思えませんでした……」

ミアがぽつりと呟く。

納得できないけど、たぶん、納得してしまった方が身の危険はない。

目を瞑って、見なかったことにしてしまった方がいい。

宰相が言ったことは正しいと。

犯人は宰相の弟のアーノルドさん一人だったと。

わたしだけじゃなく、皆の安全の為にも。

部屋は静まり返った。

それぞれ、思うことはあると思う。

どうすればいいかなんて、わかるわけがない。

でも、宰相は少なくとも、すぐに魔王国に戻れとは言わなかった。

仮に共犯だとしても、わたし達ではどうにもできないと思われているだろう。

事実、その通りかもしれない。

「すぐに戻らなくていいなら、もう少し、頑張ってみます」

わたしはそう宣言する。

「メイ、僕も調べてみます」

「勿論、するわ」

「ボクも頑張ります」

グレンは返事をするように鼻を鳴らす。

自分の部屋に戻ると言って、グレン、そして、ミアを連れてイネスもコーディの部屋を出て行った。

わたしも出て行った方がいいんだろうか。

「メイ」

コーディに呼ばれた。

コーディと二人きりだ。

そう言えば、婚約して初めて。

イネス達は気を遣ってくれたんだろう。

今日は、もう、色々あり過ぎて、疲れたし。

婚約しただけで何も変わらないけど、なんとなく何か変わった気がする。

二人きりだと、まだちょっと緊張する。

でも、コーディに抱き着きたい気もする。

「コーディ」

名前を呼んでみた。

でも、動けない。コーディの顔もまともに見れない。

あ~、だめだ。また変なことして、嫌われたらどうしよう。

婚約したけど、結婚できる気がしなくなってきた。

遠くから見てるだけでも……

「メイ、何もしないので安心してください」

そうコーディに言われてしまう。

「あ、あの、抱き着いてもいいですか?」

コーディは優しい笑みを浮かべ、両手を広げてくれた。

わたしはもちろん、コーディに突撃した。

コーディが抱き締めてくれる。

キスはなかったけど。

その後は、コーディがわたしの部屋まで送ってくれた。

この日、明日からのことを話し合うということはなかった。


翌朝、メルヴァイナとライナスがわたしの部屋に訪ねてきた。

「メイさま、ご婚約おめでとうございます」

メルヴァイナは笑顔で言う。

ルカはメルヴァイナの従兄だ。そのルカは昨日、亡くなってしまった。

メルヴァイナに何て言っていいかわからない。

それにわたしはルカの死を嘆き悲しんでいるわけではない。

そこまで親しかったわけではない。

「ルカお兄さまのことは嫌いでした。本当に厄介でしたから。だから、気にしないで下さい。昨日のことは昨日に置いてきました。しんみりするのは、私もルカお兄さまも望んでおりません」

メルヴァイナの言葉は本当か嘘かわからない。

でも、メルヴァイナが何とも思っていないわけでは絶対にない。

「これから、どうするつもりだ?」

ライナスがわたしに尋ねてくる。

「引き渡されるぎりぎりまでここにいます。もう少し、調べてみたいんです。本当に全てアーノルドさんがしたことなのか。それに、ミアに、家族と会ってほしいから」

「わかった。私達は宰相から魔王の傍にいるように言われている。それだけだ。好きにするといい」

ライナスは特に文句を言ってくることもなかった。

「メイさま、私も傍におりますから、遠慮なく頼って下さい」

「ありがとうございます」

「それでは、メイさま、また後ほど」

二人が出て行った後、部屋に運ばれてきた朝食を取った。

とりあえず、今日はダンスやマナーのレッスンはなくなった。

他のことを優先することになったからだ。

しっかり、剣術の鍛錬はあったけど。

今日はイネスとミアだけでなく、コーディとグレンも一緒だ。

その剣術の鍛錬の後、メルヴァイナとライナスの他、リーナとティムも合流した。

久しぶりに四天王が揃った気がする。

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