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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ⑤
237/316

237話 国王と会う

「メイさま、さすがに今の私達が国王の前に行く訳にはいきません」

最もなことをメルヴァイナが言う。

まだ、ロイとのことの感傷が残っているのに。

メルヴァイナは王城内をすたすたと迷いなく進んでいく。

わたしは追いかけるだけで、王城のどの辺りにいるのか全くわからない。

国王とコーディ達が話をする部屋を覗ける場所にでも行く気なんだろうか。

メルヴァイナはある一室に入った。

わたしが続けて入ると、そこには先ほど別れたライナスとリーナ、ティムもいた。

他にも見たことのある女性達がいる。今日は三人だ。

「メイさま、国王に会いに行きますので、相応しい装いにお召し替え下さい」

メルヴァイナがさっきと違うことを言ってきた。

? いや、会わないんじゃなかったんだろうか?

侍女のような三人の女性達がわたしに頭を下げ、続きの部屋へと促してくる。

わたしは渋々、促されるまま、部屋に入った。

着させられたのは黒いドレスだった。

さっきのドレスより動きやすい。

黒い仮面をすっぽり被せられる。

完全に国王に会いに行く服装ではない気がする。

というか、嫌な予感がする。

前にもこんなことがあった。

それに、やっぱりわたしの頭に2本の角がついている。

うぅ、いやだ……

心の中で泣き言を言っていた。

着替えて、再び、メルヴァイナ達の前に戻る。

「さあ、魔王さま。私達の威光を知らしめに参りましょう」

メルヴァイナが恭しく頭を下げてくる。ただ、どことなく楽しそうな様子が伝わってくる。

いつ国王の前に乗り込むことになったんだろう?

色々とおかしいと思う。わたしには疑問だらけだ。

「恐喝に行くのだろう」

「要は力を知らしめればいいんだろ?」

「……魔王様の為にがんばります」

ライナスとティムとリーナそれぞれの言葉を聞く。疑問に思ってるのはわたしだけらしい。

彼らはいつの間に着替えたのか、先ほどまでの服装と違っている。

わたしと同じく黒い服だ。

わたし達は全身黒ずくめである。

「演出はお任せください。彼らの望む魔王となるように」

メルヴァイナは胸を張って言うけど、誰も望んでないと思う。

それに、演出って……確かにそのままだと魔王に見えない。単なる不審者だ。

「わたしが国王に会うなんて、聞いてないんです」

連れて行ってほしいと頼んだのは今日の朝だ。

断じて、国王に会いたいとは言っていない。

「私達は元々、国王に会うつもりだったのです。てっきり、メイさまもそのつもりだとばかり思っておりました。失礼致しました。ですが、せっかくですし、会っていきませんか?」

国王にそんな気軽に会いに行くものじゃない。コーディの実の父親だけど。

本当に息子さんを下さいとでも言うのだろうか。

「メイさま、もう、準備は万端です。後は、行くだけです」

「魔王が国王に会うことを宰相は知っているんですか?」

「それは勿論です!」

メルヴァイナは輝くような笑顔を浮かべて言う。

確かにせっかく準備したのに、と思わなくもない。わたしは着替えただけだけど。

それに、知らないところで話が進んでしまいそうだ。

実は、全くいやというわけでもなかったりする。

実力の全くない魔王だけど。

流されているのはよくわかってる。

「わたしは何を言えばいいんですか?」

「お手数はお掛けしません。ただ、立っているだけで構いません」

「わかりました。では、立ってます!」

よくわからないテンションでわたしは答えた。

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