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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ③
220/316

220話 王城の死体

再び、王城だ。

マデレーン、エリオットが先行し、第3王子の部屋まで行く。

王城内は静かだ。

第3王子が亡くなったことで騒ぎになっている様子はない。

部屋の周辺に人は誰もいない。

部屋のドアを開けたのはルカだった。

躊躇いもなく、ルカは部屋に入って行く。

わたし達もルカを追って、中に入る。

ルカは部屋を見回した後、すぐに隣の部屋に向かう。

第3王子ともう一人の死体のある部屋だ。

死体があるのだと思うと、入りたくはない。

ルカは気にも留めず、ドアを開けた。

ルカが部屋に入ると、すかさずメルヴァイナも中に入る。

「ないわ!」

中のメルヴァイナが声を上げる。

ないって、死体が消えてしまったとでも言うんだろうか。

わたし達も中に入ると、窮屈に思える。

ちなみにエリオットは一番後ろ、ドアのすぐ側にいる。

その部屋に第3王子の死体は変わらずにあった。

先程、見た時と変わった様子はない。

ただ、もう一人の死体が無くなっていた。

もしかして、死んでいなかったんだろうか。仮死状態みたいに。

「私達が見た時は確かに2つの死体がありました」

メルヴァイナは淡々と言う。

「その通りですわ。確かにありましたわ」

マデレーンも確かだと証言する。

「メル、この部屋には私が入る前、誰かが入った形跡はあったのかい? わかるように罠を張っていただろう?」

「形跡はないわね。本人が死んだふりをしていたか、形跡を残さず死体が持ち去られたか、先に入ったルカお兄さまが隠したか、でしょう」

「メル、君の実力はかなりのものだ。その君を欺くとなると、かなり骨が折れるよ。私でも完璧には無理だろう。さすがに一瞬で死体を隠すことはできないよ」

「確かにそう。最後のは、冗談よ、お兄さま」

ルカと何かあったのか、メルヴァイナの言葉はかなり棘がある。

ちょっと関わり合いになりたくないくらい。

「お兄さま、第3王子の死体はどうするつもり? まさか、持って行くの?」

「いや、遺体を持ち帰るつもりはないよ。ただ、このままと言う訳にもいかない」

ルカは第3王子の死体に近づき、調べ始める。死体だけでなく、その周囲も。

「確かに、彼の血以外の血がある。遺体だったかはともかく、もう一人いたのは間違いないね」

ルカは死体を避けて、カーテンを半分だけ開ける。

そこには大きな窓がある。両開きのドアのようになっているから、バルコニーへ出られるんだろう。

すると、ルカはそのドアを開け放した。

そんなことをすれば、当然、ドアに凭れた状態だった第3王子の死体もバルコニーへ倒れた。

現状維持しなくていいんだろうか。

しかも、ここには第3王子の弟と妹もいるのに。

「いい所に人間が来ましたよ。メイ様、ライナス様、メル、見ておくといいでしょう。こちらへ」

なぜか、ルカに呼ばれてしまった。わたしまで。

バルコニーへ行こうとすれば、血塗れの床と死体の側を通らないといけない。

「メイさま、失礼しますね」

メルヴァイナはわたしを抱き上げた。

そのまま、バルコニーまで移動してくれた。

ただ、バルコニーは思ったよりもずっと狭かった。

しかも、いつの間にか第3王子の死体を跨いだのか、隣の部屋の前のバルコニーにいた。

ライナスも傍にいる。

バルコニーから外を見ると、確かに何人かの人が見えた。

先頭を歩いているのは、かなり上等そうな服を着た人だ。

「あれがセルウィン王太子です」

ルカはわたし達に十分聞こえる声量で言う。

向こうに聞こえているんじゃないかと思ったが、王太子やその他の人達はわたし達のことは気付いていないようだ。

ここからでは王太子の緑の瞳は確認できない。

さすがに嘘ということはないだろうから、王太子なんだろう。

無能とかかなり酷い噂を聞いたけど、かなりかっこいいと思うし、堂々とした歩きぶりだ。

王太子を見ていた時、衝撃的なことが起こった。

第3王子の死体が投げ落とされたのだ。

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