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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ②
205/316

205話 作戦会議?

「さて、今はじっくり時間を掛けてはいられない。1月後には国王の誕生祭がある。王都には人が増え、王城への出入りも増える。動きやすくなる分、それは向こうも同じだ。手掛かりはないが、必ず、動きはあるはずだ」

ルカは何事もなかったかのように、本題のことを話し始める。

先程までとは打って変わって、真剣な口調だ。

「国王の誕生祭の王城でのパーティーにはコーディ、君は必ず出てもらいたい。パートナーは、メル、君がなるといい」

「そんなものに出たくないわ。それに魔王さまを差し置くなんて。パートナーは魔王さまがいいと思うわ」

メルヴァイナの言葉につい反応してしまう。

メイがパートナー……

近親ではない女性をエスコートするというのは……

美しいドレスを纏ったメイをダンスに誘う光景を頭に浮かべる。

「お城でのパーティーなんて、無理です。ダンスも踊れませんし、マナーも他の参加者もわかりません」

メイの拒否で現実を見てしまう。

「魔王様を君のパートナーにすることはできない。魔王様にもしものことがあってはならない。これは絶対だ。先日のようなことがあってはならない」

ルカは念を押すように眼光鋭く、圧力を掛けてくる。

さすがにメルヴァイナも言い返したりはしなかった。

僕もメイの安全を取るべきだと思う。

ただ、ルカはメイの希望とのことで、この計画への参加自体は黙認するようだ。

メイの為にも、僕が浮かれてどうするのか。

冷静に判断しなければ。

今回の仕事とメイの希望を叶えることだけを考える。それ以外、今は考えてはいけない。

「グレン、イネス、君達もパーティーには出てもらう」

「わかりました」

イネスはルカを見据えて言う。グレンは頷くだけだ。

「誕生祭までの間は訓練と王城内部への潜入だ。誕生祭よりも前に動きがある可能性もある。私も役目があるので、付き添えないことが多い。私の部下を付ける。必ず、一人にはならないことだ。王城には案内役もいる」

ルカがそう言うと、新たに四人が部屋に入ってきた。

その内の一人はリビーだった。

後の三人は初対面だ。一人は女性で、残りの二人は男性だ。

男性の内の一人が僕の前に来る。

長い前髪のせいで目が隠れてしまっており、陰気な感じさえする。

後ろの髪も癖がついたままで、しわの付いた服装もだらしない。

王城に行くような恰好ではない。

僕が面食らっていると、

「アーリンだ……よろしく……」

聞こえづらい声でそう言うと、欠伸をして、眠そうに体が揺れる。

不安にしかならない。

「コーディ・フィニアス・フォレストレイです。宜しくお願い致します」

それでも、相手が名乗っている以上、僕も名乗らないといけない。

リビーはというと、ミアに付き添うらしい。

「私に聞いておきたいことはあるかい?」

顔合わせのような状況が終わったからか、ルカは元の口調に戻ってそう言うと、僕達を見回す。

「敵はこの王都での誕生祭に魔獣をけしかけると想定されているのでしょうか」

早速、ルカの設けた質問の機会に乗じる。

「想定しているとも。その可能性は勿論ある」

ただ、そうなった場合、王太子が首謀者という可能性は低い。わざわざ自分が国王となる国に打撃を与えるようなことはさすがにしないだろう。

いや、先入観はよくない。

余りに愚かなら、ありえなくはない。

アーリンという男は大丈夫なのかという質問は飲み込んだ。

ルカがここに連れてくる時点で、実力には問題ないのだろう。

「敵はドラゴニュートだと考えているのか」

グレンがそっけなく言い放つ。

「申し訳ないけれど、それには私からは答えられないのだよ」

ドラゴニュートにおもねってのことだろうか。ルカは回答を拒否した。

「コーディ、これから私に付き合って。ダンスの練習でもしておこうかしら。私達はパートナーになるんだからぁ」

メルヴァイナに腕をがっちりと掴まれた。

これ以上、話をさせないとばかりに部屋を連れ出される。

それは僕だけではなかった。

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