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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ①
198/316

198話 強情な彼女 二

この完全に鬱陶しい展開をどうすればいいかわからないわたし……

「シャーロット嬢、これ以上、あなたに関わる気はない」

コーディがきっぱりと言い放つ。わたしに対して言ったわけじゃなさそうだけど、わたしにも言われている気がして、びくっとする。

コーディは彼女、シャーロットと知り合いのようだ。

わたしはなんとなーく、彼女の素性が想像できる。

「フィニアス様はわたくしと結婚するんですの」

シャーロットはコーディの話を全く聞いていない気がする。

そもそも、こんな不気味な屋敷ですることではないと思うんだけど。

シャーロットもここに連れて来られた被害者だろう。

そこはどう思っているのか?

色々、気になるけど、このままじゃあ何もできない。休むこともできなさそうだ。

シャーロットは一切、引く気はなさそう……

「あなたとは結婚しない。離してくれ」

コーディは冷たく言い放つけど、無理に引き剝がしたりはしない。

どこか遠慮がある。

彼女は公爵令嬢だ。だから、多分、ドレイトン公爵家じゃないかと思う。グレンやドレイトン先生の身内だと思う。

「シャーロット嬢、公爵令嬢として相応の振る舞いをすべきだ」

「これが公爵令嬢としての振る舞いですの。わたくしが正しいと言えば、正しいんですの」

話が全く通じていない。

どちらかが知らない言語で話しているようだ。

しかも、シャーロットは本気で言ってそうだ。

これ、どうしたらいいの!?

それにこんなことをしている場合じゃない。

すると、今まで動いてくれなかったジェロームが近寄ってきた。

コーディに何かを伝えたように思う。見えてないからわからないけど。

シャーロットが小さな悲鳴を上げ、ベッドの上で後ずさる。

怪我をしている様子はない。何かに驚いたような感じだ。

「シャーロット嬢、申し訳ないが、彼女の護衛をしないといけない」

コーディの言葉は全く申し訳なさそうに聞こえない。

わたしはコーディの腕を放した。シャーロットはもう離れているのだ。

コーディを連れて、この部屋を出ようと思ったところ、わたしの足は床を離れた。

コーディがわたしを抱き上げたからだ。そのまま部屋を出る。

ジェロームもその後から部屋を出て、ドアを閉める。

わたしを抱き上げたまま、コーディはずんずん廊下を玄関ホールの方に向かって歩いていく。

「シャーロット嬢は相変わらずだな。いや、前よりひどくなってないか」

ジェロームが歩きながら言う。

「いつもはグレンがいましたから」

「そうだな。まさか、こんな所にいるとは思わなかったが。シャーロット嬢も緑の瞳を持っているからか」

わたしは――身動き取れず固まっていた。

この年で抱き上げられるとは思わなかった。

重くないだろうか。

それより、恥ずかしくておかしくなりそう。

コーディにとっては荷物を運ぶようなものかもしれないけど。

かなり早足だったので、玄関ホールの手前まですぐに着いた。

コーディが立ち止まる。

「あの……」

わたしは思い切ってコーディに声を掛けた。

コーディがはっとしたようにわたしを見る。

コーディがわたしを床に降ろす。わたしの足はまた床に着く。

「も、申し訳ございません」

何に対してかわからない謝罪をされた。

護衛を投げ出したことか、シャーロットとのいざこざに巻き込んだことか、わたしを荷物のように運んだことか。

何だか、全然、頭が回らない。

もう、わたしはちょっと限界だ。

もう、眠りたい。

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