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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第5章 ①
193/316

193話 流されたわたし

「メイ、体調が悪いのですか?」

コーディに心配されている。

何か言わないといけない。

頭が全然回らない。

急にふら~っとした。ふらついて、バランス感覚がおかしい。

これって、もしかして、眩暈?

本当に体調が悪くなったみたいだ。

くらくらするけど、意地で立っていた。

極度の緊張か、変な物を食べたか。さっき、誰が用意したかわからない怪しい物は食べたけど。

「部屋で休まれては? 私が運びましょうか?」

声を掛けてきたのは、ジェロームだ。

軽い感じの口調ではない。まだ、あの聖騎士のことを引きずっているのだろう。

「あなたにお聞きしたいことがあるのです」

ジェロームはそう言うと、わたしの支えとなるように手を差し出してくる。

「兄様、メイは――」

「コーディ、すまないが、少しだけ彼女と話がしたい。どうしても聞いておきたいことがある」

ジェロームがコーディの言葉を遮る。

ジェロームが聞きたいのは、やっぱり、あの聖騎士のことだろう。

わたしが知っていることなんて、ほとんどない。

もしかすると、魔王であるわたしよりコーディの方が知っているかもしれない。

ジェロームと話すことを断りたいけど、むりだと思うので、すでに諦めている。

「彼と話してくるべきですわ。そして、しっかりと言うべきことを言うべきですわ」

マデレーンが横からそんなことを言ってくる。

何だか、誤解されている気がする。

「何をもたもたしておりますの? 早くお好きな部屋で話してくるとよろしいですわ」

「急にこのような場所に連れて来られたのだから、無理をしない方がいい。そこの騎士、彼女を頼む」

マデレーン、それにエリオットまでそんなことを言う。

逃げ場のなくなったわたしは仕方なく、ジェロームの手を取る。

わたしは、流されてしまった。

なんで、ジェロームの手なんか取ったんだろう……

コーディにお願いすればよかった……今は護衛だから、嫌々でも付き合ってくれただろう。

それより、意地を張らず、コーディに凭れておけばよかったかもしれない。

なんて馬鹿なの……

泣きそうになっていると、

「兄様、僕も同席します。部屋で二人きりにさせることはできません」

コーディがジェロームに言う。

「わかった」

ジェロームはそれだけ答えると、廊下を歩き出す。

必然的に、わたしも歩かざるを得ない。

すぐ後ろをコーディがついてくる。

マデレーンとエリオットは何も言わずにわたし達を見送っていた。

ある程度、歩いて、マデレーンやエリオットと距離が離れたところで、部屋の1つに入った。

これだけ離れれば、声は聞こえないだろう。

部屋の中はマデレーンがいた部屋と全く同じだった。

外は相変わらず、明るい。

さっき、夜ご飯を食べたつもりだから、もう夜だと思う。

もう、寝てもいいんじゃないかな。

ベッドにちらっと視線を向ける。

すぐにわたしの視界は遮られた。

背の高いジェロームがわたしの前に立ったからだ。

わたしの背の低さが際立つから止めてほしい。

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