表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の裁定  作者: 有野 仁
第4章 ④
151/316

151話 暗闇の聖騎士

わたしとリーナが2人の会話に加わることはない。

2人だけで会話が盛り上がっているが、聞こえてないふりをする。実際はすごくよく聞こえてるけど。

ウィリアムやアーロがわたし達の方に戻ってこないと思ったら、村の護衛の人達や村長や村人達と向こうは向こうで話をしているようだ。

かなり手持無沙汰だ。

ということで、色々と考える。

デリアや村の人達が魔王信仰だということは別に大したことじゃない。

問題なのは、呪いのドラゴン像のことだ。

どうして、デリアはあの像のことを知ってるんだろう?

魔王信仰に関係する?

それにしては、あのドラゴンの像、嫌われていた。

ドラゴンはおそらく、魔王信仰でも神の使いなんだと思う。

リビーも言っていたけど、神の使いの像なのに、嫌われてるってどういうことだろう?

というより、呪いの像だ。実際は闇魔法だけど、ほぼ呪いのようなものだ。

アリシアの傍にあったと思われる像。

アリシアの件に関わっている。

だから、アーロやウィリアムもここに来たんだろう。

それで……

独りで、うんうん唸っていても、結局のところ、わかるわけがない。

ま、まあ、わたしが考えても無駄……

「メイ」

わたしを呼ぶ声と共に、リーナがわたしの服を引っ張る。

向きを変えさせられたわたしの目に暗闇の中の淡い光が映った。

さっき、見ていたからすぐにわかる。

あれは、転移魔法だ。

まさか、また、魔獣!?

その光を凝視した。

淡い光の中から現れたのは、一人の聖騎士だった。

勇者を護衛していた聖騎士の恰好と同じだ。唯一の違いは、白い仮面をつけていて顔がわからないことぐらいだ。

顔を見せないのが流行なんだろうか?

とか、くだらないことを考えていた。

それはそうと、あの聖騎士はわたし達としばらく一緒に旅をしていた聖騎士の一人なんだろうか?

彼らは失踪したと言っていた。

……敵の可能性が高そうだ。

「あー、あれが失踪した聖騎士ですか!?」

リビーが声を上げる。リビーやデリアも聖騎士を見ている。

魔獣をこの村に転移させたのは、あの聖騎士なんだろうか?

「あなた達、教会へ。護衛もいるわ」

デリアがわたしとリーナを教会へと促す。

異存はないから、4人ですぐに教会へと向かい、ウィリアムやアーロ、村の護衛の人達、村の人達に合流した。

聖騎士は転移した場所のままだ。

転移魔法の淡い光は消え、暗闇の中、微かにその姿を確認できる。

村の人達からは聖騎士に対して、恐怖は感じない。ただ、訝し気に聖騎士へ視線を向けている。

そのまま、動かないのではないかと思った時、聖騎士の腕が動いた。

「あー、まずいですね! 魔法攻撃が来ますよ! かなり強力ですよ!」

リビーが騒いでいる。

ただ、そう言われても、暗くてよく見えないし、わたしに魔法を防御できる手段がない。

突然、重低音が体に響くようなそんな感覚があった。

まさか、攻撃!?

聖騎士の魔法攻撃を誰か、リーナかリビーか村の護衛の人達の誰かが防いだのかもしれない。

おそらく、そうだ。

攻撃すら、わたしにはわからなかった。全く、何も見えていなかった。

ともかく、聖騎士は敵で確定だ。

聖騎士が黒幕なんだろうか? この魔獣騒ぎの。

何の為にこんなこと?

聖騎士なら、危険はあるかもしれないけど、食べるのは困らなそうだ。

嫌なら、聖騎士を辞めてもいいと思う。

というより、なんで転移魔法が使える? 人間には使えないはずなのに。

気付けば、聖騎士が教会に向かって、歩を進めている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ