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魔王の裁定  作者: 有野 仁
第4章 ②
133/317

133話 セイフォードへ行く理由

わたしの部屋(実際には人の家の部屋)に戻ってきた。

今すぐ、ベッドに潜り込んで、反省しなくてはならない。

わたしって、お飾りの魔王……お飾りと言うほど、魔王らしくもない。

もう、その辺りの通りですぐに紛れられる。

ウィリアムとアーロが訪ねて来た時、あれはなかった。

わたしも話に加わるべきだった。

まあ、何を言えばよかったかはわからないけど。

ウィリアムはわたしの言葉が嘘だとは思えないと言っていたけど、魔王として認識されているかというとされていないと思う。

また、失敗してしまった……

とはいっても、部屋には今、メルヴァイナもいる。

ベッドに潜り込めるはずもなく、ソファに座る。

「メル姉、セイフォードなら、転移魔法ですぐに行って来ればいいんじゃないですか?」

「行ったら、行ったで面倒なのです。転移先は、街の外、どこかの路地裏、大聖堂の中の3点だけですし」

「どこに転移するつもりですか」

「街の外は論外ですね。ゼールス伯爵の屋敷から遠いので。路地裏はだれかに見られる恐れがあります。見られたとしてもどうにかできますが。一番いいのは大聖堂ですね。あの老人に連絡を取っておきます」

あの老人というのは神官長だろう。神官長は年齢不詳の魔王国のスパイだ。

「一番話したかったのは、アリシアさんの遺体が見つかったのは、1か月前だと言っていましたけど、どういうことでしょうか。まだ、セイフォードを出てから、1週間と少しだと思います」

わたしの言葉に、一瞬、きょとんとしたメルヴァイナは、何かに気付いたというような顔になった。

「セイフォードを出てから、もう、1か月と8日になりますよ」

「え?」

「ですから、1か月と8日が経ちます」

にこっと、笑顔でメルヴァイナが答える。

「え? どこで、1か月が経ったんですか?」

「あの不気味な魔王城で、ですよ」

「ほ、ほんとうなんですか?」

「勿論、本当ですよ、メイさま」

1か月、むだにした……

全然、気が付かなかった……

ショックで、崩れ落ちそうになってしまった。

「メイさま、大丈夫ですか?」

メルヴァイナに心配されてしまった。

何でも1か月も遅れたら、取り返しがつくかわからない。

今は、何かある訳ではないから、いいのかもしれないけど。

気を取り直し、メルヴァイナに聞いておきたいことを聞く。

「大丈夫です。それより、わたし達は、セイフォードに何の用で行くんですか?」

「勿論、調査ですよ。普通の人間には使えない闇魔法が使われたのは確かですから。魔王国としては放っておく訳にはいかないのですよ」

メルヴァイナの答えは正論だった。

単に遊びに行きたいとかではなかった。

ただ……

「それは、わたし達が行って、何か役に立つんですか?」

おそらく、神官長を始め、他の魔王国の優秀な人達が調査しているんじゃないかと思う。

「専門的なことは任せています。ただ、私達には私達のできることがあります。メイさま、何もできないということはありませんよ。例えば、あの二人、ウィリアムとアーロと行動を共にすると、また、違った視点で見ることができます」

「わかりました。できることをします。アリシアさんのことも知りたいですし」

「ええ、そうですよ。では、今日はゆっくり休んでください。明日はセイフォードですから」

そう言うと、メルヴァイナは部屋を出て行った。

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