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凪色の薬  作者: 小津 岬
7/9

ー 7 ー

 ひとつの推測をする。

 異国で苦境にあった学生が、何らかの経緯をたどってセルリゴ政府に引き入れられ、ある薬剤の調合に従事する。

 彼はその薬がどう使われるか気づいた。

 そして反政府軍が攻勢をかけた時、混乱に乗じて脱出する。

 事実を公にするため薬を持ち出したが、平和な故国に戻ると己の罪を秘し、長い月日の果てに事故で生涯を……


 ―――そうだろうか。

 頭の中で陽が(かげ)った。それだけだろうか、本当に?

 やめておけ、そこで止まるんだ。

 誰かが叫ぶが思考は進む。去年受けたアレックからの電話がくり返される。

“ボートが転覆。早朝、一人きり”

 葬儀の日。同じ湖畔沿いに住むという者が嘆いていた。“もっと人のいる時間だったなら……”

 記憶はさらに(さかのぼ)る。確かに僕が聞いた先生の言葉。

“望む岸辺に行き着けるように”


 私は、赤く染まった車内でハンドルをきつく握り締めた。

「そんな、まさか……!」


 船旅。

 先生はみずから最後の旅に出た。

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