知らない家
我が家は、母子家庭。
昨年母親が亡くなって以来、喪に服して暮らしていたが、息子が十八才になったので、母子手当ては打ち切られ、あてにしていた講師の仕事にもあぶれ、徐々に食い詰めていた。 三十五才を過ぎたら、とたんに仕事が無くなる、と言われているが、私はもうじき五十才。履歴書を何十通も送ったが、書類選考で落とされ、最終的に年齢を三十五才と偽って、初めて面接にまでこぎつけた。
それは、大きな古い家の留守番の仕事で、午前と午後に掃除をする。しかし、「決して、電話には出ないでください」という奇妙な条件がついていた。
実は、私は作家志望、さっさと掃除をすませて、後は優雅に小説でも書いて、と甘く考えていたが、この仕事を始めて以来、家でも奇妙なことが起こるようになった。
息子は、変わった子供で、オカルトにこっており、独学で、テレパシーとチャネリングを学習し、次に、サイコキネシスの研究に入っていた。
コップを動かす実験をしていた息子は、コップが動いて喜んでいたが、そのコップが次々と落下してコナゴナになるというハップニングに見舞われた。
翌日には、冷蔵庫の中の食品がジャンプしてグチャグチャになり、家に漂う冷気に電灯の点滅・ラップ現象と、ポルターガイストの様相を呈してくる。
もうこれではたまらない。大事な我が家を守るために、私は、息子を伴って、仕事場である、家の掃除に行くことにした。最悪クビになればいいだけの話だ。
その家にも、謎のお爺さんが現れ、私を『春子ちゃん』と呼び、息子を『春行』と呼ぶ。
昨年母親が亡くなって以来、喪に服して暮らしていたが、息子が十八才になったので、母子手当ては打ち切られ、あてにしていた講師の仕事にもあぶれ、徐々に食い詰めていた。 三十五才を過ぎたら、とたんに仕事が無くなる、と言われているが、私はもうじき五十才。履歴書を何十通も送ったが、書類選考で落とされ、最終的に年齢を三十五才と偽って、初めて面接にまでこぎつけた。
それは、大きな古い家の留守番の仕事で、午前と午後に掃除をする。しかし、「決して、電話には出ないでください」という奇妙な条件がついていた。
実は、私は作家志望、さっさと掃除をすませて、後は優雅に小説でも書いて、と甘く考えていたが、この仕事を始めて以来、家でも奇妙なことが起こるようになった。
息子は、変わった子供で、オカルトにこっており、独学で、テレパシーとチャネリングを学習し、次に、サイコキネシスの研究に入っていた。
コップを動かす実験をしていた息子は、コップが動いて喜んでいたが、そのコップが次々と落下してコナゴナになるというハップニングに見舞われた。
翌日には、冷蔵庫の中の食品がジャンプしてグチャグチャになり、家に漂う冷気に電灯の点滅・ラップ現象と、ポルターガイストの様相を呈してくる。
もうこれではたまらない。大事な我が家を守るために、私は、息子を伴って、仕事場である、家の掃除に行くことにした。最悪クビになればいいだけの話だ。
その家にも、謎のお爺さんが現れ、私を『春子ちゃん』と呼び、息子を『春行』と呼ぶ。