表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和の乱  作者: 岡田一本杉
北海道
137/148

日米安保破棄

一方その頃、三陸海岸沖を北上中の米第7艦隊は、矢部のヘリを待っていた。

旧日本政府より日米安保条約の発動を依頼され、それに応えたものだった。

「司令官、北海道方面より、戦闘機が2機こちらへ向かってきます」

「あれ、Mr矢部はヘリで来るという話だったが。ILSでアングルドデッキへ誘導しろ」

「了解。接近中のJP機へ、ILSで艦後方よりアングルドデッキへ着艦願います」

応答はない。

「司令官、JP機より応答がありません」

「識別信号は?旧政府か?それとも自治体連合側か?」

「三沢基地所属のJPとしか分かりません」

司令官の指示で再度呼びかけを行っている最中に、JP機は高度を急激に下げた。

艦の後方に回り込む素振りはなく、海面すれすれで一直線に第7艦隊の旗艦ロナルド・レーガン原子力空母に向かってくる。

「もしかして、敵機?スクランブル準備」

司令官は慌てた。

矢部首相が戦闘機に乗ってきたと思ったのだが、自治体連合側の戦闘機なら日米安保を継承している保証はなく、攻撃してくる可能性がある。

「JP機、海面へ物体を2個投下。投下物体は水中を20ノットでこちらへ進行。対艦魚雷と思われます」

「全速前進で回避、面舵いっぱい。非常警報を鳴らせ」

ウーとサイレンが館内に響き渡り、艦はグーッと大きく右に回り始める。

「イージス艦にJP機を迎撃させろ。2次攻撃を防ぐためだ」

「相手は同盟国JPの識別信号を出していますので、リンク解除と初期化に3分かかります」

指揮官室のモニタに、刻一刻と近づく魚雷の白い点が映し出される。

「本艦の回避行動、間に合いません」

「吃水以下の乗員の退避命令を出せ」

艦の下部の乗員に甲板へ退避するように館内放送が流れる。

モニタ上の魚雷を示す白い点がモニタ中心、つまり本空母に近付いた。

「衝突まで、10秒前。5、4、3、2、1」

指揮官室内の全員が衝撃に備えるため壁にしがみついた。

ゴーン

船底から鈍い音がしただけで、爆発はなかった。

「第1魚雷、不発」

次に2つ目の白い点がモニタ中央に到達した。こちらも同じく鈍い音が船底が聞こえただけだった。

「なーんだ、2個とも不発か。ジャップは魚雷の使い方も知らないのか」

指揮官室の誰かがつぶやいた。

「いや、これは自治体連合の意思表示だろう。日米安保は不要だという」

「司令官、スクランブル準備完了。離陸許可を求めています」

「もう良い。スクランブル解除だ」

指揮官室の副官が司令官に尋ねた。

「どういうことですか?」

「Mr矢部は失脚し旧日本政府は崩壊したということだ。我々は日本を去り、グアムに向かう」


32連隊は北海道庁を占領し、北海道知事はすぐに自治体連合との合意文書に署名し、北海道とそれ以外の本州が連邦制を取るという案は1日で消え去った。それから、旧日本政府と共に札幌に避難していた皇族を確保し、名実ともに自治体連合が日本の代表政府となった。


私は一段落すると大宮に戻ったが、すぐに駐屯地のバイトを止めた。人生で初めて本当に好きになった人に目の前で自殺されて、その精神的なダメージが大きかった。何を彼が考えていたのかも分からない。もうこれ以上、そういう辛いことに巻き込まれたくなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ