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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

乙女ゲームの世界に転生したけど男がいません。イケメンが恋しいです。

作者: 黒き瞳
掲載日:2019/07/18

もし乙女ゲームの攻略対象がTSしたらどうなるか?というとっさの思いつきで書きました。

ほぼダイジェスト形式なのであっさり目。特にヤマ場はございません。

 私ことアリシア=フォンベルクは前世の記憶を持つ公爵令嬢だ。


 前世の記憶を思い出したのは5歳のとき。

 庭の池に誤って落ちて、そのとき私はかつて日本のOLだったことに思い至った。

 さらにこの世界は私がハマっていた乙女ゲーム『プリンスはバラの花と共に(プリバラ)』の舞台だということにも気づいた。


 え、どうしてわかったかって?


 私の容姿と名前がまんまプリバラに出てくる悪役令嬢だったからだよ!


 まあそれ自体は別にいい。

 ゲームの強制力がない限り、私が悪役令嬢にならないよう気をつけておけばいいだけの話だからだ。

 具体的は決して他者を見下さず、口調と振る舞いには細心の注意を払う。間違ってもオホホなんて高笑いはしてはいけない。あと縦ロールもNGで。


 さっそく私は断罪ENDを避け、前世の推しだった愛しのキース殿下と添い遂げる計画をノートにまとめたのだが、この目論見は早くも崩れることになる。


 というのも―――


「アリシアちゃん遊びましょう!」


 キース殿下はかわいい女の子になっていたからだ。

 正確にはキース殿下はこの世界には存在せず、代わりにキリルという名の王女が私の婚約者となっている。


 え、何を言っているのかわからない?

 大丈夫。私も全然わかってないから。


 いやー、初めてキリル王女が私の婚約者だと紹介されたときは度肝を抜かれたね。

 だっててっきりキリリとしたクール系美少年が現れると思ってたら、出てきたのは正反対のゆるふわ系美少女だったんだもの。

 何度も両親に「え、これってドッキリだよね?」と尋ねてしまってキリル王女を泣かせてしまったのは苦い思い出だ。


 王子が王女になっていて、なのに婚約者というのはそのまま。

 このままいけば同性同士で結婚することになるのに、誰もそのことに疑問を抱いていない。


 不思議に思った私は父にそれについて聞こうとして、そこであることに気づいた。


 父の胸に膨らみがある。


 恐る恐る触れてみたらポヨンと弾んだ。本物だった。ついでに私は怒られた。


 私の父親であるフォンベルク公爵は、ゲームでも線の細いイケメンという感じだったから全く気づかなかったよ。

 こちらの世界では私の父はヅカ系美女でした。まる。


 さすがにこれはおかしいぞと、私の専属メイドに男について尋ねてみたら、「男? なにそれおいしいの?』的な反応をされた。どうやら私は男がいない乙女ゲームの世界に転生したらしい。もうわけがわからんね。


「アリシアちゃん私を無視しないでください!」


 おっといけない。キリル王女がお怒りだ。


「すみませんキリル様。考え事をしていたもので。それで何して遊びます?」


「オセロしましょう」


 そう言ってキリル王女が取り出したのはオセロ盤。私が前世の知識を活かして考案したやつだ。おかげで齢10にして権利収入ガッポリですよ。ウヘヘ。


 キリル王女とオセロをして遊んでいると、ザッザッと土を踏みしめる音が聞こえてきた。


「この足音は――」


「アリシア、キリル王女、遊びにきたぞ」


 真っ赤な髪をポニーテールにした美少女。騎士団長の娘のカーリーだ。


 もうお気づきだろうが、彼女も攻略対象のひとりだ。いや、だったというべきか。

 ゲームでは騎士団長の息子だったガレスはもうどこにもいない。燃えるような髪を持つワイルド系イケメンだったのにな。すっかりくっころ系女騎士になっちゃって。


「アリシア。今なにか失礼なこと考えてなかったか?」


「いえ、別に。それでカーリー様もオセロしますか?」


「いや、いい。私は頭を使うのは苦手だからな。アリシア私と組み手をしよう!」


「淑女に求めるものではなくてよ」


 まあやるんですけどね。いい運動になるし。


 とまあこんな感じで幼少~年少期は主に私、キリル王女、カーリーの3人でよく遊んでいた。


 起こるはずだった悲劇も前世の知識で全力回避。トラブルらしいトラブルは特になく、イケメンが美少女になっていたことを除けば順風満帆な生活だったと言っていいだろう。


 や、美少女は美少女で目の保養ではあるけども、乙ゲーの元ファンとしてはやっぱりイケメンが恋しいわけでして。


 そうして年月は過ぎてゆき、とうとう乙女ゲームの舞台となる学園へ入学するときがやってきた。


「ついにゲームが始まってしまうのですね。悪役令嬢にならないよう気をつけなければ』


 鏡で最終チェック。

 立ち居振舞いはよし。

 髪は縦ロールではなくサラサラのストレートヘア。

 ツリ目は生まれつきという事で諦めることにする。


「それにしても男が女になったこの世界で、本当にゲームのイベントは起こるのでしょうか……?」


 原作通りなら、入学式の日、つまり今日キール王子とヒロインがぶつかってしまい、倒れそうになったヒロインをキール王子が抱きとめるというイベントが起こる。これがキール王子とヒロインの初出会いとなるわけだが……。


 私はキリル王女の姿を思い浮かべる。


 彼女の現在の身長は150センチ弱。ヒロインは確か165はあったはずだから、どうしてもキリル王女がヒロインを抱きとめるイメージがわかない。


 前方を見ると、キリル王女の後ろ姿が見えた。

 声をかけようとして、ピンクブロンドの髪が視界に入る。あれってもしかしなくてもヒロインじゃ?


 そう思った瞬間、キリル王女とヒロイン(?)がぶつかり、キリル王女が撥ね飛ばされた。


「ってキリル様!?」


 まずい。このままではキリル王女が入学早々大ケガをしてしまう。


 急いで落下地点の下に入り、キリル王女を抱きとめようとしたところで、ヒロイン(?)の驚き顔がドアップで目に入り、そして私は意識を失った。


 ☆☆☆


「う~頭がガンガンしますわ」


「アリシア大丈夫?」


 目を覚ますとキリル王女が私の顔を心配そうに覗き込んでいた。


「一体何が起きましたの?」


「それがアリシアとピンクブロンドの女の子――サクラさんって言うのだけど――が私を助けようとして正面衝突したみたい」


 悪役令嬢とヒロインが攻略対象を助けようとして額をゴッツンコ。笑えますね。


「キリル様は大丈夫でしたか?」


「私はふたりがクッションになってくれたおかげで無傷だったよ」


「それは良かったですわ。ところでそのサクラさんは今どこに?」


「そこにいるよ?」


 キリル王女が指を差した方を見ると、サクラさんは盛大に土下座をしていた。


「大変申し訳ありません! キリル王女のみならず、公爵令嬢であるアリシア様までケガをさせてしまうとは! 罪を償うため拙者切腹いたします!」


「ちょいちょいちょい待て」


 いつの時代の武士だよ。思わず淑女の仮面が剥がれてしまったわ。


「とりあえずそのナイフは没収ですわね。カーリーそこにいるますわよね?」


「ああ。サクラ嬢ちょっと失礼する」


 とカーリーがサクラのナイフを奪い取る。相変わらずカーリーは気配を消すのが上手いな。


「サクラさん土下座はもういいですわ。それでひとつあなたに聞きたいのだけど、プリバラという名称に聞き覚えはないかしら?」


「プリバラ……? いえ、ないですが」


 嘘を言っているようには見えない。

 つまりサクラは転生者ではない。


「そうですか。ならいいですわ」


 ヒロインが私と同じ転生者ならこの世界について情報共有しようと思ってたんだけど、そううまくはいかないか。


 これが私とサクラの初めての出会い。


 のちにサクラは私を巡ってキリル王女と恋のライバルになる。ってアンタそっち側かい!


 ☆☆☆


 月日は流れ、とうとう卒業の日がやってきた。

 もしも原作通りなら私が断罪されてしまう日。だけどそうならないため私は今日まで頑張ってきた。


 キリル王女を始めとした攻略対象者たちとの仲は良好だし、ヒロインであるサクラとも親友になれた。少なくとも婚約破棄をされることはないだろう。


 これで一安心だ。

 そう思ってたのに―――


「「「「「キリル様だけズルい! 私もアリシアの子どもが欲しい!」」」」」


 声を揃えてキリル王女を非難する攻略対象者たち&ヒロイン。私の腕を抱き締めてドヤ顔をかます王女様。


 え、なにこのカオスな状況。

 いつの間に私逆ハー築いてたの? いや、全員女だから普通のハーレム……と言っていいのだろうか。もうわけがわからん。


「私とアリシアは明日結婚します。これは前々から決まっていたことです。あなたたちは諦めて新しい相手を探しなさいな」


「「「「「そんな~」」」」」


 うなだれる攻略対象者&ヒロインズ。そんなに私のこと恋愛的な意味で好きだったのか。なんか申し訳ない。


「まあいいではありませんか。あなたたち全員国の重要な役職につくのだから、会おうと思えばいつでもアリシアに会えますよ。浮気は絶対に許しませんけどね」


 キリル王女の言うとおり、攻略対象者およびヒロインは全員重要な役職につくことになる。


 騎士団長の娘のカーリーはキリル王女の護衛。

 宰相の娘のリルと私の義妹のアリスは政治家に。

 筆頭宮廷魔導士の娘のマーリンは宮廷魔導師に。


 そしてヒロインのサクラはこの国唯一の光魔法の使い手として教会で働くことになる。


 私は嫉妬に狂った娘がいつか私とキリル王女を刺し殺すんじゃないかと内心ビクビクしていたが、結局そのようなことは起こらず、私とキリル王女が結婚してからも私たちの友好な関係はずっと続いたのだった。


 自分が悪役令嬢と知ったとき。この世界に女しかいないとわかったときはどうなることかと思ったけど、一応ハッピーエンドは迎えられてめでたしめでたし?

【登場人物】

・アリシア=フォンベルク

 本作品の主人公。

 大好きだった乙女ゲームの世界に転生できたと思ったら、男が存在しない&攻略対象者が全員TSしていて戸惑っている。

 イケメンが恋しいと言いながらも、最終的にはなんだかんだと彼女たちの愛を受け入れた模様。

・キリル=グーテンベルク

 グーテンベルク王国の第一王女。腰まで届く金髪を持つ美少女。

 原作通りにアリシアの婚約者となり、そしてそのまま婚約破棄することなくゴールインした。

・カーリー=アッカーマイン

 グーテンベルク王国騎士団長の娘。燃えるような赤髪をポニーテールにしている美人。

 毎日訓練に明け暮れているからか筋肉質な身体をしている。そのことがコンプレックスだったが、主人公との交流を通してコンプレックスは解消された。それ以来主人公に恋心を抱いている。

・サクラ

 プリバラのヒロイン。大和撫子風の黒髪美人。

 この世界で唯一の光魔法の使い手。

 なぜか攻略対象者を好きにはならず、のちにアリシア争奪戦に参加することになった。

・リル、アリス、マーリン

 残りの攻略対象者s。紙面の関係上ほぼ出番なし。ごめんなさい。


【裏設定】

実は主人公が転生したのは『プリンスはバラの花と共に』の世界ではなく、その二次創作作品『プリンセスはユリの花と共に』の世界。通称プリユリ。

そして主人公は勘違いしているが、プリユリではアリシア=フォンベルクは悪役令嬢ではなくヒロインである。というのもプリユリはプリバラのいちファンが「アリシアとヒロインの絡みが尊過ぎる」との想いで創作したものだから。

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[良い点] 面白かったです。 百合ハーてぇてぇ
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