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本日、2話目の投稿になります。

読む順番に気をつけてください。

 

「はぁー疲れた」


 買い物をはじめて3時間ほど。私の生活必需品と暇潰し用の本を数冊、そして食材を買い終えた私とオリヴァー様は最近できた今王都で一番人気の喫茶で休んでいた。何でそんなに人気の喫茶にいるかだって?それは私が城にいる頃からずっと行きたかった所だから。本当なら今日みたいに30分も並ばずに王女として早く入れたのに。


「30分も並んだからだろう」


「そうですけど、違います」


「どっちなんだよ」


 待っている間は、ここがどんなに美味しいところだろうと想像していたからあんまり疲れていない。どちらかというともっと他の店を見て比較もしたい私に対し、急かしてきたオリヴァー様の方が私の疲れてる原因の気がする。


「それより、これから本当に城に行きますか?」


「行かないつもりだったのか?」


「いや、違います。行きたいです」


 そして、可能ならばセシルに会って魔王の攻略方法を聞きたいです。


「そうか」


「そういえばオリヴァー様はサヴィニアの城には来たことがあるのですか?」


「...過去に1度だけな」


 オリヴァー様は少し俯き、そう言いました。声がぼそぼそと小さかったがなんとか聞き取れた。1度来たことがあるだなんて驚きだ。


「そういえば昔、オリヴァーとか言う名前の少年が少しの間、城にいたような。あの子が今のオリヴァー様だったりして...なぁんてそんなわけないですよね」


 昔、どこかの王族のオリヴァー様に会ったことがあった。そうかも知れないと思ったが、彼の顔が違うと訴えてる。それに一瞬睨まれた。美顔で睨まれたらそれはまぁめっちゃ怖い。何て言うか迫力が普通の人と違う気がする。


「そろそろ行こう」


「もうですか?」


 彼はガタンと椅子を引き、立ち上がる。私はもうちょっとここにいたいと可愛らしい顔をしてオリヴァー様を見つめる。


『私のこのかわいさでなんとか!』


「お前のその可愛さで世の中なんとかなると思ったら大間違いだ」


「ですよね」


 私の心が読まれたのか?なんか今になって恥ずかしくなってきた。そして今回、魔王、もといオリヴァー様には可愛さは通用しないとわかった。


「わかったならもう行こう」


「はい」


 ここの喫茶、セルフの紅茶がめちゃくちゃ美味しかったのに...。でもわがまま言って城に行けなくなるのも嫌なのでしぶしぶ店から出る。


「では、また気配遮断魔法を使ってくれ」


「わかりました」


 私はオリヴァー様に言われるがまま、呪文を唱える。そして気配遮断ができたところで―――


「どこの場所に転移すればいい?」


「とりあえず...私の部屋へ」


 王の部屋とも迷ったが、もしかしたらセシルが自分の部屋にいるかも知れないという期待を込めて。


「わかった」


 そう言って指をならすと、いつの間にか私は元の自分の部屋にいた。そう、あの魔方陣で私が吸い込まれた場所にいます。周りを見渡すと誰もこの部屋にいないことがわかる。そして今思った。


「思ったんですけど...私の生活必需品、ここから持ってくれば良かったのでは...?」


「...っそれを早く言え!」


 このあと、オリヴァー様に怒られました。


「でも、ここから取ったら、私がまだどこかで生きてるってことがばれるのでやっぱりその発想、今になって思い付いて正解です」


「それもそうかもな」


 私が精一杯こたえると、意外にもあっさりと認めてくれました。


「とりあえず、私の部屋に戻ってたわけですし、少し見て回っていいですか?」


「構わん」


 私は自分の部屋を見て回った。大きな天蓋付きベッドがあり、衣装ダンスや勉強机、ソファなどがきれいなまま残されている。ちなみにこの家具はどれも職人が一つ一つ手作りの一級品だ。はじめは私に高級品なんて前世の記憶もあり、もったいなくて使えないと思ったが、こんないいものを使わずにとっておく方がもったいないと今になって思う。

 部屋を一通り見てもやはり、セシルはいなかった。攻略ノートはもらえないことがわかり、この部屋にいる理由もなくなったつもりだが、何故かとても懐かしくなりもう少し部屋を回ることにした。


『なんだろう?何かとても大事な事が思い出せそうで思いだせない』


 私が悩んでいると、突然扉のノックの音が聞こえた。


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