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「ここは?」
気がついた時にはすでに知らない所であった。じめじめとした部屋のような、なんともいえない不気味な空間。それにしては壁が薄いように思う。部屋はほとんど真っ暗で自分の体をやっと確認できるレベル。立ち上がろうとするが、足と手が鎖に繋がれていて上手く身動きがとれない。必死に体をよじるが、鎖から抜けることはできなさそうだ。無駄に体力を使う訳にもいかない。諦めて身体を動かすのをやめると同時に奥の扉が開いた。
「お気づきかい?レティア王女」
「リック…」
「気分はどうだい?」
「さいっっあくの気分よ」
「それはそれは」
彼の不敵な笑みがいつもより何倍も増して怖く見える。おそらく自分に危険が迫っているからであろう。背筋がヒヤリとし、鳥肌がたつ。でもここで弱気になるわけにはいかない。出来るだけ怖がっていることを悟らせないように平常心で、少し強気に言葉を返す。
「私をここまで連れてきて何をしようっての?悪いけど、オリヴァーお兄ちゃんはあんたなんかよりずっとずっと強いんだから!すぐにでもあなたの――」
「黙ってもらえますか?あなたのその声は私の頭に響く。甲高くピーチクパーチク喚きやがって」
「、、、っ」
囮として使われるだろうから、攻撃はされないだろうとこちらが調子に乗るべきではなかった。彼の言葉の一瞬で顔が青ざめる気がした。あまりしゃべり過ぎると私の舌でも引っこ抜かれるかもしれない。リックは口にしていないが、多分そうしてくる。そういう奴だ。今は少し声を出すだけで何か攻撃が飛んでくるだろう。これ以上刺激をしないためにも黙るしかない。もう私には黙って助けが来ることを待つことしか出来ない。成す術なしだ。
「さあ、オリヴァー、さっさと探して来るがいい。私がこの手ですべてを終わらせてやろう」
「、、、。」
早く来てと願いつつ、私は目を閉じた。
※※※
彼女がリックに連れていかれる。早く彼らに伝えねばとリックが向かった方向を確認し、彼らの元へ。声のした方へと一目散に駆け出す。少し走ると直ぐに彼らと合流することができた。
「っ、トウマ様、どうして」
「急いで、彼女が、レティアさんが連れ去られた!」
「「何だって、何ですって」」
まさかリックがここで話に出るとは思わなかったのだろう。驚いて目を丸くしているオリヴァーさんと、何かを悟っているのか青ざめた顔のセシルさんが顔を見合わせる。
「リックさんが、意識のない彼女を、、、。とりあえず急いで!」
「おい、リックはどこへ向かった」
「あっちの方です」
「行きましょう。待っててください、レティア様」
リックが行った方を指差すと彼はさっさと走り出してしまう。そこまで彼女を大切に思っているのだろう。僕も彼を助けないとと思いセシルさんに向き合う。二人で頷くと僕たちも向かうべくその後を追っていった。




