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 あれからひたすら走り続けてきた。しかし、いくら走っても彼らの元に着く気配がしない。一旦足をとめ、辺りを見渡してみる。


「もしかして、道に迷ったかな?」


 うっすらと光が差し込むようになった空を見上げる。まだ戦いは続いてるだろうか。それとももう終わっているのか。


「私、何の役にもたってなくない?」


 冷静に考えると自分で何もしていないことに気づいてしまう。自分の無力さに怒りが沸いてくる。と同時に悲しくなる。


「何でもいいから、とりあえず走ろう」


 今更くよくよしても、それこそ何の意味もない。私は再び走りだした。



 ※※※


「もう終わりか?」

「っく」


 地面に膝をついているリックを見下ろす。戦いなんて実にあっけなく終わった。これが本当に城を滅ぼしたリックなのかと少々混乱してしまいそうになるほどには。しかし、仇を打てるのならなんだっていい。今までの恨みを込め、そのまま彼の首を切り落とそうと、剣をしっかり握った、その時だった。


「ッハ、ハハハ」

「何がおかしい」

「フハハハハハハ」


 突然不敵に笑いだしたリック。次に何をしてくるかわからない。もう一度警戒の体勢をとると、リックはさらに笑った。


「何がおかしい、はっきり言え!」

「本当にアホな王子ですね。これが本当の私だと思っているんですか?」

「何が、言いたい」


 すると彼は懐から何か液体の入った小瓶を取り出した。自分がそれに気づき、奪おうとするよりもはやく蓋を開けると一気にそれを飲み干した。急に禍々しい気配が辺りを包み込む。何かがまずいと直感的に感じる。


「っ何だ?」

「そう、これだ。私の力を増幅させる薬。さすがあのお方だ。どんどん力が漲ってくる。もう終わりだ、オリヴァー。貴様をお前の両親と同じく粉々にしてやろう」


 飛びかかってきた彼を剣でとめるが、先程よりも力が強くなっているというのはとても伝わってくる。この剣で止めるのも精一杯だ。このままでは自分は防御ばかりになり、体力戦になってしまうだろう。そうなってしまえば、勝てる確率なんてぐんと低くなる。しかし、一方に攻撃する隙を与えてはくれない。


 それからどれ程、攻防戦を繰り広げただろうか、そろそろ体力的に厳しくなってきたその時だった。


「っぐふ」

「何っ」


 突然血を吐いて、体がフラりと傾いたかと思うとそのままパタリと倒れてしまう。かろうじて息はしているが、今にも死んでしまいそうなほど、苦しそうにもがいている。自業自得だと笑い倒したいが、ここであっさりと死なれてしまうと本当の仇をとったとは言い難い気がする。


「何があった?さっきの薬は!」

「っ...あ、いつ...。嘘、だっ、たのか」

「あいつとは誰だ!言え!」


 ヒュウヒュウと苦しそうに息をする彼を揺さぶり、黒幕の正体を確かめようとするが、もう既に顔は真っ青になっている。何かにすがるような目をただ、パチパチと開かせているだけだ。


「そんなに知りたいんだ。じゃあ教えてあげる。本当の事を」


 急に背後から女性の声がした。振り向こうとしたが、腹がどうにも熱い。おそるおそる視線を下にずらすと、自分の腹から剣が突き出ており、赤黒い血が服にシミを広がらせていた。






いつも読んでくださりありがとうございます!

ついこの前11月になったと思ったらもう12月。

日がたつのが早いなぁとしみじみ思います。

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