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本日二度目の投稿です

後半は黒幕視点です

といっても多分今回で、黒幕がわかると思います

なんの目的があるかはまだ秘密です

 

「セシル?どうしてここに」

「レティア様!よくぞご無事で」


 私の質問に答えるよりもはやく、彼女は私をギュッときつく抱きしめる。久しぶりのセシルの温もりに少しだけほっとする。


「い、痛いって」

「すみません。でも本当に良かった」

「え?」


 何が良かったのか。聞こうとすると彼女はそれに答えるためか、ルシアンの背中辺りを探りはじめる。やがて何かを見つけたのか、取り出したのは短剣であった。


「なんで」

「きっとレティア様を油断させて殺そうとしていたのでしょう」

「まさか!そうだったのか」


 確かに私が完全に油断しきってから殺すという作戦だったかもわからない。何かが彼に当たって気絶してくれたお陰で今生きれている。本当に危なかった。彼を助ける前に私が足手まといにならなくて良かったと思う。


「もしかして、ルシアンを気絶させたのもセシル?」

「もちろんです。彼が背中の辺りをチラチラと触っていて怪しいと思っていたんです」

「さすが!頼りになる」


 私は嬉しくて彼女に抱きつく。本当に彼女が、私の侍女で良かった。しばらく抱きついたまま、甘えていると彼が意識を覚ました。


「っ、セ」


 彼が言葉をはっするよりはやく、セシルが彼の口を閉じる。こういう切り替えの早さもさすがだなと感心してしまう。


「レティア様、これを飲んではやく行ってください。ここは私に任せて」

「ありがとう、セシル!あなたも無事で」

「ええ、ご安心ください。これでも私はレティア様の侍女です。簡単にはやられません」


 彼女は痛み止と書いてある小さい入れ物を渡し、背中を押す。そして彼女はルシアンの口を押さえていない方の手で、カッツポーズを作り、私を励ます。わずかに緊張がほどけ思わず泣きそうになってしまうが、今は泣いてなんていられない。痛み止を一粒飲むと、私はまた走り出す。思いもよらない心強い味方に安心を覚え、私はオリヴァーお兄ちゃんの元へと急いだ。


 ※※※


「本当に余計な事を」


 チッと舌打ちをすると、私の元で土下座をする彼を見下ろす。彼は私を怖いと思っているのか、先程から子犬のようにブルブルと震えている。


「つ、次は失敗しませんから」

「次は、ねぇ」


 ついには泣きはじめた男。なんて弱い。何かリベンジの機会でも与えようかと考えながら、私は彼の手を踏みにじる。彼は悲鳴もあげずにただただされるがままになっている。


(まぁ、私には逆らえないよね)

「どうしようかしら?本当に失敗しない?」

「な、何でもします、から」

(あーあ。これが、―――だったなら)


 めきめきと音をたてる彼の手。時折彼はとても苦しそうに顔をしかめる。


(もとはと言えば、失敗したあなたが悪いの。やっぱり一度失敗したものは生かすのは難しいかもしれない)


 恐怖で支配するのはいいが、完全に支配しないと、誰かに話してしまう可能性もある。やはり、ここはさっさと彼を潰すべきだ。


「ねぇ、もしロゼッタはもう死んでるって言ったらどうする?」


『ロゼッタ』という単語を聞いた途端、今までの震えはどこへ消えたのか、憎しみを、憎悪を、怒りを含ませた瞳で私を見上げる。さして恐怖も覚えない瞳を見下ろし、ニヤリと笑う。その瞬間、何かを悟ったのか彼は突然悲鳴をあげる。


「お前、嘘だったのか?」


 怒りに肩を震わせ、涙を流しながら私を見る。


「あなたの冥土の土産のつもりで教えようと思ったのに。察しが早いのね」

「っクソッ」


 怒りに身を任せて私に殴りかかってくるが、理性をなくしかけている彼の攻撃は私に当たるはずはない。こんなことで冷静を取り戻せないようなら、彼にチャンスを与えなくて正解だったかもしれない。彼の攻撃を避けつつ、隙を見て私は彼が背中に持っていた短剣を彼に突き刺す。


「ぐほっ」


 彼は口から血を吹いて倒れる。しかし、まだ胸が上下しているため、完全には死んでいないようだ。とても苦しいだろう。ここで助けることもできるかもしれないが、助ける気なんてさらさらない。それに完全に殺さなければ、私たちが危なくなる。自分で持ってきていた短剣を彼の喉元へ近づける。


「ねぇ、何か言い残すことは?」

「裏、切りやがって」


 口の端から血をし垂らせて、叫ぶ。彼の飛ばした唾がしゃがみこんだ私の顔にかかる。


(ああ、汚い)


 手のひらでそれをぬぐい、手に握った短剣に力をこめる。喉の皮が切れ、血が出る。


(こんなクズ男、さっさと殺すべきだった)


 そのまま私は力をこめ、彼の首を掻ききった。しばらくすると、彼は完全に動かなくなった。別に罪悪感なんてわかない。私はこうしなければいけなかったから。こうしないと私の幸せは掴めない。


「ごめんね、これが私のやり方なの。でも、あなたお陰でここまで作戦を進められたわ。ありがとう、ルシアン」


 もう動かない死体の耳元でささやき、私はレティア様の後を追った。



いつも読んでくださりありがとうございます。

やっとここまで進められました!でもまだもう少し続きますので、是非これからも応援してくださったら嬉しいです!

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