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トウマ君が来てからはや1週間たちました。トウマ君が来た初日、二日目は部屋の外に出たりいつもと同じように過ごしていたわけですが、オリヴァーお兄ちゃんのあのおかしな約束。忘れたのかって?いやいや、忘れてませんし、守ってます。しかし守ろうとするとどうでしょう。
例その1 朝、朝食時にて。
「レティアさん!おはようございます」
キラキラ、朝日のように眩しい笑顔のトウマ君。
「...」
『おはよう、トウマ君』
私も心の中では朝の爽やか笑顔。
例その2 廊下ですれ違う。
「あ、そういえば...」
すれ違った私を呼び止めようとするトウマ君。
スススッ(できるだけ近寄らないように端によける)
『ごめんなさい、ごめんなさい!』
心の中では土下座謝罪を繰り返しながら横を静かに通り過ぎる。
例その3 トウマ君が部屋にきた。
コンコンッ
「レティアさーん、いますか?今日、顔色よくないですけど大丈夫ですか?なにか必要な事とかあったら僕も手伝いますよ」
「...」
「寝てるのかな?」
『すみません、起きてます。体調も大丈夫です。ちょっと、彼氏が...ね?』
どうですか?辛くないですか?無視することに申し訳なさを感じて3日目からは部屋にこもってますよ。罪悪感から精神がそろそろやられそう。トウマ君はなにも悪くないのに。私がめっちゃ無視して、離れてったのに、それでも1日1回は心配して、部屋に来てくれるんですよ?優しくないですか?こんなに他人の気遣いができて、優しくて、かっこよくて。世の中の女子たち、おばさま方からほっとかれなさそうな。いかにもな好青年です。
それに比べて何故オリヴァーお兄ちゃんはこんなにも厳しいのか。顔面、能力はよくても束縛彼氏、嫌いな人多いですよ。好きな人は好きなんでしょうが。
え?私はどうかって?私、乙女ゲームガッツリやる人ですよ。そりゃあ好きに決まってる。でもねでもね、現実とゲームは違うよ。オリヴァーお兄ちゃんは好きだけど、正直束縛されるのはあんまり好きじゃ...。
と、とにかく。私はどうしたらいいですか?こういう間にも刻一刻と決戦の日は近づいているわけです。とりあえず、素振りと筋トレはしてます。お陰で筋肉は結構ついた気がします。貯筋は大切ですからね。
しかし、彼になにも本当に詳しいことは教えてないんですよ。魔物の大群なんてくるわけないし。今更、なんて言えばいいのか。頭の中でシュミレーションをしては、これは違う、こうでもないと考えを打ち消しまた、新しいやり方を考えシュミレーションしては打ち消しての繰り返しだ。正直、このまま拗れないうちに素直に言えに行けばいいのにそれはそれで彼に失望され、手伝ってくれなくなるのではとこわくなり足がすくんで動かなくなる。
「あと2週間くらい...か」
最近では雪がちらつくようになってきた。引きこもり状態なので、やることと言えば寝るか、筋トレか、日記を書くか、窓を眺めるくらい。リックとの決闘の時には白銀の世界になっているかもしれない。
今日も外では雪が舞っている。庭でも眺めようかと窓を開ける。冷たい風が部屋の中に入ってくる。そして、庭を見ると
「オリヴァーお兄ちゃんと...トウマ君?」
いつも読んでくださりありがとうございます。




