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今回は、あまり進みません。

少し休憩みたいな感じでしょうか?

 

「いただきます」


「どうぞ、召し上がれ」


 食堂につくと、すでに夕食の支度は終わっていたらしく、ルシアンに『料理が冷めないうちにどうぞ』と言われたので食べはじめる―つもりだったのだが、どうも食べられる気がしない。何故かって?それは―


「あの...これ、何故ウサギの形になってるんですか?それにこっちはクマの形ですし...」


「んー、ちょっとしたサプライズ...かな?」


 サプライズは正直うれしいが、どうもウサギとクマがかわいすぎて食事に手がつかない。せめて、カメラでもあれば写真を撮って永久保存でもしたのに。作り物だと知っていても、そのかわいらしいクリクリとした目で見つめられては、食べようにも目が合ってしまって、まるで『僕を食べちゃうの?』と言わんばかりの視線がとても痛い。


「食べれないのなら私のと交換するか?」


「いや、いいです。食べます」


 そう言ってサッとナイフとフォークを持ち、できる限り目を合わせないようにナイフを料理にいれる。やっと食べれる大きさに切ったところで目を料理の方に向ける...が、


「いやー!!!」


「なんなんだ?」


「ううぅ、クマがクマちゃんの顔がぁ...」


 自分でやったとはいえ、これはやり過ぎたかもしれない。小さく切りすぎたせいで逆にクマの目が泣きそうな形になっていて、後悔する。これだったらしっかり目を合わせて、感謝しながらきれいに切れば良かった。


「ルシアンさまぁ~ひどいですよ、こんなの」


「あれー?女の子はこれが喜ぶって聞いたはずなんだけどなぁ」


「これ見て喜ぶのは子供であって、私は嬉しくな...じゃなくて、そのー、あのー」


「食事中にグダグタ言うな。もう作ってしまったんだから美味しいうちに食え。あまりグダグタ言うようならこの城から追い出すぞ」


「いえ、食べます。食べるので追い出さないでください」


「もういいから、さっさと食え」


「はい!」


 追い出されたりなんかしたらたまったもんじゃない。私もしぶしぶ食べはじめることにした。とても美味しくて、少し複雑な気分になった。


「ごちそうさまでした」


「はーい。きれいに食べてくれてありがとね」


「いえいえ、とても美味しかったです」


「なら良かった」


 さすがにもう二度とクマは作るなとは申し訳ないから言えなかった。まぁ明日からは私が作るんでいいんですけどね。あっちが『きれいすぎて食べれないよ』と言うくらいきれいなもの、作ってやりますから。

 ルシアンの料理は味にしろ、盛り付けにしても完璧だった。元王族の私が感動するくらいだから、どこぞの城でもこれは料理人として働ける。ついでに栄養素も完璧だ。だからこそ、少し明日から私が作っても大丈夫かと不安になる。あんだけ大口叩いといて、偉そうなこと言ってすみませんでした。心の中で盛大に土下座をした。


「さっじゃあ片付けしますか」


「手伝いますよ」


「いや、いいよ。大丈夫。代わりに明日から片付けまでしっかりやってね」


「わかりました。ありがとうございます。それで...」


「それで?」


「今日の料理、よろしければレシピ教えてください。明日からの参考にしたいので」


「わかった。じゃあ、あとで応接室に来て」


「ありがとうございます」


 そう言って私は一度部屋に帰る。あれ?応接室ってどこにあるんだろう。応接室の場所を教えてもらわずに帰ったので、後で

 来るのが遅い、と言われるのは少し先の話。


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