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 あれから次の日、セシルから手紙がきた。内容はこうだ。



 ※※※



 親愛なるレティア様へ

 そちらでの生活や体調はどうですか?風邪などひかれてなければ幸いです。

 ところで、リックと戦うことになられたようですけど大丈夫でしょうか?もしレティア様の身に何かあればと、とても不安になります。

 しかし、私はあることに気づきました。レティア様もお気づきかもしれませんが、トウマ様のことを忘れてはいませんか?

 彼は神に選ばれし、悪を打ち倒す者。彼の力を頼ってみてはどうでしょう?彼は物語の主人公。きっと私たちを助けてくれるはずです。

 そして、その彼がこの世界に来るのはもうすぐです。もし、彼の力が必要だと思ったのならばこの私に言ってください。彼が嫌だと言っても引きずってまでレティア様のもとまでつれて行きます。

 どうかお返事をください。お待ちしております。


 セシル


 ※※※



 すっかり忘れていた。そう、彼の存在を。彼に頼んだらもしかしたら助けてくれるかもしれない。

 でも、よく考えてみる。もしかしたら、この手助けはオリヴァーお兄ちゃんの努力をうち壊すのではと。リックに自分の望む復讐ができないのではと。


 困った。どうしよう。


 でも、私とオリヴァーお兄ちゃんだけで確実に勝てるだなんて保証どこにもない。これは確実に勝たなくてはならない勝負なのだ。ゲームと違ってやり直しなんてきくものではない。敵が待ってくれるとも限らない。


 そう思って出した決断。


「よし、やるしかない!トウマ様にすべてかけてみよう!」


 張り切って決断をし、片手を上に掲げた。ちょうどそのときだった。


「トウマ様って誰だ?」


「...。」


 後ろから低く、冷たい声がした。気のせい?気のせいだと思いたい。私は深呼吸をし、何も知らないような可愛げのある笑顔を作り振り替える。


「ん?どうした?オリヴァーお兄ちゃん」


「...」


「...」


 やばい。やらかした。オリヴァーお兄ちゃん、顔が怖いよ。ごめん、ごめんて。謝るから許して。


 しばらくにらみ合いが続く。怖い。オリヴァーお兄ちゃんの顔がひたすらに怖い。あの冷たい笑顔がとんでもなく恐怖心を煽る。ここは先手必勝。


「ごめん、ね?何が不満なのか言って」


 さっきよりかわいい顔で謝る。そしてちょっぴり上目遣い。


「はぁ」


「???」


 え?今、はぁってため息つきました?つきましたよね!?そんなにかわいくなかった?怒る?怒りますか?


「すみませんでした。正直に話します。本当にすみませんでした」


「別に怒ってはいない。ただ、」


「ただ?」


「かわいい...って思った」


 袖で顔を隠しながらそう言いました。顔が赤い。照れてる。かわいい...。


 いや、オリヴァーお兄ちゃんが照れるってマジですか。


いつも読んでくださりありがとうございます。

コロナウイルスが流行っていますが、どうか皆様お気をつけください。

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