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28

 

 あれから起きたのは結局昼過ぎ。私は応接間で寝かされており、手前の椅子にオリヴァーお兄ちゃんは座り、私が起きるのを待っていたらしい。お陰で起きたときとても安心したが、申し訳なくも感じた。


「もう大丈夫なのか?」

「さすがに。だいぶスッキリした」

「よかった」


 心なしか、オリヴァーお兄ちゃんが安心しているような顔に見えた。もしかして、私に何かあるのかと気にかけていてくれたのだろうか。


『なんだかんだ言って、オリヴァーお兄ちゃんって優しいよなぁ』


 しみじみそう思ってしまう。こういう些細なことではすごくキュンとするのに、それがいきすぎるとどうも反応に困ってしまう。


「あれ?もう起きたんだ」


 ルシアンも程なくして部屋に入ってくる。


「はい」

「うん、大丈夫そうだね」

「お陰さまで」

「いやーよかったよ。オリヴァーがすっごい心配してたから」

「その話は言わなくて良いだろ」


 オリヴァーお兄ちゃんはルシアンをキッと睨み付ける。けどルシアンは全く気にせずにフワフワしている。2人の関係は不思議だ。


「それよりも、何故昨日サヴィニアに?リックのことですか?」

「ああ、その事か」


 ルシアンとオリヴァーお兄ちゃんは目で何かを語り合ったあと口を開く。


「リックと...正面から戦う」

「What?」

「わっ、わっと?」


 いかんいかん。急な爆弾発言に英語で答えてしまった。いまだに私の頭が情報処理をしきれずにいる。


「え、えっとWhy?」

「わい?」


 先程のようにルシアンがおうむ返ししてくる。まぁ初めて英語を聞いたらこんな反応になるよね。前世の私も初めて聞く英単語は頭の上に?がついたし。


「何でもない。驚いて変な声が出ただけ」

「そ、そう」


 大丈夫。短い単語だったから変な声って言ったらなんとかなると思う。うん。


「あれ?でもリックには会えたの?昨日こっちに来てたし」

「ああ、会えなかった」

「え、じゃあまたサヴィニアに行くの?」

「いや、その必要はない」

「?」


 その必要はない?まさかリックがいなかったからってうちの両親とかにケンカ売ってないよね?ちょっと不安?


「手紙」

「手紙?」

「手紙を書いて、置いてきた」

「ちゃんと来ますかね?あの人」

「来るだろう。元にレティアを狙って昨日来たではないか」


 昨日のことを言われると少しゾッとしてしまう。あの時...下手をしたら私は死んでいた。本当に助かってよかった。


「それで、いつ...戦うことになるの?」

「来月。この国が滅びてちょうど12年になる日」

「12年...もうそんなに前か」


 あの時はリックに魔法をかけられていたため、そこまで思うことはなかったが、昨日の過去の話も聞いて改めて悲しく思った。


「来月までにレティア、君も剣を完璧にできるようにしておこう。多分彼は先にレティアを狙うだろうから」

「だね。頑張らないと」

「気分転換に散歩でも行ってきたら?オリヴァーと一緒に。その間に僕は夕食を作っておくから」


 私とオリヴァーお兄ちゃんは顔を見合わせる。そういえば今日、私は全然動いていなかった。少しの運動のためにも散歩はいいかもしれない。


「行くか?レティア」

「うん」


 オリヴァーお兄ちゃんは私に手を差し出してくる。私は差し出された手に自分の手を置く。私はオリヴァーお兄ちゃんにエスコートされ、部屋をあとにした。




本日もお読みいただきありがとうございます。

もう冬ですね。最近とても寒いです。

皆様も風邪には気を付けてください。

そして、また忙しくなるので更新が遅れそうです。いつも読んでくださる方々、申し訳ありません。

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